前回までのあらすじ
国境を越えるとウイルタのオジサンが撃たれ、やはり狙われているようで、尾形がその正確な射撃から手練れの狙撃手だと感じます…
狙撃手の巧妙な駆け引き
待ち伏せされていたと悟ったキロランケは、敢えて矢面に立ちオジサンを引きずり、狙撃手が躊躇しているところを尾形が狙います。何とかその隙に橇を動かし、オジサンも瀕死ですが生きています。キロランケは自身も撃たれなかった事が「カムイのおかげ」だと言います
尾形がイリヤを撃ったのは腹で、敢えて頭部は狙わず隊の足手まといを作るためでした。ヴァシリと尾形の狙撃手としての読みの応酬が始まります。キロランケはモロッチョーに仕掛けた爆弾で何人か仕留めます。やられた男はキロランケの指名手配書を見せます
キロランケが15歳の時ロシア皇帝を暗殺し、その場にウイルクもいたと言います。ヴァシリは尾形を見つけますが、尾形の腕から油断できないとポイントを変えて監視します。するとそれは偽物で、尾形はウイルタの棺の中だと悟ったヴァシリがじれて狙撃してしまい、そこを尾形が狙い撃ちし仕留めます
尾形は少し熱っぽく、幻覚からか弟分の勇作の影を見ます。集落で風邪の治療を行い、祈願による病気の治療も行います。白石はアシリパを外に連れ出すと、一緒に逃げようと持ち掛けます。キロランケの言動に不審がる白石でしたが、アシリパは残ると言い、そこにキロランケが現れます
キロランケは自身の昔の名はユルバルスだと言い、経緯を説明され、アシリパはこの旅で金塊の暗号に辿り着く事ができるかもしれない、その呪われた金塊は本当に見つけるべきか、闇に葬りさるべきなのか…と思案します
尾形は熱も下がり、勇作との過去のやり取りの夢を見ます。旗手として手を汚さない勇作に捕虜を殺めろという尾形、人を殺して罪悪感を感じない者などいないと言われ、結局戦場で勇作を撃ち殺してしまうのです…尾形はそんな夢を見て目を覚まします
灯台の明かりに救われる杉元
トナカイの肩甲骨で占いをする事になります。独特の占いで、結果「後方から人が来る」と出ます。出立の時、ここで白石と別れる事になりますが、杉元との誓いを思い出し、追いかけてやはりアシリパ達と一緒に行く事にします
杉元達は国境の南で犬橇に乗っています。荒れた天候の上、リュウが逸れるため、諦めその場で穴を掘り暖を取り、樺太犬にくるまり難を凌ぎます。別れていた月島・鯉戸少尉が銃で場所を知らせますが、それは届かず、ここの住人の導きで灯台の明かりを灯し、それに杉元は気づきます
杉元達は何とか建物に着き、室内で暖まります。橇を燃やしてしまったので、新しく作り直します。リュウはあの時咄嗟に前の橇について行こうとしたのだと悟り、優秀だと褒めます。鯉戸少尉が素手で金づちを触り手にくっついてしまったため、剥がすと皮も剥がれるため、杉元がおしっこをかけてやると追いかけます
ペリメリやボルシチといったロシア料理を美味しく頂き、灯台守は娘が攫われたもののここに居残った事で杉元は救われたため、娘の写真を持って行って良いかと尋ねます。額には逆に杉元の写真を入れ、もしアシリパが訪ねてきたら杉元は生きていると伝えてくれと告げ別れます
監獄のソフィア
杉元は写真で聞き込みをしますが、色よい返事は貰えず、国境まで140キロの新問付近の集落に滞在しています。エノノカはメコオヤシの話をし、隠語から尾形を連想します
一方アシリパ達もメコオヤシの足跡を見つけ、キロランケはアシリパにサハリン(亜港)の亜港監獄にいるソフィアがウイルクの事を知っているので会いに行こうと言います
船でモニフンペ(シロイルカ)を尾形が仕留めます。くじら汁に杉元から預かった味噌を入れ美味しく頂きます。ついあの無口な尾形もヒンナと言うくらいです。キロランケはソフィアは教養があり勇気のある俺達の指導者で、とても美しく、若かった俺とウイルクは彼女に憧れたと言います
監獄のソフィアは外からの手紙に敏感に牛乳の匂いを感じ、火で文字をあぶり出すとユルバルスが戻ってきたと喜びます。キロランケはソフィアを逃がすには監獄の250人の囚人を脱獄させるために監獄の複数箇所の外壁を同時に爆破する必要があると言います
キロランケは亜港の岬にある灯台に目を付け、そこに爆薬があるとし、アレが来れば脱獄の成功の条件が揃うとひたすら待つところでこの巻は終わります
まとめ
狙撃手として優秀な尾形とヴァシリの読みの応酬が見ものでしたが、尾形は雪を食べ白い息が上がらないように苦心しつつ、自身の身体は見せず微動たりともせず、先にそれを見つけていたヴァシリは逆にそれが囮で尾形はウイルタの棺の中だと感じ、じれて発砲してしまいます
それこそが尾形の狙いで、このスナイパー合戦を制します。このように狙撃手には独特の駆け引きがあり、そのほんの小さな綻びすらも命取りになるというシビアなものなのです。この駆け引きで消耗したのか珍しく尾形は体調を崩し、勇作の夢を見ます
一方アシリパを追う杉元達も極寒の地で立ち往生となり生死を彷徨いますが、寝たいという誘惑をそのままでは死んでしまう為何とか堪え、灯台の明かりに気づき命を拾います。灯台守の娘の写真を預かりますが、その娘は後述の監獄のソフィアと同室の娘なのです!
キロランケはアシリパにウイルクの更なる手がかりとなるキーパーソン・ソフィアを脱獄させるために一計を案じます。囚人250人を脱走させるために何か大掛かりな仕掛けを作りたいようで、何かを待っているキロランケでした…18巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
おまけ
ゴールデンカムイにはショートアニメ「ゴールデン動画劇場」というものがあります。TVアニメ『ゴールデンカムイ』を「おかわり」したいッ! という事で、本誌連載時の扉絵やコミックスのおまけを中心にお送りするショートアニメとなっていますので、こちらもチェックして頂きたいです
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