「バガボンド」36巻の数々の激戦と成長譚~強力な牽引力を持つ武蔵に感化される村人達…田んぼ作りと飢えとの壮絶な闘いの果てで~

前回までのあらすじ

豊左衛門は主命ならばと木刀を抜きます。しかし武蔵は一刀し、「腕ずくだと?そこまで出来た人間じゃねえ」と一蹴します。畑を耕す武蔵の元に、瘦せこけた村の住人が「手伝わせてくれ、未来の光がほしい」と現れます…

武蔵の田んぼ、一筋の光

武蔵は水田を作ろうと田に水を入れますが、水田にはなりませんでした。伊織は一部だけ水が残っていると騒ぎます。皆途方に暮れる中、武蔵は諦めません。我執が剣を振れといいますが、武蔵は鍬を振るいます

武蔵に土を食わせた秀作の家の米が盗まれてしまいます。秀作は誰の頼みも借りずに生きてきた結果だと言います。秀作は種もみを畳の下に隠しており、何とか今後の分は助かります。秀作は盗みを働いた源太新助を脅し、炊き出しをやらせます。村の皆喜んでご馳走になります

武蔵秀作の家の土を食べますが、違いが分かりません。土の音を聞いてみます。秀作は命のにぎやかさが違うと言います。何度でもへこたれずに鍬を振り続ける武蔵を見て、最初恐れを感じていた村人も変わってきます。手伝わせてくれと言うのです。皆土の様子が変わって来たように感じ始めます

秀作武蔵達の田を見て、水を入れるよう指示します。しかし無情にも水は張りません。伊織はまた少しだけ水が張っている場所を見つけます。秀作はここは当たりだと言います。この小さい水溜まりを押し広げるように耕していくんだと言うのです。諦めかけていた皆で駄目だったところは畑にし、田んぼを押し広げていきます

過酷!飢えた村を救う術は!?

村の衆皆体調が優れぬ中、必死に田んぼ作りをします。武蔵が牽引しています。流石の武蔵も倒れてしまいます!夢で吉岡の連中があの世へ誘っているかのようです

長老は死に、祠に水を入れる仕事を秀作が引き受けます。武蔵は村人から介抱を受け、回復します。村人達は「せめて歌ってやろうや、笑ってやろうや」と鍬を振るいます。秀作は自分の土地の土を分けてやると言います。土を混ぜ、耕し、水を張ると、ついに水田が出来上がります!

秀作は自分のところと武蔵の田んぼに残りの種もみを全て植えると言います。収穫の日がきたら皆で分けるのだと…。村では死人が出ます。この冬を越えられるか…収穫までまだまだ時間が掛かるのです。少しずつ取り崩して食いつないできた稗や蕎麦、干し大根が底を尽き、木の実、山菜、野草、草の根等食べられるものは何でも工夫して食糧としますが、それすらも食べ尽くし、自殺者も現れます

武蔵辻風黄平の影を見ながら、ここが死に場所ってことかと感じます。伊織もぐったりしています。松の皮を剥いで臼でひいてザルに通し粉にしたものを水を加えて煮るという最早過酷な生存競争です。武蔵は集落が死んでいく様を目の当たりにして、重い腰を上げて、旅籠に行き「助けてくれ」と頼みに行くところでこの巻は終わります

まとめ

絶対に諦めない武蔵が強力な牽引力となり、最初恐れていた村の人々も感化され、農作業を手伝うようになってきます。皆武蔵の姿勢に心動かされたのです。絶望的な村の状況の中、秀作の知恵と武蔵の諦めない姿勢が、村を何とか生きながらえさせています

物で溢れ、飢えるということはまずないであろう現代の日本を生きる者としては、生きるということがこれ程過酷なことなのかと実感せざるを得ない巻でした。ここまで壮絶で、飢えへの恐怖を感じながら生きていくというのは絶望を抱えながら生きているようなものだと感じます。今の世の中色々と問題はありますが、この時代のこういった状況を知ると、如何に恵まれた環境で生きているのかと考えさせられます

伊織の気づきから田を広げ、ついに水が張れ、田んぼが出来ると喜んだのま束の間、人々は飢えで苦しみます。今まで人に頭を下げることなどなかった武蔵が重い腰を上げ、「助けてくれ」と請いに行く姿は、そこまで武蔵すらも追い詰めていたのだなと感じさせます。果たして武蔵は、伊織は、村の人々はどうなってしまうのか…最早農業系漫画、続巻も読みましょう!!

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