「火ノ丸相撲」19巻の数々の激戦と成長譚~名古屋場所で鬼切と夢の同窓生対決!敢闘賞の鬼丸、優勝した刃皇の引退宣言で一騒動…薫丸、10年掛かって十両入りの名誉~

前回までのあらすじ

立ち合い互角も鬼丸は右下手を取り一気の出足で寄ると、土俵際数珠丸の投げで鬼丸は腕を負傷します

そんな悪夢から目醒めあの日から二年、また幕ノ内に帰って来た鬼丸、初土俵から3年半ー戦後最小の関取が挑むとある夏の、後の大相撲史に刻まれる灼熱の夏の物語:第二部 大相撲編が始まります…

名古屋場所で鬼切桐仁との一番

大関:大景勝が引退表明し、大典太日景典馬は兄貴の夢の続きを…と気張ります。柴木山部屋では大河内・バト等が騒がしい中大学生のはインターンのような形で「月間相撲道」のカメラアシをしています。歴代でたった70人しかいない横綱目指してケガや年齢等様々な理由で夢破れ去って行くのが大相撲の世界です

「関取」の白廻しを付けた鬼丸西前頭13枚目の登場で場は引き締まります。右腕の怪我で長期休場し、一時幕下下位まで降格したものの怒涛の追い上げで上がって来ました。もう一人の「関取」冴ノ山西関脇は鈴ヶ嶽一門連合稽古会場に赴き気が立っています

三年先を見据えて稽古をしろという言葉通りそれが実を結ぶかのように苛烈にたけり狂っている鬼丸、直後の名古屋場所ではバトが4戦全勝と来場所の十両昇進も考えられます。鬼丸は早い会場入りで気合いを入れ、相手は岩竜です。二人は4年前駿海の前で立ち合った因縁があります

すっかり国宝世代に押され下位常連の岩竜、俺だって力士だ!と気張りますが、立ち合いからまるで地に根が生えたような鬼丸は4年前と変わらぬその眼で「横綱」を目指し一気の押しで寄り切りです。鬼切安綱辻桐仁が待ち構え、彼は十両ながら幕内下位と十両上位が当たる事もあり、翌日対戦です

桐仁は3年前のIHインターハイ千葉予選で輝けず個人戦も散々、一日に何番も取らなくてはいけない学生相撲では通用しなかったのです。裏方の方が向いているのかもなと考えていた矢先、目の前で鬼丸の負傷を見てしまいその事から再び鬼丸を追い越し道標みちしるべになってやると長門部屋に入ります

身体的な制限はある中桐仁は全速力で駆け上がり所要9場所での十両昇進というスピード出世です。鬼切鬼車下手投げ使えねぇのか?と土俵上で鬼丸に問います

鬼丸敢闘賞の活躍

データの鬼の童子切天王寺の付け人だった鬼切鬼丸を分析し右腕は万全ではないと読みます。先に相撲を始めたのは鬼切の方ですが、いつしか鬼丸の背を見る機会が増え、真っ向から投げ勝つ火ノ丸相撲に諦めない「心」に宿る「執念」という名の強さを感じているのです

鬼丸は一度「上位の壁」に阻まれ負け越し、その翌場所で大怪我という不運でした。鬼丸とずっと試合たくて長門部屋を選んだ鬼切、その凄まじい殺気にずっと全力で殺り合いたいと思ってたんだと凄みます。お互い平蜘蛛型仕切りの競演で鬼切は強いぶちかましから瞬時に逆とったりで鬼丸の右腕を掴みます

ここで大相撲では解禁される横薙ぎの’’張り手’’から’’殴る張り手’’は最早暴力で、鬼丸打突の型「焼けばちで一方的な展開です。一気に土俵際の中、鬼切は一瞬の勝機に懸ける集中力から’’網打ち’’ーなみ切りで土俵際有利となるも鬼丸は廻しを取り投げて勝利です

名古屋場所では鬼切はその後やや失速するものの8勝7敗で勝ち越します。鬼丸は敢闘賞で初の三賞、返り入幕で二桁勝利11勝3敗の活躍です。千秋楽、名塚は3敗が大和号蜻蛉切とんぼきり御手杵おてぎねの「天下三名槍」から喫している事に不安を感じます

前代未聞の刃皇の引退宣言

それでも鬼丸は12勝目を上げ真価は九月場所で問われます。童子切に加え13勝1敗の草薙久世草介両大関の前に立ち塞がるのが刃皇です。大和国が5場所振り31度目の優勝に沸いた翌場所当時22歳の若手力士に引導を渡され、それが刃皇という因縁があります。優勝回数44回目に王手という前人未踏の領域です

大景勝・楯城山たてぎやまも土俵を去り、今度は草薙刃皇の前に立ち塞がります。名塚はあの怪物草薙が本割では10度刃皇に挑み1度も勝てていない事を案じます。一瞬速く草薙が立ちますが「後の先」で右上手が殺されます。スピードもパワーも草薙の方が上なのに…寄り倒しで刃皇が勝利、優勝です

ー優勝インタビューでは何と刃皇体はまだまだ元気ですが次の場所で優勝したら引退しますと宣言、「周りが弱かったから・・・・・・・・・」と大和国の時とは違う本物の記録じゃないって言われている事を気にしているのです。同部屋の大包平おおかねひらたしなめられつつ前言撤回はしないと横綱に二言はないのです

その後物申したい者共がおり、次の場所で刃皇関を超えて新たな時代を創ると気負う若手に加わらなかった鬼丸も、彼の抑えきれない殺気でつい刃皇は掴みかかります。名古屋場所は終幕し、だが夏はまだ終わらないのです

鬼丸は3敗の映像を見返し修正に余念がない中、名古屋場所から三日後柴木山部屋では薫丸が十両昇進し沸きます。十両になるという事は名誉で、多くの準備と箔が付き文字通り生活が一変します。は相撲関係のライター目指して勉強中でと共に華やぐ中、バトが十年以上しがみついて…とさげすみます

鬼丸は怒りバトを殴り、10年は軽くねぇと諭します。薫丸冴ノ山は同期で、この昇進に心から喜び合い結果が全ての非情な世界でも独りじゃないから戦えるのです。ここで定期メンテナンスで蟹江先生と共にユーマレイナが現れ、が浮いた話の予感がしたところでこの巻は終わります

まとめ

大相撲編では高校相撲でしのぎを削った者との再戦が熱い展開となり更に盛り上がります。大相撲は同部屋対決が基本ない為、逆に鬼丸と殺り合いたいが為に他の部屋に入った者もいるくらいです。この角界入りでの相撲部屋選びも非常に重要な要素となって来ます

鬼切との同窓対決が熱い中、無敵の横綱:刃皇はその強さ故に「周りが弱かったから・・・・・・・・・」と揶揄されてきた事を気にしています。優勝インタビューで来場所優勝したら引退するという前代未聞の宣言をし、流石に若手は黙っていられませんでしたが、それでも刃皇の強さは群を抜いているのです

薫丸が10年掛かって十両昇進し同期で出世頭の冴ノ山と喜びを分かち合う姿が美しいです。大相撲はとんとん拍子に番付が上がっていくケースもありますが、多くは薫丸のように浮き沈みを繰り返していくのです。時間が掛かっても努力を怠らず名誉を授かった薫丸は非常に尊い存在です

どうしてもむさ苦しい漢達の姿が目に付く中、火ノ丸相撲では、そしてレイナが華を添えます…女気のない鬼丸にも浮いた話が欲しいところ、20巻ではどんなお話が待っているでしょうか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました