「ゴールデンカムイ」21巻のアイヌ文化と食と金塊争奪サバイバル~アシリパ監督の撮る活動写真とは!?都丹庵士を巡る鶴見中尉と土方の高度なせめぎ合い…アシリパ・杉元、鶴見中尉を信用出来ず脱走~

前回までのあらすじ

尾形鯉戸少尉を蹴り倒し、馬で逃走します。杉元は何発も銃を撃ちますが当たらず、元気になって戻ってこい、ぶっ殺してやるからと凄みます…

「シネマトグラフ」で活動写真を撮る

突如白石は足を撃たれ、こんな正確な射撃が出来るのは尾形しかいないと感じますが、どうやら狙撃手は違う人物のようです。白石は動物を使って上手く紛れようとしますが上手く行きません…しかし杉元は巧みに距離を縮め、狙撃手のいる建物に侵入します

初弾は敢えて撃たせて、次弾装填時に倒す作戦で、杉元が襖を開けると案の定狙撃手は正確に撃って来ますが、それは鏡で、杉元は一気に接近戦に持って行きます。狙撃手は距離を取りたいため離れますが、杉元の方が一枚上手で倒してしまいます。狙撃手は尾形の絵を持っています

言葉が通じないため持っていた絵を使い相関図を説明します。狙撃手は国境でキロランケを待ち伏せていたロシア兵だと思われ、白石は人の足を撃ち抜く前に本人がいないか聞けと怒りますが、狙撃手は傷のせいで上手く喋れないのです

電報により鶴見中尉は樺太の大泊まで迎えに来るので杉元達に北の豊原で待機せよと指示があります。谷垣チカパシがいたお蔭で樺太で警戒されずに済んだと褒めます。エノノカが別れを惜しむと、アシリパはクズリ狩りをすると意気込みます

山に入る前にアシリパは律儀に火を起こしお祈りをし、杉元は感心します。すると唐突に活動写真の撮影家に撮らせてくれと言われ、そこにクズリ2匹が現れ、アシリパ杉元は連携して倒します(その模様は撮影されます)。脳味噌をヒンナヒンナして美味しく食べます

シネマトグラフ」で映像でアイヌ文化を沢山記録してきたという二人、活動写真を皆で観ると、動画としてちゃんと動いて見えるのです!音声は残念ながら残せないものの、アシリパはアイヌの昔話を動きで見せて活動写真に残そうと言い出します

興行主を説得し、監督のアシリパは(笑)「パナンペ・ペナンペ物語」の撮影を開始します。このアシリパが話す物語は全て下ネタありの荒唐無稽な変な話で、オチも秀逸ですが、本レビューでは詳細は伏せます。アシリパ監督は芝居作りに熱心で、こんなクオリティでは残らない、伝えられないと嘆きます

下ネタは止めて、「ケソラブの身の上話」を撮る事になり、主役のチカパシは物語に自分を重ね迫真の演技をし、良い活動写真が撮れます

都丹庵士は実は生きていた!鶴見中尉と土方の騙し合いによる攻防…

早速上映会をする事になり、なかなかの出来栄えです。後半にジュレールアシリパに見せたい活動写真があると言い、10年以上前に小樽で撮られたものには何とウイルクが映っています!アシリパの母らしき人物も映っており、感動していると、映写機が燃え、シネマトグラフでの映写では度々火災が起こっていたようです

アシリパは活動写真は素晴らしい技術だが、自分達で大切にする気持ちがなくては残って行かない、ウイルクキロランケが言うように守る為には戦わなければならないと言います。杉元はそれはアシリパじゃなくても良いのでは?と言いますが、アシリパはもう無関係ではないと強情です

杉元ウイルクキロランケがそう仕向けた呪いのようなものだ、アシリパに金塊争奪戦から降りて欲しいと本心を言います。地獄を知って欲しくないと…

登別では都丹庵士の刺青人皮も手に入れた鶴見中尉が有古を褒めますが、有古は刺青の模様が祖母達の腕に彫っていたものと似ていると鋭い指摘をします。鶴見中尉はよく都丹庵士の死体を見つけたものだと何か意味深です

