前回までのあらすじ
大雨で機材も駄目になるかもしれない状態、オバチャンがあいつらの運命がどこに向かうのか見届けると宣言します…
一緒に演るっていう意味が分かった気がする
踏んできた場数が違うと感じるスタッフ、驚く程の若さなのにと驚愕しています。平くんは常に求められていましたが、求められたかったんじゃない、俺自身が求めたかったんだ、それがコユキの中にあると述懐します
音楽で世界を、人の意識を変えられると信じたオバチャンの姉の意志を継ぎ、猛烈な勢いの台風の中、グレイトフルサウンド（以下G.S）が帰って来たとオバチャンは感じます
晋吾やシミケンは竜介こそBECKの方向性を決めるカリスマだと感じます。エディと同じステージに立つと約束した竜介は、どんどん大きくなるエディに対し焦りを感じていました。そこにコユキが現れ、竜介は忘れたと思っていた笑いを取り戻したのです
コユキが自分に似ていると感じる竜介、コユキは誰の背中も見ていない、BECKの中で皆と生きていたいんだよと語るのです。エディは最後の曲をコユキに託しました。エディに今自分は最高に焦っている（楽しんでいる）と語る竜介、信じる奴の隣に立つ自分に最高に興奮しているのです
一緒に演るっていう意味が分かった気がすると感じる竜介、そしてついに台風がその猛威を振るい、オーロラビジョンも壊れ、それでもBECKは演奏を続けます
アンコール曲の「OUT OF THE HOLE」 での特大のシンガロング
荒天で各ステージが被害に遭う中、BECKは最高の演奏をし、確実に観客の心にその想いは届いています。本気のアンコールの催促、なんと中止のアナウンスがあったにも関わらず、ほとんどの客は帰ろうとしないのです！
5人との思い出が走馬灯のように蘇るコユキ、この5人だから辿り着けた境地です。アンコール曲は「OUT OF THE HOLE」、届けたいと思って演る、受けたいと思って聴く、G.Sにしかない熱気が宿っているとオバチャンは感じます
オーロラビジョンが崩れ、いよいよ本格的にヤバい状況になってきた中、観客からの特大のシンガロングが聴こえてきます！別々の道を歩む道もあった…でも一緒にいる、アルバムの意味、「ONE BY ONE」（一人ずつ、一つずつ、一歩ずつ）は自分達そのものです
確かに届いている、世界中の人でなくていい、こうして誰かの心に寄り添う歌をつなぎたい…観客から「さあ歌って、これは君の歌だよ」と問いかけられたようで、コユキは涙します
全国ツアーが始まり、相変わらず津々浦々ボロバンで周るBECK、コユキがこれから先何があろうが構わない、確かに今、最高に幸せだからと感じ入るところで、BECKは完結します
THE LAST DAY OF EDDIE LEE
竜介に電話をしたのにコユキが出たため、エディはコユキに出来立てのフレーズを聴かせました。その続きを作りにスタジオへ向かうエディ…これはエディの最後の物語です
エディは決まって突然連絡がつかなくなる癖があったようです。ロック界一フレンドリーな男と言われるエディも昔は荒れていて、そんな中同じ匂いを感じる竜介と出逢ったのです
車上荒らしをしていた当時、たまたま見つけたギターを弾きながら、夢を語らっていた二人、いつしか凄腕のテクニックを身に付けます
エディを襲った犯人の回想を挟みます
マットはエディのいない今、全く美味い酒が飲めないと嘆きます。マットは昔長髪で、やっていたバンドでは周りがマットの熱量について行けず、そこにマットの妹（シェイン）と交際していたエディが現れます
エディとジャムってみて、一人で夢を掴むにはデカすぎるとお互い感じます。一気にスターダムを駆け上がったダイブリ、マットはあるライブで集中出来ず、どこかに電話を掛けており、エディに嗜められます。実はその電話は、シェインが交通事故に遭い、歩くことが出来なくなったという電話だったのです！
シェインはずっとエディの事を呼び続けていたのです。悪魔のような時代、君は俺のことを信じてくれたねとエディ、新曲はあの頃皆で観た夢を全て叶える歌なんだと車を飛ばします
やがて故障車両を見つけ、止まると例の男がおり、エディは撃たれてしまいます。エディは散り際「THANK YOU」と言い、いい人生だったと振り返ります
コユキはエディの意志を継いで曲を完成させました。一人の大きな目標がいなくなった現実を誰もが受け入れたくなかったんだと感じます。マットは「DEVIL’S WAY」をシェインに聴かせます。シェインは驚き、涙し、窓を開け、空に向かい「THANK YOU」と告げたところでこの読み切りは終わります
まとめ
荒天のG.S、約束の地で、BECKは伝説のライブの再現とばかりに熱演を繰り広げます。人々の記憶に強烈に刻み込まれたライブ、もう一度あの体験をしたいと、観客は台風の中、彼らを待っています
ライブハウスでもそうですが、特にフェスのような野外会場で、特大のシンガロングを体験すると、非常に感動するものです。BECKは英詞バンドのため、誰もが簡単に口ずさめるような状況ではないと思われますが、「OUT OF THE HOLE」の歌詞は観客の胸に刻まれた、大切な曲になったのです
このコユキの、5人の想いが観客に確実に届いた瞬間の描写は非常に美しく、難しいとされてきた音楽漫画の概念を覆したBECKは大ヒットし、強烈に読者の記憶に残る作品となります
例え売れたとしても、様々な困難を乗り越えて来たBECKですから、これからも着実に一歩を踏み出していくことでしょう。エディの読み切りでは、マットの妹、シェインとの話が涙を誘います。エディは天国で「DEVIL’S WAY」を聴いて満足していることでしょう
終わりに
如何だったでしょうか？音楽漫画の金字塔として、様々なオマージュ、エピソードを交えながら、地を這うような展開も挟みつつ、簡単に成功は掴めない、だからこそ価値があるという教訓を示されたようなバンドのサクセスストーリー、いつまでも語り継がれる名作です。コユキの、BECKの5人を中心としたドタバタ劇、また何回でも彼らに逢いたくなってしまいますね！今までお付き合い頂きありがとうございました
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