前回までのあらすじ
アントニンに預けていた’ある物’を受け取ったグリマーは、サッカーを休憩してスークが接近、今回の事件との関係性等問い詰められますが、核心には至りません。そこでグリマーがスークにビーアマンが残したデータがあるという貸し金庫の鍵を渡します…
アンナに扮したヨハン
テンマは3匹のカエルの看板を見つけ、男から曰くつきの話を聞いています。スークはアンナとバーで今回の一件の顛末を話しながら落胆します。貸し金庫の鍵の話をし、アンナは誰にも話してはいけないと言います。アンナは自室に戻るとウィッグを取り化粧を落とし、なんとそれはヨハンだったのです!
プラハ署では新任のネペラ署長がスークを見張るように命令します。グリマーと密会したスークは、貸し金庫の中身を確かめに向かいます(チェコ秘密警察・ヨハンに見張られています)。貸し金庫の中には研究論文とカセットテープが入っています
テープを再生してみると、ヨハンらしき人物が尋問を受けていますが、脈絡のない一見意味不明な会話です。グリマーはその恐ろしさから吐き気を催します。恐らくマークされているからとグリマーではなくスークに貸し金庫の中身を託し、一旦二人は別れますが、スークの自宅に本庁の刑事が現れ、事情聴取されます
完全にハメられているスークは恐ろしくなり一旦寝室に入り着替えをしていると、硝煙の匂いがし、戻ると刑事達は撃ち殺されています!グリマーがスーク宅に向かうとアンナ(ヨハン)とすれ違います。部屋には死体と呆然としたスークがいます
またしても超人シュタイナー化するグリマー
テンマは新聞社で調べものをしていると、スークの事件を発見し、その中で筋肉弛緩剤というワードからヨハンを連想します。国立病院に入院しているスークの母と面会するテンマは、ボケてしまった母からプルノ通りの廃屋というワードを耳にします
スークの母は例のカセットテープを聞いています(スークが送ったのです)。グリマーは身を隠すスークの元へ訪れ、食事を提供します。スークは取り乱しながら、昔ここで刑事ごっこをしたと懐かしむと、窓から狙撃されます!
幸い急所は外れていましたが、どこから狙ったのか分からない状況です。ドアからテープを迫られ、慌てて中に閉じこもるグリマーですが、何発も撃たれたスークは虫の息で、絶望的状況です。幻聴のように複数の声を聴いたグリマーはまたしても超人シュタイナー化してしまいます…
狙撃者を屠ったテンマは室内に入ると、そこには血だらけのグリマーが立っています。スークを救ってくれというグリマーは、自身が511キンダーハイムの出身者だと打ち明けます。グリマーは幼い頃の記憶は超人シュタイナーのみで、みんな511キンダーハイムに奪われたと言います
スークの応急処置を済ませたテンマは、他の者にも完璧な応急処置を施し、救急車を呼びます。一旦ホテルに逃れたテンマはグリマーに511キンダーハイムのことを聴きますが、グリマーは断片的なことしか覚えていなく、色々と教え込まれたが、笑い方を覚えるのが一番難しかったと言います
テレビで報道していた病院を宛てにスークに面会に赴くと、事件の関係者は全員転院し銃で撃たれた人などいないと言われてしまいます
テープの内容を確認したヨハンは…!?
ニナ(=アンナ)は、訪れたことのないはずの場所で何故か周りの人達はニナのことをアンナだと見知っていることに訝しります
テンマはグリマーから手がかりのテープからヨハンという名が出たと聞き、そのテープの在りかを問いただすと、男が現れ、二人を連れて行きます。レストランではカレル・ランケ大佐が待っています。ランケはスークの居所と引き換えに研究資料とテープを要求してきます
グリマーが511キンダーハイム出身と知ったランケは、自身の甥の写真を見せますが、グリマーは記憶にないと言い、商談は持ち越しとなりかけます。そこでグリマーはココアの事を思い出し、仲の良かった子の名をアドルフ・ラインハルトだと言い、ランケはそれが甥なのだと涙します
再び交渉の席を設けたテンマ・グリマー・ランケですが、テープがヨハンの元に行き着く事を恐れたテンマは過去の経緯を打ち明けます。テンマは3匹のカエルの看板のある建物からヨハンを連れ出して何をしたのかと問いただします
ランケは「赤いバラの屋敷の男」=フランツ・ボナパルタなる人物の名を挙げます。どうやら絵本作家でもあり、ペンネームを持っていたようなのです。作品には「なまえのないかいぶつ」というものがあったのです…
ニナは3匹のカエルの看板や建物の中の記憶が何故かあると話します。ディーターと奥の部屋に入り、過去ここで絵本を持った私(アンナ)が待っていたというのです!?
スークの母の元にアンナに変装したヨハンが現れます。言葉巧みなヨハンはいよいよテープの在りかを聞き出し微笑みます。テンマ達は結局テープをランケに渡すことで合意し、スークの母の元へ行きますが、正気を取り戻したスークの母はテープの所在と、スークの場所に案内するように言います
入院するスークの元へ母を連れて行ったテンマ達は、テープの内容を確認します。ヨハンの独白が続く中、唐突にテープは新しく録音された内容に変わり、その声は現在のヨハンのもので、自身がどこへ行くべきか悟ったとテンマに語り掛けたところでこの巻は終わります
まとめ
今巻の肝はヨハンがアンナに扮して様々な所に現れる事です。双子だけに、声色はともかく、激似のため誰も男性が扮している事に気づきません。ヨハンは巧みに立ち回り、自身のルーツであり、核心でもあるビーアマンが残したテープに行き着いてしまうのです…
一見脈略の無い会話のようですが、例の「なまえのないかいぶつ」を想起させる内容で、これが511キンダーハイムで行われていた洗脳・教育と関係があるようです
またしても超人シュタイナーと化し、惨劇を生み出したグリマーですが、まるで2重人格のような穏やかな笑顔があり、この人格の変化はヨハン同様511キンダーハイムに原因がありそうです
貸し金庫のテープをスークの母の元に送るという奇策は一見成功したように思えましたが、ヨハンは巧みに母に接近し、肝心のテープの肝の部分を新しく重ね撮りし、分からなくさせた上で、自身の次の行先を悟ったとテンマに語り掛けます
果たしてヨハンが悟った次の行先とはどこなのでしょうか?12巻ではどんな話が待っているのでしょうか?
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