前回までのあらすじ
黒木のオーディションは成功したかに見えましたが、最後の最後で伴奏のターニャが崩れ、長田共々後に語り継がれることになる「のだめカレー事件」の被害者として沈みます。木管オーディション・ファゴット部門でよりによってパソンのポールが現れます…
新生マルレ・オケ、始動!
フランス式のパソンとドイツ式のファゴット、それぞれの長所はありつつ、世界中の主流はファゴットになりつつあります。それでもポールはパソンにこだわり、マルレの首席ファゴットは反対しますが、意外にもシモンと千秋はファゴットの中にパソンがひとりいてもいいんじゃないか?と同意見です
オーディションも無事終わり、結局「のだめカレー」で体調を崩したターニャも弾き切り、長田は愛だなとご満悦です。千秋はシモンと結託し一応公平に誠実に審査し、黒木もポールも受かります。デプリーストから今季の演奏会のプログラムの草案が来て、千秋が電話するとミルヒーと一緒のようです
プログラムにバッハとあり、ミルヒーの提案か聞くと、それもあるが私の考えもあってのことだとデプリーストは返し、千秋は是非やらせて欲しいと懇願します。オケメンバーがバイトにも精を出す中、のだめは街中でジャンのオケの華麗なポスターを見つけ驚きます
千秋はマルレ・オケの復調に必死で、のだめがジャンに対抗してポスター写真を選択しますが千秋に怒られ、結局無難なものに落ち着きます。しかしのだめはティッシュ配りにこの写真を上手く使い集客を伸ばします
ターニャは下痢も治り、そのお陰でか痩せて美しくなります。新生マルレ・オケ最初のリハでは旧メンバーが愚痴をこぼす中、黒木はコーレ・アングレ を吹いてくれと頼まれ困惑します。優秀な新メンバーが多く加わったことで、旧メンバーも自身の身を案じ暗雲が立ち込めます
千秋・シモンの独裁(?)政権
リハが始まり、千秋は相変わらず非常に細かい指摘を繰り返し、なかなか先に進みません。やっと弦楽器の出番が来て、黒木は夕方からの学校に行けるだろうか?と思案します。久しぶりの学校ではリュカが成長期なのか急激に背が伸びのだめは驚きます
オクレールに先日のリサイタルの報告もし、併せてマルレ・オケの宣伝も抜け目ないのだめ、レッスンに励みます。学校には学科で入ったRuiもおり、担当はアルマンで本当はオクレールに教わりたかったとこぼします。ターニャは相変わらず男漁りに必死です(笑)
千秋の独裁に続き、シモンもパート練習が必要だとオケメンバーはその圧政に苦しみます。千秋は帰宅後リハが散々で、これでも結構我慢はしているのにひしひしと伝わる険悪な空気に粘着で細かくて悪かったな!と開き直ります
明くる日も千秋は厳しい指導をし、徐々にメンバーも慣れて来ます。メンバー皆仕事や育児に忙しく、これではどちらが本業なのか分からない中、学生メンバーは嫌味を言われます。シモンはヴァイオリン隊の居残りパート練習を行い、音楽の本質は「調和」で、それを表現するのが真の「音楽家」なんだと語ります
リハを盗み見していたのだめに千秋は講釈を垂れ、「音楽家」と「歌い手」(カンタービレの語源)について説明します。リハは相変わらず厳しいものの徐々に形になってきており、疲弊したメンバー達、黒木も学生はいいねと言われたものの、その両立は当然大変なのです
9月後半、オケ・オペラ界隈新シーズン突入!!
ニナの元を訪れた千秋は、以前マルレでミルヒーとカイ・ドゥーンと一緒にやっていたのだと言われ驚きます。千秋は協力を要請し、父の雅之とはお互いのコンサートを観に行くということは絶対ないと断言します
料理上手なターニャにお色気より料理攻撃の方が男は落ちると諭すのだめですが、そのシチュエーションにするまでが大変なのです(笑)黒木はリードの準備に抜かりなく、同奏者に貸すと頼りにされ、彼の娘の迎えまで頼まれてしまいます
結局千秋宅に連れて行きのだめに相手させ、カトリーヌが父が指揮の陰口を言っていたと漏らすと千秋が現れます!嫌われて結構、プロなんだから仲良くなるために音楽やってるわけじゃないと理解を示す黒木、ソランの陰の努力も悟り、迎えに来たソランと少し打ち解けます
触発されたのか、得意の料理でもてなしたターニャは卒業までにコンクールに出ると決意します。9月後半から世界中のオーケストラ・オペラ劇場が新シーズンに突入し、デシャン・オケのジャンは気張り、その華やかさに皆心奪われます
マルレ・オケの公演も意外に観客も埋まり、のだめはティッシュ効果?と喜びますが、実際は身内が多いようです。常連も顔を見せる中、この劇場と観客が作って来た重い空気を背に千秋指揮の元ロッシーニで練習の成果を如何なく発揮します
続くブラームスでも芳醇な演奏を披露し、千秋のアパルトマンでは長田がある男に千秋の常任デビュー日だから観に行けと仕向けるところでこの巻は終わります
まとめ
波長が合わないと思われていた千秋とシモンでしたが、案外気が合うのか、オーディションでも練習でもその細かすぎる粘着質な指摘にも同調し、2大独裁政権が誕生します。厳しいオーディションを潜り抜け、黒木たち俊英がマルレ・オケに加わりますが、在中メンバーも気が気ではないでしょう
ただでさえ就職先を見つけるのが困難な音大生たち、しかし折角加入できても実際は副業と育児に追われるメンバーを見て、何を思うのでしょうか?このように全てのオケがそうだとは言えませんが、音楽で飯を食っていくということは様々な困難があることが分かります
ライバルとしてジャンのデシャン・オケが好調な中、千秋・シモンの厳しい指導、更にのだめのティッシュ配りという好プレイ(?)も相まってマルレ・オケも躍動します。今巻では千秋の父・雅之についても触れられ、巻末では長田にオケを観に行けと言われるある男が登場しますが、果たして…?17巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
おまけ
劇場版ということで、のだめカンタービレ 最終楽章が前後編で上映され、人気を博しました。最近ではドラマ好調で映画化という流れが定石ですが、その走りとして以後定着させたのは間違いなくこの作品の存在でしょう
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