前回までのあらすじ
前半の一方的な攻めでつい息を吐いた真田を一気に寄りますが、土俵際打っ棄り、ここでも慌てなかった小関は残り勝負ありです。際どくも先に足が出ていたのは真田で、勝った小関は火ノ丸に「報われる姿を見せてほしい」と繋ぎ、火ノ丸が大将戦に臨みます…

国宝一年大将戦
回想では沙田のたゆまぬ努力が明かされ、俺のプライドもチームの命運も全部懸けて土俵に上がると気張ります。名塚は二人共二度の絶望から這い上がる為にベストを尽くしてしまった…とし、今この瞬間が彼らの全てなのよと語ります…「全て」を懸けた殺し合いなのです
咲も偵察に来ています。鬼丸は平蜘蛛で低く構え、決着は僅か数十秒の為に青春全てを費やした…力士とは刹那を生きる者です。鬼丸の低い当たりを沙田は起こそうとしますが、ぶちかましが決まりそのまま廻しを掴もうとするとあの沙田が突っ張りで近づけさせません
レイナは鬼丸の努力と強さを信じています。鬼丸は必死で重心が低いまま浮いてこず、再度ぶちかまし突きごと吹っ飛ばします!鬼丸がついに右手が廻しに付くと沙田は物凄い力で引き剝がしてしまいます。沙田は天王寺のような雰囲気で俺が横綱になるよ…!と殺気を見せます
三度目のぶちかましを避けると沙田は無感の上手出し投げー上弦之月・朧で鬼丸は俵に救われます。即喉輪から引き、掬い投げと速過ぎる揺さぶりに名塚は「キラー・インスティンクト」だと感じます。相手の長所を消す相撲で修羅の相を見せる沙田、おっつけて鬼丸は為す術なしです
桐仁は新技は未完成だとし、賭けにもならねぇと悲観しますが、國崎は逆境を力に変える男だと信じています。鬼丸はついに両廻しを掴むも逆に沙田は皆川部屋で「関取」を投げた自手取り上手出し投げー双月を放ちます
ダチ高団体戦優勝!
鬼丸は燻るのは火種がまだ生きているから…と過去を振り返り沙田を認め諦めたと思いきやふざけるなっ!と踏ん張り返します。「体」や「技」ではない初めて直面する「心」の死に対しその「心」が覚醒させた拒絶反応を見せ、親方は持たざる者に新たな階段を登らせる…と実感します
鬼丸のぶちかましに今度は沙田も真っ向勝負、いくら「ずるい」と言われても持ってるもん一生懸命使ってどうして文句言われなきゃいけねぇのさと勝ちに行きます。ところが鬼丸の’’火の如し’’ぶちかましは泣き所が見えており、ついに廻しを取り沙田も危険に感じます
断ち切る!と痛めた右腕を攻める沙田ですが、鬼丸は低く必殺の形で背負い込み、沙田必死の抵抗も足も使った’’三点同時攻撃’’で’’三つの合わせ’’ー百千夜叉堕が決まり鬼丸の勝利です!IH千葉県予選団体優勝は3-2でダチ高に決まります
最後の投げで右腕の負傷から腕をたたんで体全体で投げたいびつさに國崎は本能の一撃だと感心します。火ノ丸の右腕が心配されましたが軽傷で冷やし、逆に沙田は受け身を取り損ね右肩の亜脱臼で戦線離脱です。金盛は最低でもあと二年は石高相撲部に尽くせ、今辞めるのは許さないと諭します
石高の監督は仲間がいればいつしか笑って話せる時が来る…君達が大人過ぎて私のやる事がないですよと涙します。ここから怒涛の個人戦に突入します
個人戦:鬼丸ー國崎の同校対決
國崎は火ノ丸を倒した先に俺の「最強」という夢がある…と語り、当然同校対決もあり得ます。小関はダチ高で一番に沙田と当たる為消耗させ仲間に繋ぐ気でいましたが事情が変わり動揺しています。事実立ち遅れますが上手く引いて危なっかしさを残します
全国行きの枠は3名の狭き門です。鬼丸は物凄い殺気で初戦突破し、國崎は仲間である事と馴れ合う事は違うだろと冷静です。続く國崎は何と沙田の上手出し投げー上弦之月を完コピし圧勝、成長が速いとかそんな安い次元じゃないのです。2回戦でこの同校対決となります
國崎は公式戦の土俵で向かい合うと違うな…最高だぜ鬼丸と凄み、立ち合い荒木のカウンターの内股で鬼丸の右腕をキメますが咄嗟に外され、今度は張り返す等全く次の展開が読めません。センスは認めるも本家程のキレはないと金盛、事実鬼丸の下半身は全くブレません
今度は掛け突きから変則タックルしますが鬼丸のぶちかましがモロに入り、ワシの発想の上を行く國崎を称えつつ強くなれたのはお互い様だと’’下手捻り’’と’’内無双’’の合わせー鬼嵐・払手で仕留めます!名塚は互いに吸収し影響し合って強くなるー素敵な仲間じゃない?と誇らしげです
この熱戦を見て小関は公式戦で火ノ丸となんてもう二度とない、火ノ丸に勝ってみたいと我を出し、親方もそれを土俵でぶつけ合うのが相撲なんだ、そうすれば君はもっと凄い力士になれると見守るところでこの巻は終わります
まとめ
2-2で大将戦となった一年国宝対決は手に汗握る白熱の取り組みでした。お互いを認め合い、際の際の最高レベルの相撲は見る者を熱くし、興奮させる何かがあります。火ノ丸相撲はド派手な必殺技のような形で取り組みが決する場合が多く、一枚画で非常にカッコ良いです
結局制したのは鬼丸で、3-2でIH千葉県予選団体戦優勝となります。火ノ丸の夢が詰まった濃密な団体戦、どの試合も印象的な素晴らしいものとなります。ここで武道系の面白い所は団体戦に続き個人戦があるという点です
団体戦ですら死闘ですから、その日の後半に個人戦という過酷なものも武道系ならではです。1対1は変わらずとも個人戦なので当然勝ち上がって行けば同校対決もあり得ます。今回優勝候補の沙田の負傷離脱で有利な中、國崎は鬼丸を食うと意気込みその抜群のセンスを発揮します
鬼丸の方が一枚上手でしたが、これに感化されどこか他人事だったIH個人戦全国行き3枠を意識した小関、彼にだってまだ可能性はあるのです。鬼丸に憧れ、彼を尊敬する小関ですが、小関にも光るものや執念はあり、番狂わせもあるかもしれません…9巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
おまけ
巻末には火ノ丸相撲×黒子のバスケ「キセキの待ったなし対決」という読み切りが載っています。これは藤巻先生の「黒子のバスケ」で川田先生と高橋先生が作画アシスタントをしており、いつかコラボ出来たらいいね~と話していたのが編集部の耳に入り実現した大変豪華なコラボです
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