『人馬』1巻のカッコいいシーン3選|全力で走れ――

時は戦国

戦火の真っ只中で人と、半人半馬の種族「人馬」が織りなすヒューマンドラマを描くのは、かのモンスターハンターシリーズでモンスターのデザインなどを手がけた墨佳遼氏

本作に登場する「人馬」はまるでほんとうにその時代の日本に実在したかのような生々しさで描かれている

キャラ造形をはじめ、人馬たちの身に付けるものの細部ひとつひとつに至るまで墨佳氏の情念が宿っている

本作は松風・小雲雀を主人公とする1・2巻を第一部、松風の弟の望月・小雲雀の息子の谷風を主人公とする3・4巻を第ニ部とし、幼少期の松風らを主人公とする第三部が連載中だ(2019年9月現在)

・・・と、前置きはこれくらいにして、本作のトコトンまでカッコいいシーンを紹介していこうではないか

『人馬』1巻のカッコいいシーン・ベスト3!

3位「俺たちはお前ら人間の戦の道具じゃねーんだよ!!」

漫画『人馬』を体現するセリフのひとつといっても過言ではない、松風のこのセリフ

肉体が強く、人の言葉で意思の疎通が可能で、調教できれば馬よりも有能だと「人馬」を戦の道具にするため捉えに来た人間たちに向かって松風が言い放つ様はまるで鬼のようだ。

しかし、本作を読み進めて、どれだけ人馬がひどい扱いを受けてきたのか、どれだけ人馬が戦を憎んでいるのかがわかるようになってきた時に読み返すと、ゾワッと鳥肌が立つシーンである

2位「俺は俺のやり方で逃げる機会のために生き延びてやったんだ こんな体になったって諦めちゃいねぇんだよ」

囚われの身となった松風に、逃亡の計画を持ちかけた小雲雀が言うセリフ

人間たちが野生の人馬を捉えた時、通常は反旗を翻すことができないように、また、野生に戻ろうという気が起きないようにするために見せしめとして両腕を落とすことになっている

しかし松風は腕を切り落とすのが惜しいほどの人馬として両腕を残されていた

一方の小雲雀は幼い頃に両腕を落とされており、腕の貴重さ、有り難さを誰よりも分かっていて、言うセリフである

ひとつ間違えれば松風もろとも小雲雀もその身を危険にさらすことになる逃走計画、何年もあたためて機を伺ってきた小雲雀の執念と覚悟が分かる

ここに続く大ゴマは……うーん、カッコいい!!!

1位「支えるだけだ!! だから無理じゃない!!」

見事逃亡に成功するも、ずっと囲いの中で生きてきた小雲雀は外の世界で生きるということを知らなかった

逃げるための、ひいては生きるための知識を松風が道中時間をかけてじっくりと教え込んで行く

いわば松風は小雲雀の生の師匠のような存在となっていった

そんな松風が追手に撃たれて深手を負ってしまう

立つことすらできない松風の体にタスキをかけて、小雲雀が言うセリフである

逃走からずっと松風に支えられて生きてきた小雲雀が、初めて松風を支える立場になった瞬間はカッコいいの一言に尽きる

腕がなくたって、知識が足りなくたって、他人を支えることができる

そんな勇気をもらえるワンシーンだ

無事に隠れ家までたどり着いたふたりだったが、家族は散り散りになっており、追手に追いつかれてしまう

第2巻も波乱がいっぱい、カッコいいがいっぱいだ

男子三日会わずんば刮目して見よ!

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