前回までのあらすじ
アメリカ人の分かりやすい気質…一度良いものと分かれば手のひらを返すように認めてくれるのです!千葉との確執を気にする竜介ですが、千葉は今日で最後だと前を向きます。5人の演奏がさらなるグルーヴを産んでいきます…
フロアがみるみる一杯に…!!
5人のケミストリーがスパークしたBECKの演奏は確実にオーディエンスに届いています!自然とダイブまで巻き起こる狂騒、がっちり噛み合った歯車は、ライブハウスを高揚させていきます
ケビンはエリックに賭けのことを話します。なんとかBECKの力になりたいエリックは、BECKのライブを多くの人に知ってもらいたいという使命感から、ライブハウスへの入場料を無料にするよう交渉し、どんどんと人が溢れ、マリアは驚愕します
千葉にマイクを渡された竜介ですが、「THANK YOU」の一言しか言いません!言葉以上のものが伝わっているのです。ラスト2曲をコユキに託します。流石にカフェスペースの全ての人を移動させるのは厳しく、ケビンもエリックの無料の件を撤廃させ、賭けを終わらせるつもりです
しかしコユキの歌声は多くの人の心を動かす、驚愕のメロディーを奏でます!なんと700人くらいの人が入っているのです。無謀な賭けは当然負けそうですが、エリックは竜介がバンドを信じた気持ちも分かると感じます
ラストの「OUT OF THE HOLE」でアメリカにさよならを言おうと決めたコユキでしたが、予想外のことが起こります。ダイブリのマット・リードが酔っぱらいながらふらりと現れるのです!途中で多くのファンに見つかり、大勢連れてBECKがライブをしていることを聞きつけたのです
マットはコユキの声を「たまにひどく聴きたくなることがある」と称します
マットとの奇跡的な一夜
マットは念願のコユキの歌声を聴き、「JISUS CHRIST」と思わず呟きます。あの時の少年が、バンドで、最高の歌を歌っている…BECKの演奏は確実にアメリカ人に届き、受け入れられています。アメリカの盛り上がり方は日本より凄いと感じるコユキ、竜介と千葉も和解します
観客の歓声は鳴り止まず、アンコールを2曲という指示を受けると、楽屋にマットが入って来ます!ニューヨークのレコーディングを抜け出して来たというマット、なんとBECKと共にアンコールのステージに上がります
マットの登場で観客のボルテージは最高潮に盛り上がります!酔ってフラフラのマット、なんとケビンのギターを使い、今朝ラジオで聴いたという「SEARCH AND DESTROY」を演りたいと言います
マットとコユキの歌声のハーモニーは信じられないくらいに空間を掌握し、奇跡的な時間となります。マットは最後にギターを客席に投げ、ドラムセットに倒れ込み、最後は客席にダイブして終わるという破天荒なステージングを見せ、伝説となるのでした
竜介はマットの力で満員にはなったが、賭けは負けだとルシールを差し出しますが、ケビンはマットが来たのもバンドの力と言えなくもない、ビジネスとして、今後もツアーを頼むと言います!
マットが一緒に外に飲みに行こうと誘って来ます。マットはロック界一クレイジーで近寄りがたい雰囲気を持つ男と言われています。ダイブリみたいな大成功しているバンドは正気を保てない程のストレスとプレッシャーがあるのかなとメンバーは感じます
翌日カート・コバーンの自殺した場所を訪れ、急激に手にした成功で状況の変化に対応出来なかったのかと述懐します。竜介はコユキにスターになる準備は出来ているかと訊ねます
アメリカツアー完結!
日本に帰った真帆と弘美の元にコユキから手紙が届きます。紆余曲折あったものの、順調に全米ツアーを続けるBECK、ニューヨークでもケビンの執拗なコユキへの叱責は続きますが、竜介にタイムズスクエアに向かうと伝え、なんと賭けの約束通り素っ裸で走るのです!
そこになんとエディが現れます!エディは本物のエリカ・ブライジとの共作のテープを持ち出し、レオン・サイクスに違うテープを持っていったのではないかと言います(竜介は以前コユキに異なるギターを渡していたり少しおっちょこちょいなところがあります)
ニューヨークのBCGというライブハウスでも最高のギグをかまし、なんとミュージックバイヴの取材まで受け、全米中に放送されるというのです!真帆はそのことを電話で話しながら、コユキ達がどんどん遠い存在になるように感じます
シャーロット郊外のライブハウスは最早ボーリング場のような場所でしたが、テレビの影響力は物凄く、満員です。微熱のある平くんも含め、メンバーは劣悪な環境でも最高の演奏を届けます
アトランタでは地元のラジオ局の取材も受け、客足も上々なBECK、ほぼ満員のライブが続き、それに答える凄まじいライブを行っています。1か月半のアメリカ生活、いろいろありましたが、5人は素晴らしい時間を共に過ごします
ついに別れの時、エリックはコユキにケビンから託されたビッグマフを渡し、ケビンからの次のアルバムは重要な意味を持つ、最高のアルバムを作れという激励の言葉を告げます。竜介は店との契約の件があるためアメリカに残ります
竜介が新聞でレオンが無罪の可能性があると読んだところでこの巻は終わります
まとめ
ライブを観ていると、その場でしか味わえない、奇跡的な瞬間を目撃することがあります。今回のダイブリのマットとの共演のように、ライブ会場で、実際に脚を運んでいないと体験できないような本当に偶然が重なった展開というものが起こるので、ライブというものはやはり実際に自分の目で見るべきものです
アメリカという地でBECKが受け入れられていく様は非常に痛快で、特にBECKの場合は例えば大手の音楽会社の後押しもなく、地道なライブ活動から認知を広げていくバンドなので、野外フェスでの伝説のライブと言い、非常にドラマチックな展開に心躍りますね
真帆はBECKを初期から知っている人物ですが、どんどん大きくなっていくBECKに、コユキに、自分が置き去りになっていくような疎外感を感じ始めます。古参ファンの悲しい心情が伺い知れ、また、バンドあるあるな話だと思います
なんとか無事アメリカツアーを終えたBECK、竜介はレオンの無罪の可能性に震撼しますが、今後の動向にも注目ですね!コミックスで読みましょう!!
おまけ
BECKはアニメ化がなされています。音楽監修はビークルのヒダカトオル、コユキの歌唱はハスキングビーの平林一也と、当時の音楽シーンでは異例なくらいミュージシャンが関わっています。また、現クロマニヨンズのヒロトとマーシー、pillows等最早伝説と言えるくらいの豪華なゲストもあり、ファン必見の内容です。お話的にもちょうど今巻くらいの尺となり見やすくまとまっています
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