前回までのあらすじ
真夏の河原で汗だくでサックスを吹き、半裸になると警官に注意され、楽器入れに犬におしっこされと散々です
その犬の飼い主に大の音が好きだと褒められ、大が喜びます…
大の想い人・三輪舞
夏祭りの夜、三輪舞は河原で大を見つけます。大は想い人である三輪に照れながら練習を止め、好きな音楽の話をし、大は大音量でジャズを聴かせ、三輪はジャズへの認識が変わります。背の高い三輪は2年の修学旅行の時唐突に大からデートに誘われた事を思い出します
街なかのアーケードで演奏している若者に下手くそと言っているおじさんに大は最初は誰だって下手なのだと諭し、三輪は大を見直します
妹の彩花が友達と非公開のダンス練習をしており(笑)、大はその事を笑えないと自戒していると、バードの店主・川西が現れ、会わせたい人がいると言われ、バードに行くと、先日のおじさんがおり、サックスを聴かせて欲しいと言われます
先日のライブの件から爆音では吹けないと感じた大でしたが、気にするなと言われ、「チュニジアの夜」を吹きます。光るものがあると感じたおじさんは大にソロを吹かせ、スケール(音の並びの型・音階)の数は高校生レベルを超えていると感じます
大の演奏に躍動感で理論を超えてくるのかと感じ、川西はこんな音の店にしたかったと涙し、おじさんは大にサックスを教えると決心します
由井とのレッスン
おじさん(由井)宅に行き、大に音階やコードの理論を叩きこみます。今まで自由気ままに吹いて来た大は衝撃を覚えます。ガソリンスタンドで仕事に励む大は、所長に釣りに誘われ、そこでスタンドがセルフ式になるため、仕事がなくなると話されます
所長は3.11の日に兄の代わりで大が大混雑のスタンドの手伝いをした事が縁でアルバイトをする事になったのを思い出します。大は自分の事より所長達の心配をしています。店の最後の日、大は社員の前でサックスを吹きます
由井は練習で大の変化に気づき、先日のスタンドをクビになった件(自分の事より社員の心配をしている事)が音に影響するのかと感心します。更に正しいアンプシェア(咥え方)を学び、音も更に大きくなり、その伸びしろに期待が持たれます
一緒に外食をし、世界一のジャズプレイヤーになりたいと明かし、湧いてくる感情を皆に聴いて欲しいと言うのです!そのふてぶてしさに由井は呆れ、大は自転車を飛ばし埠頭で練習をします
定禅寺ジャズフェスティバル
夏期講習が終わり、女に軽い玉田は打ち上げも兼ねて大の家に友人と押し掛け、遊び道具が何もない大の家で仕方なくトランプを楽しみます。宴会が始まり、玉田は割りばしのケツ割りを披露(笑)、大は出来ませんでした…全員の好きな子の話になり、大は三輪だと明かします
将来の話となり、皆それぞれ進路を考えていますが、大は本気でプロになると豪語、あまりの自信に玉田はなれるかもしれないと感じます
由井のレッスンで細かい指摘を受け、由井も優秀なサックスプレイヤーだと分かり大は驚きます!しかし由井は「上手い」のはゴマンといる、お前の方が上だと大に言います
大は三輪と定禅寺ジャズフェスティバルに行きます!何十ものステージが組まれ、70万人が集まる仙台のビッグイベントです。ジャンルも幅広く、ジャズに囚われずロックやゴスペル等のアーティストもおり、更にビッグバンドの迫力に圧倒されます
ビッグバンドでソロを行った女性に挨拶に行く等大は心の底から楽しんでいます。気に入ったバンドで盛り上がり、また挨拶に行くのです。三輪は音楽の力の凄さを感じ、感心していると、大は唐突に道端でサックスを組み立て、路上でゲリラ的に演奏を始めます
その爆音に道行く人は驚き、そして足を止めます。人の心を動かす何かがある大の演奏に多くの人が惹かれます。最終的に運営の人に注意され、演奏は終わりますが、多くの拍手を貰います。三輪に褒められ、大は今日は吹かなくちゃダメだったからと自戒し、いつもの河原に行き着きます
場面変わって7年前大の母は亡くなり、5年後大の兄・雅之は早くに仕事を始め、初任給で大と彩花に食事をおごります。欲しいものはないかと言われ、大はあるけど絶対に言わないと強情です。最終的に大は欲しいものはサックスと明かし、雅之は大のために50万以上もするテナーサックスを購入し、大にプレゼントします
大は昔の事を思い出し、河原で今後吹く事に決めます。時間が現在に戻って、雅之はローンを払い終わった事を悟ります。久しぶりに大にサックスを見せてくれと言い、大が酷使して最早ピカピカではないですが、大事に使っている事を知り、雅之が喜ぶところでこの巻は終わります
まとめ
本レビュー掲載者は定禅寺ジャズフェスティバルで行われた作者石塚真一先生のトークイベントに参加した事があり、そこで実際話された印象に残っている話として、三輪舞のエピソードが上げられます。BLUE GIANTシリーズは特に大が仙人のようなストイックで唯我独尊ぶりが見ものなのですが、多感な高校生の頃に好きな子がいたという点がポイントです
石塚真一先生は作品中唯一の恋愛要素としてこの三輪舞を登場させた事を話されており、今後も三輪は登場しますのでお楽しみに!
また、定禅寺ジャズフェスティバル自体も行ったことがありますが、この漫画で描かれているような本当に多彩なジャンルの音楽があの大都市で鳴らされており(入場フリーなのです!)、もし行く機会があるようならおススメしたいところです
石塚真一先生は漫画の舞台を仙台にした理由は、歴史も文化もあり、東京からも程良い距離感である点(そしてブレーンであるNUMBER 8氏の出身地)という事も要因としてあったようです。私は一時期たまたま愛宕橋というまさに大が河原の土手で練習をしていた場所の近所に住んでいたので特別な感情が湧いてきます
まだまだ蒼い部分が多く、由井の存在からさらに上達が期待される大、3巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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