前回までのあらすじ
不破はETUの暗黒時代を作った元凶で、選手は前を向いて闘おうとしてる、俺達が声出さねえ訳にはいかねえとスカルズは物凄い圧で応援します。余裕のトリックプレーを見せ、ゆったりペースから牙をむく時は一瞬だとブラジルトリオは躍動、達海がかかってこいと対します…
防戦一方もやられないETU
3人の連携から最後はペペというところで辛くもオフサイドに救われるETU、それでも達海はだからって勝てるとは限らないのがフットボールだと冷静です。杉江のチェックは厳しくゼウベルトが板垣の飛び出しに反応すると村越が対応、ジーノから赤崎へ鮮やかなカウンターです
中央の椿に託しますがカルロスは足腰強く吹っ飛ばされます。皆ペペに目が行く中、ゼウベルトは空いた板垣を選択、黒田が止めます。お互いなんで2番手の相手しなきゃなんねーんだとイラつき、ぺぺへの警戒から板垣へのマークが甘い中、ゼウベルトはペペに固執せず裏を通し板垣が鋭い切り返しも黒田は読んでいます
板垣は昨シーズンまで右のFWで、ETUから2点取っていますがそれはたまたまで、マッチアップした黒田は実は完全に抑えていたのです。似た者同士相性がいいんじゃないと達海、事実板垣の突破を黒田はことごとく止めます。世良が背中を痛めた隙の時間に不破は板垣を諭し、自分の活かし方をひとつだと思うなとします
不破は名古屋がフロントへの要望にも応える最高のクラブで、ここで頂点に立つと気張り、永田会長は現実を投げ出した不破に怒り心頭です。また板垣を使うと思われたゼウベルトは中央突破に切り替え、吊られた杉江を他所にペペへ絶妙スルー、フリーのシュートも椿がオウンゴールギリギリで止めるファインプレーです
椿は達海の指示通りペペを警戒しており功を奏します。完全に名古屋ペースですが、達海は点取られなきゃいいと笑顔です
達海の真の狙いとは!?
前半残り15分、藤澤はボール支配率は圧倒的に名古屋、ETUが堅守のチームだとしても失点は時間の問題とし、気になるのは椿が迷いなくプレーしているように見える事です。意志を持ってピッチに立ってる感じがするのはETUというチーム全体から感じられ、何か策があると見抜きます
板垣からサイドに展開、クロスを杉江がクリアもゼウベルトのシュートと危機は続き、最後は緑川がハイボールを処理し何とか0-0で折り返します。ぺぺは椿の勇気を称え、3人は相変わらず呑気です。好調の黒田はかつてのエース:ドミンゴを板垣に重ね、所詮劣化版…抜かれる気がしねえと強気です
不破は自分達のプレーをすれば勝てるとし、いいムードでチームの好調ぶりが選手に自信をつけてきていると評します。一方達海は作戦はゲーム前に言った通りだと淡白で、メンバーもこのまま、連中のド肝抜いてやろうとこちらも自信げです
久堂はいい写真撮るにはゲームに流れてる風を読まねえとよとどちらのゴール裏はるかは企業秘密です。後半も名古屋ペースですが出しどころがなく関根はシュートをフカします。村越・杉江と仕事をさせず、むしろ板垣のところを攻めさせたのです
村越のチェックが煩いゼウベルトは板垣を使い黒田は石浜とスイッチ、サイドをえぐられ決定機もまた椿のナイスディフェンスで止めます!椿は今日走っており、ピッチを俯瞰して見れています。カルロスはゼウベルトに今日のゲーム楽しめていないと打ち明けます
必ずパスコースに10番・7番がおり1本のパスもゼウベルトに通せていないと…達海はブラジル人トリオの中で一番警戒していたのは実はカルロスで、ついにカルロスは今までより高い位置でプレー、後藤も警戒します
椿の覚醒
カルロスの上がりからゼウベルトと連携、達海は抑えるべきポイントはただ一つ=エースへのパスコースだと読み、事実清川が止め読み通りです。一気に縦のジーノへ展開、達海も立ち上がり勝負師の顔です。スピードのある世良と赤崎が飛び出し、ジーノは赤崎を選択、赤崎・世良の連続シュートが阻まれます
すると後方から走って来ていた椿に渡りボレーを叩きこみます!達海も親指を上げ椿はあの夜の事を思い出し、やったんだ…と感慨に耽ります。フリーだったのにペペへパスしたカルロスに怒る板垣、FWとしてはいい傾向です。達海はカルロスがいい選手過ぎるせいかDFは頼りにし過ぎると分析します
カルロスがいない時にカウンターくらうと一転バタつくと決定的なスキを突いたのです。松原はあんなに感覚的にプレーしていた達海が本当に監督になったんだなぁ…としみじみです。焦る板垣は苦しまぎれのシュートで我を見せますが、石浜が拾い中央椿の駆け上がりです
椿は覚醒しており周りが見え、カルロスが対処しますが笑ってかわします。そのまま突っ込むとCB2人共出て来て潰され、そこをお役御免とジーノが鮮やかに追加点です。最終盤鬼の形相のぺぺがゴールに迫りますがポストに嫌われ、そのままタイムアップするところでこの巻は終わります
まとめ
今までどちらかというと苦境ばかり描かれモヤモヤしていた読者の方もいたかと思われますが、今巻ではその鬱憤を晴らすかのような痛快なジャイキリが描かれます。名古屋に圧倒されながら何とか0-0で終えたETU、策は話した通りだという達海の自信が現実となります
ブラジル人トリオはストライカーのペペ、ファンタジスタのゼウベルトが華があり目立ちますが、一番の攻守の要はカルロスで、彼が焦れて上がって来る事をずっと達海は狙っていたのです。カルロスからゼウベルトへのパスコースは常にジーノと椿が塞いでおり、ついカルロスは自ら上がってしまいます
相手の好機は裏を返せばチャンスにも繋がるのがサッカー、凌ぎ切ったETUはここからカウンターで攻め、最終的に決めたのは何と今までいいとこなしの椿でした!再三ピンチを救う走りを見せていた椿、本人が一番驚いた先制ゴールで、彼が俯瞰してピッチを見渡せる描写が秀逸です
こうなると椿の躍動は止まらず、ボランチながら中央スペースへの積極的な上がりであのカルロスを笑顔で抜き、完全にCBを吊りジーノのゴールで駄目押しです。このように達海はプレイヤーとしては感覚的なプレーを見せていましたが、監督としては非常に細やかで多彩な戦術眼を持っている事が分かります
ペペ鬼の形相も最後まで凌ぎ切り、ついにETUはジャイキリを達成します!ここからのETUの飛躍に期待したいところです…6巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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