「バガボンド」24巻の数々の激戦と成長譚~巌流島の前哨戦!?武蔵と小次郎の邂逅再び…ついに一年前の因縁の決着、伝七郎戦へ~

前回までのあらすじ

どうしても譲らない植田に、伝七郎植田を破門すると言います。当主の決定だと…

小次郎武蔵の作った雪だるまに顔を作っています…

武蔵と小次郎、2度目の邂逅

武蔵は夢を観ます。幼い頃洞穴で武芸者の最後の姿を見た武蔵、刀を抜き、奔放に振り回しています。山と一体化して自由を得る武蔵、答えは刀が教えてくれると無邪気です。洞穴でのそんな出来事を束の間武蔵は思い出します

おっさん穴での出来事を片隅に、傷口が塞がった武蔵は雪だるまと戯れている小次郎に出逢います。小次郎は木剣を振るように細い小枝で雪だるまを斬ろうとしています。当然枝は脆く、非常に難易度は高いのですが、小次郎はそこに挑戦しているのです

武蔵小次郎を見ながら、一度理に合っている、何故回り道をしたのかと述懐します。すると小次郎が小枝でちょっかいを出してきます。武蔵は考えに浸りながら、難易度の高い小枝でのやり取りからコツを掴み、雪だるまを両断してしまいます

理から遠ざけたのは自分自身だと悟った武蔵小次郎と戯れるように小枝でやり取りします。陰で見ていた光悦は、もし真剣だったらと身震いします。小次郎が刀を抜こうとし、隙のない武蔵を見て刀を納め、光悦の母が現れると、小次郎は腹が減ったとアピールします

武蔵は「抜いてみればよかったのに…おおよそどっちが斬られるかは分かっていたけどな」と呟きます

決戦前夜、それぞれの夜

夕食を共に取る武蔵達。野人のような小次郎に苦言を吐きながら、武蔵小次郎はここで初めて互いの名を知ります。光悦は余人の想像の及ばぬだた一人の道を行く者二人、寂しさが和らいだのなら良かったと言います

武蔵は刀に頓着のなかった自分を恥じ、借りている刀ではなく、自分の刀を明日の決闘に間に合うよう研いでくれと依頼します。光悦は承諾します

又八吉岡の屋敷から逃げ出しますが、追手に捕まってしまいます

伝七郎は夕食に卓袱台を持ってきて家族で飯を食べようと提案します。十剣に植田を破門にし、代役の話は無しだと語る伝七郎、なんと代々吉岡家の剣を受けてきた大岩を剣で割ってしまいます!吉岡の意気が上がります!

光悦妙秀光悦の母)に暇乞いをし、小枝でついに雪だるまを割った小次郎とも別れ、決闘の場へ赴きます。そこには本位田のおばばの姿もあります。道中突然植田とばったり出くわした武蔵、すると植田武蔵に鉄砲を向けます!

一年前の因縁の決着へ…

会場の蓮華王院には既に人だかりが出来ています。おばばは最前列を確保します。おつう城太郎沢庵の姿も見えます

植田はそのまま京を出て行ってくれぬかと言います。清十郎を斬ったのは誰かはもう誰もが知っている、お前の野心は十分に実を結んだと…しかし武蔵植田にテッポウは似合わねえなと詰め寄り、植田は撃ち方すら分からんと鉄砲を投げ捨てます

再度京を出て行ってくれないか請う植田伝七郎が斬られたら、吉岡の門弟一人残らずその日から仇討ちの為だけに生きるだろう…と脅します。しかし、武蔵は行ってしまいます

武蔵が会場に着くと、人だかりが凄くて中に入れません。おつうは遠目で武蔵を見つけ、涙します。武蔵は無理矢理人垣をかき分け、会場に入ります。伝七郎を見つけ、「さてやりますか」と平常心です

又八吉岡衆にボコボコにされ、俺を笑えるかと問います。ここでも大口を叩き、斬り合いをしようとしますが、肝心の刀がなく、さらにボコボコにされます

伝七郎武蔵のゆるさはゆるくはあるが軽くはないのだと実感します。まるで清十郎のようです。兄は確かに武蔵に斬られたのだと理解します。大柄の伝七郎は上段に構えます。武蔵は刀を抜かず、様々なパターンで仕留めるシュミレーションをしています。なかなか抜かない武蔵に無言の圧を感じた伝七郎は次々と構えを変えます

武蔵の耳には小次郎の声が残っていました。再度上段に構えた伝七郎に刀を抜いていないのに振り込む武蔵、近づいて抜いていなかったことに気づき、飛ばされます。「軽すぎるとは思った、こりゃ失礼」とやっと刀を抜いたところでこの巻は終わります

まとめ

誰もが知っている巌流島での決戦の前に、井上雄彦先生は独自解釈として本阿弥邸での二人の邂逅を描いています。原作では派手な大口叩きの小次郎ですが、バガボンドでは言葉を持たない聾唖者、雪だるまを介した小枝でのやり取りとして今作では収まっています。言葉がなくとも本質は分かるという教えを示しているようですね

植田伝七郎を、吉岡を想うあまりの行動は、分からなくもありません。しかし、武蔵を止めることは出来ませんでした。勿論立ち会っても敵わないと踏んでの寸劇だったのでしょう、悲しいかな、出来るからこそ、武蔵の飛躍的な腕の上達が分かるのでしょう。清十郎と違い、部下思いの伝七郎は人望があります。植田吉岡全員が血眼になって追い続けるぞという脅しも、武蔵は聞き入れませんでした

最早達観したかのような落ち着きを持つ武蔵。立ち会う伝七郎自身も薄々気づいているようですが、腕の差は歴然としています。吉岡当主としての意地を見せるか、武蔵の完勝か…21巻の冒頭に繋がるのか…続巻で答え合わせしましょう!!

おまけ

井上雄彦先生バガボンドを描く様を詳細に撮影した「DRAW」というDVD作品があります。あの非常に繊細で、緻密な絵はこのように描かれていたのか!と非常に興味深い作品となっていますので、是非見てみて下さい!

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