「のだめカンタービレ」17巻の数々の恋模様とクラシック音楽の光と影~父・雅之の存在が千秋に重くのしかかりあり得ないミス!気落ちする千秋を温かく迎えるマルレ・オケの懐の深さ~

前回までのあらすじ

常連も顔を見せる中、この劇場と観客が作って来た重い空気を背に千秋指揮の元ロッシーニで練習の成果を如何なく発揮します

続くブラームスでも芳醇な演奏を披露し、千秋のアパルトマンでは長田ある男・・・千秋の常任デビュー日だから観に行けと仕向けます…

意識せざるを得ない親子関係

締めのニールセンでは正に<不滅>が如きこの曲に込められた想いを体現する素晴らしい演奏でフィニッシュし、大喝采を浴びます。オケメンバーは各々称え合い、ファゴット主席もパソンに持ち替えようかな…と話す程です

前巻のある男・・・とはやはり千秋の父雅之で、長田に会いに来たとはいえ皆千秋のことばかり話すので、ここはもう浸食されちゃったんだなと帰ります。息子が同じ世界に来るっていうのはこういうことかと雅之は理解します

アンナにしばらく帰らないと告げ千秋はちょっと家出と車で出掛けます。相変わらず噛み合わないのだめオクレールの会話、ふたりともボケなのが敗因と分析します。コンクールに出たいと持ち掛けますが、オクレールは許可できないとし、今はもっといろいろな作曲家にふれるべきだと譲りません

千秋ニナ宅に世話になり、相変わらずピアノに熱心ながら、熱が38度5分もあり、なにを生き急いでいるのかしらと無理くり静養させられます。練習熱心なのはのだめも同じで、ターニャが呆れて食事を作ってくれますが、千秋がいないとだらしなく、千秋のシャツで自家発電する有り様です(笑)

ニナに上出来と褒められながら、千秋雅之とはお互い興味ない、コンサートに来られても不快なだけだと酷評します。のだめは自宅の時計が止まっており公演時間に間に合わず、千秋に公演を遅らせてくれとメールしますが、千秋は待ってられるか、オレはもっと先へ行くと指揮に向かいます

千秋、動揺してミス!

まずはチャイコフスキーを演奏するマルレ・オケ、<ロメオとジュリエット>はその物語性も相まって素晴らしい出来です。のだめは結局1曲目に間に合わず、遅れてオクレールと合流、オクレール千秋の実力を認めます。次の曲はバッハ協奏曲コンチェルトで、なんと千秋の弾き振りなのです!

千秋はレベルの高い抜群の演奏を披露し大喝采を浴びます。のだめはずるい…と感じ、千秋は観客席に雅之がいることを確認し動揺します。次はベートーヴェン、大事な曲ですが千秋は指揮棒を忘れてしまいます。千秋は頭の中が真っ白になり、何とかコンマスに助けられますが、分かる人には分かってしまうミスです

観客でそのことに気づいたのは一部ですが、千秋はこの失態に荒れ、シモンの指摘にもすみませんと謝るのみです。千秋はアパルトマンに帰り、のだめ雅之のことを話すと心のどこかでいいところ見せなければって思ったと嘆きます

のだめ雅之と共演することが目標だったんですね、着実に階段を上ってて…いじけてんじゃないですヨと叱責します。千秋雅之との過去を思い出し、オレって進歩ないと感じます。テオに評論家の書評を見せられ、例の点は指摘されていましたが概ね高評価で、千秋は浮かない顔です

シモンと一緒にライブラリアンの仕事をこなしながら、マルレ・オケにミルヒーカイ・ドゥーンがいた頃のようにお客さんに愛される活気溢れるオケにするために厳しくもやった、でも今年こそ千秋ならそれができると励まされますが、「次」がないことだってあると千秋は感じます

のだめの不在をユンロンに告げられ、千秋は何故かユンロンにカフェでご馳走すると誘い、映画でも観ない?とまで言うのです

気落ちする千秋を温かく迎え入れるマルレ・オケ

マジノ先生は千秋に嫉妬するのだめを見かね、オクレールにコンクールに出してあげたら?と提案しますが、今ひとつひとつ積み上げているものを台無しにするつもりですか?今が正念場ですと譲りません。ユンロン千秋とデートした気分で具合が悪く、妙に優しかったのでうっかり惚れそうになったと明かします

のだめ雅之のコンサートに出向き、有り金全て叩き立ち見席でピアノを観ると、周りからはとても情感豊かで巨匠らしさが漂ってきたと評されています。のだめは刺激を受けつつ、ピアノだけなのかって悲しかったと話します

のだめは初見レッスンにも慣れ、デュマ先生に褒められます。客演の指揮者ネビルが振るマルレ・オケですが、千秋テオに急遽車を出してと頼まれ、結局雑用もさせられます。シモンは常任指揮者にあんなことさせるな‼とテオを一喝します

ネビルは昔から時々マルレに来る指揮者で、今年のマルレは変わったと上機嫌です。オケメンバーは先日の書評を千秋が気にしているのか?と気を使います。ミスした公演のあとの初めてのリハで、千秋はオケメンバーと合わす顔がない中、メンバーは脚を鳴らし、歓迎ムードです

千秋はここが今のオレの居場所だとし、親父を早く見返したかったのは本当だけど、そんなことのためにここにいるんじゃない、コンマスの夢かーと気張り、三善家の宛に今の部屋を出ることにしたとメールを送り驚かれるところでこの巻は終わります

まとめ

子には親の影がいつまでもつきまとい、それは嬉しい時もあり、鬱陶しいこともあります。離婚しているため尚更雅之からの愛情に飢えていた千秋は、コンサート会場に雅之がいることで動揺し、頭が真っ白になりあり得ないミスを犯してしまいます

コンマスたちの必死の修正で事無きを得たかに見えましたが、書評ではそのことを目ざとく指摘され、自身に深い傷を負わされます。音楽でミスはその人の担当によってその影響は変わって来るでしょうが、オケの顔である指揮者ということもあり、千秋は一時立ち直れるか…というところまで追い詰められます

そんな千秋を温かく迎え入れたマルレ・オケの懐の深さには感動しますが、オケは様々な指揮者が振る中千秋は常任指揮者なので、大事に育てていかなければなりません。父親という大きな壁を前に、千秋はまた飛躍の時を迎えることはできるのでしょうか?18巻に続きます…

おまけ

アニメ版は3シーズンにも及び、最後はフィナーレ編として11話編成となります。アニメでも良質なクラシック・ラブコメとして楽しめる内容となっています

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