前回までのあらすじ
ドレスデンでカールを待っていたのは何とテンマでした。カールはシューバルトからの伝言を伝え、チェドック橋の3匹のカエルというキーワードと、「君の追っている怪物が双子なら、その母親はプラハで生きている」という言葉からテンマが驚愕します…
フリージャーナリスト・グリマー
グリマーはかつて511キンダーハイムで虐待が行われていたという事実を突き止めようと資料を漁っています。大きな荷物を抱えたグリマーは、電車に乗るとテンマと出くわします。車掌がパスポートの点検に来て、グリマーは巧みに話を逸らしながら、テンマのパスポートが偽造だとバレていると言います
グリマーが大きい荷物がつっかえて右往左往している隙にテンマは脱走します。電車は緊急停止し、グリマーも降り、一緒に国境付近まで案内すると言います。今はフリーのジャーナリストだというグリマーは、テンマは無実だと断言します
人を撃ってしまったテンマは最早医者ではないと自身を蔑みますが、グリマーは笑顔を絶やさず、テンマをチェコ国境付近まで見送ります。プラハ入りしたグリマーは、511キンダーハイムの元院長・ビーアマンに接触します
グリマーはビーアマンが所謂洗脳が専門で、実験結果等まだ所持しているのでは?と迫ります。ビーアマンにとぼけられ、一旦別れますが、ホテルに刺客がやってきたため上手く逃げ出したグリマーは再度ビーアマンと接触します
グリマーはビーアマンが連れている孫が毎回異なることに疑念を抱き、ビーアマン邸に入ると、そこには沢山の子どもがおり、また実験を繰り返しているのでは?と悟ります。教育とは実験だと言い張るビーアマンに対し、グリマーは子どもたちにサッカーをしないか提案し、子ども達は乗り気になります
子ども達はグリマーの予想に反して現状に不満はないようです。グリマーがビーアマン邸に戻ると、ビーアマンは撃たれており、死に際511キンダーハイムの怪物が残した実験記録を託されます。死体の第一発見者として拘留されたグリマーは、一晩警察で明かし、開放されます
超人シュタイナー
グリマーは実験記録を手に入れるためタクシーに乗り込みますが、運転手は組織の人間で、カギは?と言われ殴られます。逃げるグリマーの元に、先程の警察官・ゼーマンが迫り、どうやらグルだったようで、グリマーは痛めつけられます
深爪にするのが癖のゼーマンはグリマーの爪を切って拷問します。グリマーは超人シュタイナーの話を始めますが、更に拷問され、そこにビーアマンを撃ったと思われる女(アンナ?)が入って来て一人を撃ち殺します。難を逃れたグリマーは、ホテルに入り、残りの二人(ゼーマン含む)を自身が殴り殺してしまったと嘆きます
現場に到着したスーク刑事がこの惨状を見て、吐き気を覚えます。バーでやけ酒をしているスークは、カウンターに美女(アンナ)を見かけ、声を掛けます。自身の事が分からないと答えるアンナはチェドック橋の3匹のカエルという言葉を残し立ち去ります
警察では例の事件で3人の死骸以外の血痕が見つかり、付近で目撃された男の調査を進めます。その後バーで再度アンナに会ったスークは、彼女の言葉から犯行に関わる男がグリマーでは?と閃きます。チェドック橋の3匹のカエルから導き出したお店を発見し、そこにはテンマの姿も見えます
真相に近づくスーク
犯人がグリマーだと突き止めたスークは滞在先のホテルで事情を聞き、確信を得ます。そこにパテラ部長刑事が現れ、ゼーマンが極秘調査(元チェコスロバキア秘密警察の人間の洗い出し)をしていたと明かされます
アンナの噂を聞いたパテラは早速接触します。ゼーマンのロッカー内の荷物を整理していたスークは、書類と大金からゼーマンが内部調査を行い、秘密を隠匿するためパテラから大金を受け取っていたのでは?と上司に報告します
まさかスークに突き止められるとは…と嘆く上司とパテラは実はグルで、流れでアンナから貰ったウイスキーボンボンを食べると何と皆死んでしまいます!
大事件として報道陣が詰めかける署内、スークはビーアマンのところにいた子ども(現在は他の里親の元にいます)に面会に出向きます。断片的な言葉を思い出す子ども達は、揃ってグリマーはいい人だったと言います
リーダー的存在だったアントニンが言うには、一緒にサッカーをしていて、その隙にビーアマンは美女に殺されたと言います。今度グリマーと会う約束をしているというので、スークはその現場に赴きます
アントニンに預けていた’ある物’を受け取ったグリマーは、サッカーを休憩してスークが接近、今回の事件との関係性等問い詰められますが、核心には至りません。そこでグリマーがスークにビーアマンが残したデータがあるという貸し金庫の鍵を渡したところでこの巻は終わります
まとめ
今巻のキーマンはフリージャーナリスト・グリマーです。この長身の一見人の良さそうな男は、起点からテンマを逃がし、自身は単独でビーアマンに接触、511キンダーハイムについての調査をしています
子ども達とサッカーをし、戻るとビーアマン達は殺されており、第一発見者として警察で一晩明かしたグリマーは、ゼーマンとその部下に拷問を受けますが、ビーアマン殺害時にも見られた美女(アンナ?)が窮地を救い、その流れで自身が超人シュタイナーなるものになり残り二人を殴り殺してしまうのです
ゼーマン亡き後を託されたスークはグリマーに行き着きますが、その中でゼーマンが内部調査を行い、秘密隠匿のためパテラから大金を受け取っていたのでは?と突き止めます。しかし報告した上司もグルで、しかもアンナから貰ったウイスキーボンボンで関係者は死んでしまいます
グリマーに接近したスークは、とても人殺しとは思えないグリマーから、ビーアマンが残したデータがあるという貸し金庫の鍵を渡されます…511キンダーハイムの核心に触れられるのか?、11巻ではどんな展開が待っているのでしょうか?
おまけ
浦沢直樹先生の他作品にHAPPY!があります。こちらもドラマ化もされた名作で、テニスを題材としており、YAWARA!同様主人公の名前がタイトルになっています。累計1800万部の人気作です
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