前回までのあらすじ
川喜多は若い客層を見てジャズっぽくないと感じつつ、粗削りながらライブ中言い合いをするくらいの威勢の良さを買います。そこで大が一段、いや、更にもう一段ギアを上げる圧巻の演奏を見せたため、川喜多はちょっと負けに行ってくるとギターを持って飛び入りします…
川喜多も認めたJASSの伸びしろ
川喜多はあえてサックスの代表曲「インプレッションズ」をリクエストします。大は先に川喜多にソロを譲り、川喜多は熱いプレイを披露、客も盛り上がります。川喜多はまた勝負しに来ても良いかと沢辺に聞き、大の名前を覚えておくと言い去ります
翌日川喜多は沢辺のピアノはともかく、大のサックスにまいったと実感します。川喜多はSNSで今回の事を呟いており、沢辺は良い宣伝になったと喜びます。勝負がどうだったのか分かっていない大に沢辺はもっと客観的に吹けよと話します
次のライブ(3回目)で何と客が23人も入っています!ライブは盛り上がり、大も沢辺もファンに囲まれる中、玉田は常連のおじさんに君の成長するドラムを聴きに来ていると言われ涙します。沢辺は今回のライブのギャラ(3万)を貰い、貰うレベルにないという玉田にも3等分にします
玉田はドラムレッスンの先生にお礼にビールを買っていきますが、何と先生はまだ未成年で、同い年くらいの人に教わっていたのかと驚きます。先生はギャラが貰えるなんて、とてつもなく練習しがいがありますねと労います
沢辺は5000円分の花を2つ頼み、一つは実家へ、もう一つはアキコに贈ります。大は迷った末、一番安いフルートに全財産を叩きこみ、彩花に送ります。次のライブも大盛況、大の圧巻のサックスに魅せられた客の一人は、バンド名のJASSが実は深い意味が込められているのでは?と憶測します
大はライブを重ね、無意識に音と自分が繋がったソロを時折吹ける時があるが、一流プレイヤーの映像を観ながら彼らの様にはまだ吹けていないと実感します。大は自身に足りないものを模索しつつ、サックスのメンテナンスを怠っていたと丁寧に磨きます
10年バンド:ザ・ファイブ
ザ・ファイブというジャズバンドは横浜を拠点に、メンバーは4人に減ってしまいましたが10周年という事でライブを気張ります。打ち上げではお互い愚痴り合い、メンバー間の温度差もあります。オフの日も以前のような熱量はなく、バンド以外の時間に重点が置かれるようになっていきます
森はレコード会社にCDを売り込みに行きますが、ジャンル的にも、年齢的にもメジャーデビューは無理だと言われます。やっと見つけて来たライブ先は最早出会いバーで、散々な目に遭います。森に川喜多からJASSのライブを観に行けと連絡があり、メンバーと観に行きます
森は大が定禅寺ジャズフェスで観た男だと悟り、打ち上げに誘います。森は自分達の現在地を語り、沢辺は才能がないって事だと酷評します。大はいずれ武道館・東京ドームをいっぱいにして、日本一・世界一を目指すと豪語、ゴールがない世界でずっとやり続けられるなんて最高に幸せじゃないかと語ります
沢辺は作曲に精を出し、最低でもあと5曲、打って出れる曲を作りたいと試行錯誤します。沢辺は大にも作曲をしろと言い、モンクやコルトレーンのように残る曲(皆に愛され、カバーされていく曲)を作れという事で大も悩んでいると、電車で楽器を持ったおじさんに声を掛けられます
おじさんは自身のトランペットを500円玉貯金で貯めて買ったのだと嬉しそうに語り、何と吹くために歯の矯正までしたという筋金入りですが、実際音を聴いてみると大が今まで聴いて来た中で一番下手だというくらいのプレイですが、楽器には合ってると感じます
So-Blueへの道…
いつかSo-Blueでプレイする事を夢見ながら、沢辺は難解ながらもカッコいい「N.E.W.」を作曲、譜面にすると非常に高度なプレイが求められます。対して大は譜面無しで「マイバディ」を作曲、沢辺は面白いと感じ、譜面おこしやコード・アレンジもやってやると言います
沢辺は川喜多の元を訪れ、どうしたらSo-Blueに立てるかと提起し、10代でそれが出来たら大きな話題となると持ち掛け、舐めてないか?と言われますが、沢辺は球児が甲子園を目指すようにずっとSo-Blueに憧れて来たと言います
練習により厳しく熱が入る沢辺、川喜多伝手でSo-Blueの平から連絡が入り、熱心に勧誘、ついにライブを観て貰える事になります。全力のライブを展開し、終演後隣のバーで待ち合わせした沢辺は、平に感想を聞くと、玉田や大については好意的なものの、沢辺のプレイは駄目出しされます
更にソロの出来から態度にまで悪評を付けられ、平は去り、沢辺は普通あそこまで言うか?あの人いい人だな…とSo-Blueの大きさを感じ入るところでこの巻は終わります
まとめ
まだ全員10代という若さと勢いでJASSは飛躍的に動員を増やしていきます。川喜多やザ・ファイブ等のベテランも彼らのレベルの高さと伸びしろに期待していますが、特にザ・ファイブの面々は紆余曲折の10年間を過ごし、夢と現実の狭間で苦悩しており、そんな姿に沢辺は才能がないと冷淡です
音楽で成功するという事は非常に狭き門です。ましてジャズですから、更に間口は狭いのです。音楽だけで食べていけるのは本当に一握りで、非常にシビアな世界です。本業として、またはサブとして他の仕事をこなし、趣味感覚でプレイしている人たちも沢山います
漫画の世界なのでどうしても良い結果が求められますから、大達の成長・成功場面が多くなりますが、このように厳しい現実もあるという事を、読者に投げかけているのではないでしょうか?
また、日本一のジャズクラブ・So-Blueに自身のバンドで立つという沢辺の夢も、そう簡単には実現されそうにありません。平は厳しい現実と共に、沢辺から滲み出る人間性すらも見透かし、その資格はないと酷評します。沢辺のリベンジはあるのでしょうか?8巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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