前回までのあらすじ
小次郎も鬼のように強いと聞いたことがあると語る男に、又八は「小次郎が武蔵を倒すだろう」と豪語します…
天下無双・柳生石舟斎にぶつかる!
おつうは石舟斎に孫の兵庫介からの手紙を持っていきます。石舟斎はあまりの嬉しさになんと剣で文盤を斬ってそそくさと中を確かめます。とても嬉しいようです
越前結城家家老の本田富正は柳生家の道場で四人の腕に惚れこみます。村田与三(馬廻り)、手淵孫兵衛(徒士頭)、木村助九郎(納戸役)、そして筆頭の庄田喜左衛門の柳生四高弟の誰かを引き抜きたいようですが、誰も出ていく気はないようです。こちらも兵庫助が帰って来るのを待ちわびています
武蔵は今度は柳生石舟斎にぶつかろうとしています。城太郎は無謀と言いますが、武蔵は天は笑いはしないと息巻きます
どうやってその門をくぐるか思案する武蔵、領内を歩き、柳生が戦火にかかっていないことを不思議に思います。領主・石舟斎の力ということでしょう。武蔵は城太郎と共に風呂に入ります。すると、先に大柄の男が風呂に入っています。兵庫助です。彼は門に入る前に身を清めようと考えています
庄田が伝七郎との使いを終え、石舟斎に報告しています。しつこい伝七郎に、今度はおつうを使いにだそうと、芍薬付きの文を持たせます。孫自慢に付き合わされ、おつうは羨ましいのか涙が溢れます
兵庫助は武蔵に風呂が嫌いかねと訪ねます。兵庫助は風呂嫌いの理由を心の構えまで垢と一緒に解かれてしまう気がするからだろうと言います。真意を突かれた武蔵、兵庫助は同じ匂いを感じ取ったようです
おつうは綿屋までの道中で城太郎に逢います。泊っているので道案内をしてくれることになります(武蔵とニアミスになります)。おつうは武蔵の幼い頃のようだと感じます。綿屋ではむさくるしい伝七郎におつうが丁寧にお断りの旨話をします。芍薬も添えますが、伝七郎は花など似合うとお思いかと一蹴します
おつうは綿屋の女の子に芍薬をあげます。隣の部屋には武蔵がいるのです!芍薬を見た武蔵は、その切り口に非凡なものを感じ、刀で切ってその切り口を見比べています
芍薬の切り口
ついに兵庫助が帰って来ます!道場では村田が早速試合を申し込みます。石舟斎はその逞しい身体つきをみて、ひとしお鍛え上げたものと見ます。村田はこの時を三年待ったと息巻きますが、兵庫助に一刀の元やられてしまいます
気づくと四高弟みんなやられており、我らが研鑽を重ねても若殿はさらに先に行っておられると感服します
石舟斎はこの日新陰流の極意のすべてを残さず嫡孫兵庫助に相伝します。兵庫助は上泉守が何ともまろやかな顔をしていたのですねと言います。そこには上泉守の霊がいるのです!石舟斎は喜びの余りデタラメの太鼓を叩きます
武蔵は一計を託し城太郎を仕向けます。おつうと庄田に逢った城太郎は、師匠の手紙だと庄田に言いますが、庄田はまともに取り合おうとしません。城太郎は読まないなら斬れと座り込みます。庄田は手紙を読みます
手紙には誰が芍薬を斬ったのかと記されています。非凡な切り口だと言うのです。四高弟が不思議がる中、庄田は斬ったのは石舟斎だと言うのです。宮本武蔵からということで、その勇名を聞き及んでいた四人は逢ってみたいと感じます
城太郎は使いの間に犬と戯れますが、引っ掛かれてしまいます
出立した伝七郎は、ばったり武蔵と出くわします。伝七郎はここは空っぽの里だと言います。初春の再戦を喫して別れますが、武蔵は振り向きざまに花を投げ、伝七郎は一刀します!切り口を見て、武蔵は「死んでるよ。吉岡伝七郎」と言います
一人対一城の合戦
兵庫助の元髪を丸める石舟斎。また諸国を旅しながら修行を積むという兵庫助に、妻を娶る気はないかと問います。そこにおつうが現れます。兵庫助とおつうは特別な感情を感じ合います。すると石舟斎が血を吐いて倒れます!
武蔵は返信を貰い、柳生の城門をこじ開けたと喜び、震えています
兵庫助はおつうに自分が石舟斎の生き写しだと言われて嬉しかったと説きます。おつうは石舟斎が戦国の世に何処にも属さずいたことでこの山間に三千国は残り、一族の最高傑作の手へと渡ったと喜んでいたことを伝え、兵庫助は涙します
武蔵は一人対一城の合戦だと息巻き場内に入ります。武蔵を招いた四高弟は、普段は武者修行は断っているのだが、剣について語りたいのでこの場を設けたと一献席を持ちます。懸案の芍薬を斬ったのが石舟斎だと知り、武蔵は喜びます。「もしあれが一使用人が斬ったものなら、柳生家の剣は俺にとってあまりに巨大なことになる」と言うのです
切り口の違いが分からないから説明して欲しいと問う庄田に、武蔵は口で説明するには難しい、太刀を取って試してもらうしかほかないと言います。武蔵は村田を挑発して突破口を見出そうとします
城太郎は先程やられた犬に名乗りを上げ、勝負を挑みます
新陰堂では武蔵と四高弟の話が盛り上がっています。武蔵は話題を変え、柳生滑稽と挑発します。挑発に乗る村田に酒を取らせに行かせ、場を落ち着かせる高弟達。すると犬の太郎が吼えていることに気づきます。庄田と手淵が様子を見に行きます。二人になった木村は武蔵に喇叭者が紛れ込んでいるかもしれないと説きます。そうなれば好都合、早く剣を抜けと逸る武蔵、すると犬が死んだようです
宗矩の愛犬太郎を殺したとして、城太郎が責められます。城太郎は顔のひっかき傷を見せながら、ちゃんと名乗り出て勝負して俺が勝ったのだと言いますが、処分すると言われます。城太郎は「殺すなら殺せ、その代わりお前も道連れだ、殺してやる」と言ったところでこの巻は終わります
まとめ
今まで吉岡・宝蔵院と正攻法で攻めてきた武蔵ですが、柳生の城に入るのは容易ではなく、一計を案じます。実際そう感じたからなのでしょうが、芍薬の切り口が非凡なので誰が斬ったのか問う手紙を出すとは、武蔵も変わり者というか、やはり只者ではありません
柳生は決して開かれている国ではありませんが、剣豪が育つ国として一目置かれています。他藩ではもっと役職も付くでしょうが、柳生四高弟は柳生を離れる気はないようです。そこに一族の最高傑作・兵庫助が帰って来て、石舟斎は相伝をします。相伝を終え、血を吐き倒れる石舟斎の様態が心配される中、武蔵は柳生の城に侵入することに成功します
何かしら因縁をつけて突破口を見出そうとする武蔵、なかなか四高弟は乗って来ません。そんな中、城太郎が宗矩の愛犬の太郎を殺してしまいます。城太郎は武蔵の弟子です。これは只事では済まなそうな雰囲気が漂ってきますが、却って武蔵には好都合なのかもしれません。果たして城太郎は、武蔵はどうなるのか、続巻で答え合わせしましょう!!
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