「銀河英雄伝説(藤崎竜版)」10巻の数々の激戦と成長譚~同盟大敗も殿としてヤン孤軍奮闘で一矢報いる!皇帝崩御で世継ぎ問題勃発…ヨーゼフ擁立も納得の行かない貴族連合が「リップシュタット盟約」で決起~

  1. 前回までのあらすじ
  2. 味方を逃がし一手に敵を引き受けまことの名将の姿=英雄ヤン・ウェンリー
  3. 皇帝崩御で世継ぎ問題勃発
  4. 「リップシュタット盟約」と捕虜交換
  5. まとめ
前回までのあらすじ

グリーンヒル2人ロボス・フォークの重用の失敗を感じ、衆愚政治の腐敗に落胆します。帝国7万VS同盟5万の構図となり、数が圧倒的に足りないとヤンは嘆くと共に、計算的に数が合わない事に気付き、事実恒星を回って背後からキルヒアイスが迫り、ヤンはその事を恐れ機雷を設置、それすら読んでいるラインハルトです…

味方を逃がし一手に敵を引き受けまことの名将の姿=英雄ヤン・ウェンリー

ラインハルトは各提督に艦首を並べ密集隊形で突進せよと命令、数で押し込む手です。ヤンはホットジュピターの重力と公転エネルギーで超加速、一気にラインハルトを狙いますがミッターマイヤーに阻まれ提督の層が厚いのです。ビッテンフェルトは特攻しアップルトン艦隊危機です

壊滅し勝敗は決し、アッテンボローの機雷を3万隻のキルヒアイスは「指向性ゼッフル粒子」で誘爆させ穴を作りトンネルとし突入します。ウランフ・アップルトンを屠ったのがビッテンフェルトと悟ったヤンは裏をかき男らしく正面衝突する気の彼に長距離攻撃で一蹴、ワルキューレを出すのが早過ぎたのです

ラインハルトは敢えて救援は送らず、キルヒアイスの到着でビッテンフェルトは救われます。ヤンは味方を逃がし一手に敵を引き受けまことの名将の姿=英雄ヤン・ウェンリーです!

皇帝崩御で世継ぎ問題勃発

戦力比9対1の殿しんがりビュコックは生き残りをまとめ脱落者なく帰還する事と役割を察し、ヤンに託します。ヤンキルヒアイスが通って来たトンネルを利用し離脱を謀り、先回りされて入口を塞がれたら完全アウトの中強引に突っ切り何とか逃げられます

戦いは幕を閉じ、開戦時3000万を超えた同盟軍は戦死者2000万、かたや帝国はビッテンフェルト以外は軽微なもので同盟の全面的な敗北です。そんな中ヤン艦隊は8割という生存率を保ち部下の目には最早信仰に近い光がありました。力尽きたヤンフレデリカに紅茶にブランデーたっぷり・・・・と抜け目ないです(笑)

提督達を労うラインハルトビッテンフェルトには厳しく、オーディンに帰還次第責任を問うと謹慎を命じ、キルヒアイスは上申し、オーベルシュタインはその仲を特権的に考えられては困るなと感じます。キルヒアイスヤンに名を成さしめたご自身にお怒りだと看破し、ラインハルトを諫めます

前面にヤン、後背に門閥貴族と2つの強敵を抱えており、部下にまで敵をお作りになりますなと…ラインハルトは受け入れ宇宙を手に入れる事が出来るか?と問い、あなた様以外の何者にそれがかないましょうと言われ満足します。オーディンに帰還すると何と皇帝崩御の報せで激震です

アンネローゼは泣いており、これで皇帝の魔の手から解放されますがラインハルトはまだ夢は見足りてはおりませんと気丈です。皇帝は世継ぎを定めず死に、候補者は3名、リッテンハイム・ブラウンシュバイクの皇女で最有力は男子で直系のエルウィン・ヨーゼフですが後ろ盾がなく、リヒテンラーデは彼を皇帝とします

皇帝即位式では癇癪癖のあるヨーゼフが荒れておりとても皇帝としてやっていけそうもありません

「リップシュタット盟約」と捕虜交換

ブラウン~ルビンスキーと通信で面談し、エリザベートを擁立する為立ち上がれば多くの貴族が従うはずと持ち掛けます。リッテン~サビーネの剣技は凄まじく、ルビンスキーは同様の話を持ち掛けます。ラインハルトは誰に付くか逡巡し、リヒテン~の要請に応じ幼帝の後ろ盾となります

リヒテン~は宰相に、ラインハルトは宇宙艦隊司令長官となりブラウン~・リッテン~の怒りを買います。ルビンスキーは巧みに2人を操縦し共闘させ「リップシュタット盟約」を結ばせ「リップシュタット貴族連合」としてその旗艦は巨大で優美なものです

ガイエスブルク要塞を拠点とし、ラインハルトはこれを好機に貴族という汚物を消し去ってしまう算段です。当然同盟の動きが気になる中、オーベル~は同盟に内乱を起こさせる気です。イゼルローンに赴いたユリアンは軍属兵長待遇とされ、ヤンの役に立ちたい中、相変わらずヤンは存在感希薄です

此度の敗戦で多くが左遷される中、ビュコックは宇宙艦隊司令長官に就任、ヤンはイゼルローン要塞司令官です。ユリシーズが哨戒中バルバロッサに遭遇、キルヒアイスは双方が抱えている200万人以上の捕虜の交換を持ち掛けます。トリューニヒトは即決し捕虜交換が行われ、その中にはリンチ少将もいます

ヤンは今回の捕虜交換は罠だと見抜いています。シュワルツェンの館でラインハルトと一緒に暮らすアンネローゼキルヒアイスラインハルトを託し2人は500年間特権を貪ってきた貴族を打倒すべく首都星を発ち、それはラインハルトにとって大きな代償が伴うものとなる事を予感させるくだりでこの巻は終わります

まとめ

圧倒的窮地だったヤンでしたが本丸=ラインハルトを狙う事で状況は一変、ビッテンフェルトの失策もあり味方を逃がし殿しんがりとして完璧に役割を果たします。9倍の敵から逃げる術がキルヒアイスが作った機雷のトンネルだったとは驚きましたね!またしてもラインハルトヤンにしてやられます…

帝国の完全勝利でしたが、ここで皇帝崩御という急展開です。世継ぎを決めておらず例に漏れず後継者問題が勃発、ルビンスキーブラウン~・リッテン~にけしかけ決まったのは後ろ盾のない直系のヨーゼフです。2人の覇権を恐れたリヒテン~ラインハルトを巧みに利用します(逆に利用されたとも言えます

これで門閥貴族VSラインハルトの構図となり、内乱の予感ですが、惨敗した同盟も黙っていないでしょう。ここでオーベル~が捕虜の交換を提案し、一見両者に得があったように見せかけ、リンチ少将の顔もあり何やらきな臭く、ヤンも罠だと気付いているふうなのです

この門閥貴族との戦いは銀英伝では避けては通れない重要な局面で、以後のラインハルトの方向性を決定づける出来事となります。巻末が不穏気だったのもこういった伏線がある為なのです11巻ではどんなお話が待っているでしょうか?

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