前回までのあらすじ
リエージュでの熱演後、ニューヨークのtinysというジャズクラブから出演依頼のオファーが来ますが、NUMBER FIVEは大あってのものと譲らないラファエルは、アーネストとの4人でという打診に、体よく断ります
流石のアーネストもこの扱いに頭にきて、俄然大の顔が見たくなったと怒ります…
NUMBER FIVEメンバーが選んだのはやはり大!
アーネストは大との違いを尋ね、パワーも同程度、テクニックに至ってはアーネストの方が上なのに、メンバーから大が言葉では説明出来ないプレイヤーなのだと言われうんざりします。大は帰国の目途が付いたという事でしたが、ガブのバンが故障し、先に着く大にライブ前に場を温めておいてくれと頼みます
大は圧巻のソロを披露し、ライバル心剝き出しのアーネストは俺の音も聴いて貰いたいと共演します。ソロではアーネストは大に食ってかかり、まるで潰してしまおうという程のかぶせ方をして来ます!ガブはこの二人のプレイを見て、「分かった」と呟きます
アーネストは大を凌駕したように見えましたが、実際観客の反応もアーネストの方が勝っていたようでもメンバーは大の復帰を歓迎します。大の父は脳梗塞でしたがリハビリをすれば良くなるという事で置いて来たと言い、お土産に仙台銘菓・萩の月を渡します
大はアーネストに興味津々で、他メンバーが先に休む中、二人のやり取りは熱を帯びます。徐々に険悪になっていく二人に、ガブが助け船を出します。ガブはアーネストは余力を感じるプレー、華のあるプレーだと評し、対して大は自分の底を見せるプレイ、予測のつかないプレーだと言います
二人は相反し、お互いこれから有名になっていくであろうとライバル心剥き出しです。アーネストは帰国し、自身がバンドに受け入れられなかった事を「SHIT!!!」と怒ります
ラファエルの殻を破れ!
NUMBER FIVEは大復帰と共に更に知名度を上げ、各々のスキルも上がっていきます。ハンナも向上している中、感情表現の乏しさを危惧したメンバーですが、ハンナはライブ中客が倒れるところを演奏を一人抜けて助けに行くくらい、優しさも気遣いも出来る女性なのです
大達の快進撃が続く中、パリに移動、凱旋門も観光しますが、ナーバスになっているハンナ、それもそのはず、ウッドはハンナが元所属していたモーレン5との対バンをブッキングして来たのです!パリ1のジャズクラブ、サン・ムーンは1階・地下にそれぞれライブスペースがあり、同時にライブが出来るという変わり種です
NUMBER FIVEはムーンサイド(地下)で、ブルーノはトイレでモーレン5のメンバーと若干揉めます。ラファエルは大とパリ観光をしながら、他メンバー同様ラファエルも変われと言いたいのだろうと見抜きます。バンドを支えるドラムが変化する事で空中分解しないか心配するラファエルですが、大は変わろうと引きません
実家を訪れ、常にハッピーマンであった自分が変わる事への恐れと予感を感じていたラファエルは、決意新たに他メンバーの前に現れます。モーレン5の連中といがみ合いますが、口火を切ったブルーノを引っ込ませ、逆にギャフンと言い負かすのはなんとあの温厚なラファエルなのです!
リハでは少しずつ自身の殻を破るドラミングを見せたラファエル、本当に自我を開放したらバンドが崩壊しないか?と危惧もあります。ウッドと共にハインドルも来ており、発破を掛けられ、ラファエルは試したい事があるとメンバーに持ち掛けます
ハンナの古巣・モーレン5と対バン
恋人のセバスチャンにいつもジャズライブに連れて行って貰っている女性(シャーロット)は遅れて到着し、モーレン5は完売のため仕方なく地下のNUMBER FIVEを観に行くと、そこでは最早狂暴とも言える音が鳴らされており驚きます。ラファエルは自我を開放したドラムソロを見せ、このバンドの伸びしろがまだある事を証明します
好評のまま終演し、アンコールでは何とラファエルのみステージへ、圧巻のソロを披露し、4人のライブへと繋ぎ、大盛況で終了します。落ち合ったセバスチャンにNUMBER FIVEの素晴らしさを熱く語るシャーロット、こんなに熱を入れている彼女の姿にセバスチャンは驚きます
ウッドはモーレン5を、ハインドルはNUMBER FIVEを観ていたため、2ndセットは逆に観ようと話します。ラファエルの挑戦を讃え、ブルーノは革命は始まったのだと発破を掛けます
シャーロットは友人のオリヴィアまで呼び出して、NUMBER FIVEを早く皆に見せたいようです。凄まじいプレイを見せたラファエルは、実家でくたびれてベッドに入りながら、今までは自分の事ばかり考えてプレイしていた、今夜やっとバンドを組んだのだと感じます
2日目、妙に意識しているモーレン5のメンバーを他所に、大はその時点でお前らの負けだと豪語します。ウッドとハインドルは敢えて外の店から客の反応を見たいと飲んでいます。ガブはライブの模様を録画し、その熱量の違いが鮮明に記録されます
最早NUMBER FIVEはモーレン5を食っており、客の反応も凄まじく、終演後サイン攻めにあい、ガブがざまあみろと映り込んだところでこの巻は終わります
まとめ
ガブは大とアーネストの違いを上手く表現しますが、素人目にはその違いは良く分かりません。NUMBER FIVEを近くから見ているメンバーとガブはその違いを十分に理解し、やはり大の方が良いと感じるのは、大が形容し難い特別な何かを持っている事が分かります
アーネストはヨーロッパでの大のライバルとして今後も登場しますのでお楽しみに!
熱演を重ね各々が更に上がっていく中、サムにも言われたドラムがキーマンだという言葉を忘れなかった大はラファエルに変われと発破を掛けます。ラファエルは多くのミュージシャンと手合わせし、我を出さず皆がハッピーになるような演奏を心掛けていましたが、自我を開放し、ドラマーとして更なる高みを目指す事にします
仲良しバンドではこういった発想は出て来ないでしょう。大はじめ、NUMBER FIVEのような己の魂をぶつけ合う・まるで喧嘩するかのようにやり合いながらお互いを高めていこうとするバンドに、ラファエルは初めてこの夜バンドを組んだのだと実感します
人間関係は誰だって良好なものが好ましいと思うものです。本音を隠し、互いの顔色を窺い、言いたいことを言わない美学も特に日本という国にはあるのかもしれません。大は生まれ持ったものもあったかもしれませんが、欧米の個性を重んじ、ぶつかり合いながらも切磋琢磨していく姿勢が気に入っているようです
バンドを更なる高みに…という想い、単純な仲良しバンドではなく、お互いを高め合う同志という考えには共感出来る部分もありますね!本当に様々なスタイルがあるとは思いますが、今NUMBER FIVEは非常に面白い状況にあると言えるでしょう。9巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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