有古は刺青人皮を盗み、死んだはずの都丹庵士と共に逃げます!これは鶴見中尉達が実は都丹庵士は死んでいなく、把握していた刺青と一致しなかった事から有古を泳がしており、土方に繋がっていると読んでいたのです。鶴見中尉は卑怯にも親族の事で有古を脅して来ます

有古達は逃げ切り、土方に合計6枚の刺青人皮を渡します。ところが有古鶴見中尉に二重スパイとして意図的に刺青人皮を土方側に渡すように仕向けられていたのです!鶴見中尉は江戸貝に作らせた精巧な偽刺青人皮で土方を混乱させようとしています

土方はそれが分かった上で、偽刺青人皮を手に入れたかったのです。土方は手に入れた刺青人皮6枚は限りなく黒に近い灰色、有古を使った作戦は非常に良い収穫になったとほくそ笑みます。鶴見中尉は暗号解読の鍵となるアシリパを我々で厳重に警護せねばと樺太へ向かいます

鶴見中尉に反旗を翻すアシリパと杉元

鯉戸少尉は月島に、尾形が別れ際ボンボンと言った他に今度鶴見中尉に会ったら「満鉄」の事を聞いてみろと言われていたと話します。南満州鉄道株式会社の経営は上手くいかないと抵抗する花沢中将(尾形の父)の自刃に鶴見中尉が関わっているのではないかと言うのです

尾形鶴見中尉の政変計画に加担していましたが、どこかで真相を知り謀反を起こしたのではないか…鯉戸少尉は「バルチョーナク」という言葉から、函館で拉致監禁された際覆面の犯人の中に尾形がいたはずだと言います。しかし月島尾形に操られている、鶴見劇場をかぶりつきで観たいと言います

月島が9年越しに鶴見中尉に操られた事を認め、「甘い嘘」で救いを与える常套手段で、とんでもない事を成し遂げるのはああいう人しかいないと豪語し、線が繋がった鯉戸少尉も鶴見中尉に心酔します(白石もそのやり取りを陰で見ています

昨日の件もあったからか、白石杉元に食って掛かり、アシリパは樺太での旅で多くを学び成長した、アシリパが「アイヌを背負いたい」というなら背負わせりゃいいだろと凄みます。白石には今の杉元が日和っているように見えているのです

大泊に到着した鶴見中尉はアシリパを確認し、杉元達とは離して連れて行くと言うので、アシリパ鶴見中尉に真意を聞き出します。アシリパウイルク土方にだけ私の存在を伝え、金塊をアイヌの為に使われるか見届けさせるためだと言い、鶴見中尉の考える未来にアイヌは存在しているのかと問います

鶴見中尉は言葉巧みに常套句を言いますが、どこか信用出来ず、脳液がダラダラ流れて不気味です。アシリパは信用出来ないと悟り、私の事は私で決めると無数の矢を天に放ちます!杉元はそれが毒矢だと巧みに嘘を付き、その隙に二人は逃げ出します

アシリパ相棒なら何かを「一緒にしよう!」って前向きな言葉が聞きたいと話し、杉元が俺達だけで金塊を見つけようと同意したところでこの巻は終わります

まとめ

シネマトグラフで活動写真を撮るくだりでは、アシリパの荒唐無稽の変な話が面白いですが(笑)、当時動画で撮って記録として残せるという事は画期的だったと思われます。この辺からアシリパはアイヌの事を後世に残していきたいという強い意志が見られます

実は都丹庵士は生きていたのには驚きましたが、彼の刺青人皮を巡る鶴見中尉と土方陣営の巧妙な駆け引きは見ものでした。結局江戸貝が残した偽刺青人皮を手に入れた事で、土方は収穫はあったとほくそ笑む訳ですが、この高度な駆け引き、どちらが上手だったのでしょうか?

ついにアシリパ鶴見中尉と会い、杉元達と離れるよう告げられ、自分が利用されているだけだと感じ、信用出来ないと杉元と共に逃げ出します!鶴見中尉の裏の裏まで考え尽くされた計画が末恐ろしいですが、アシリパはアイヌのために反旗を翻し、相棒・杉元と共に自分達で金塊を見つけようとするのです…22巻ではどんなお話が待っているでしょうか?

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