前回までのあらすじ
のだめは寝ずにシューマンを仕上げ、流石の江藤もこれ程ムラっ気のある生徒を持った経験がないのです。ところがこの覚醒で実はのだめは高熱を出しており、高揚していたからのようで、静養し、夢で瀬川も出て来ます。千秋の母が千秋と一緒にのだめの本戦を観に行くことに決めます…
のだめ、コンクールで完全燃焼…抜け殻に
のだめは寝込んでしまったため、本選の3曲のうち1曲丸々間に合いませんでした。のだめは会場到着まで必死に3曲目を覚えようとします。ハリセン門下生の演奏を聴き、千秋はハリセンも変わったなと感じます。いよいよのだめの番になり、物凄い衣装ドレスに観客はどよめきます
モーツァルトはのだめの多彩な音がよく引き出されており、まるでオーケストラの音のようです。続く渾身のシューマンでリズムの持つ切迫感に取り憑かれるかのような凄まじい演奏を披露します。この時点で会場の熱気は最高潮、ここで終わる他ない中、何とのだめは3曲目に突入します
ペトルーシュカでは途中勝手に作曲し、本筋に戻り、夢と現実の区別がつかなくなった道化師の哀れな最期を弾き切り、大喝采は浴びますが、千秋は曲を変えて弾くことはコンクールでは論外だと淡泊です。のだめの評価は割れる中、結果は1位なしで2位に瀬川が選ばれるというものでした
千秋はのだめに一緒に欧州へ行かないか誘いますが、のだめにはこれ以上上を目指す等うんざりなのです。千秋はのだめの奮戦を評価しますが、のだめはそれでもだめだったじゃないですか…と涙します
裏軒では峰が卒業試験のことで焦っており、千秋はもう二度と教えないと神に誓ったと冷淡です。のだめは今年は実家に帰ると話していたようで、コンクール以来部屋からピアノの音も聴こえて来ません。福岡県大川市の実家に久しぶりに帰省したのだめ、不良債権とまで言われても言い返さず様子がおかしいです
R☆Sオケ集大成の1月公演
山籠もりをしていたような様相の千秋は佐久間のアドバイスどおりの方向でと確認し、R☆Sオケの1月公演も新しい面々(高橋、鈴木姉妹等)も加わり大盛況です。清良のヴァイオリン協奏曲では圧巻の演奏を披露し、松田はこのオケが本当に進化していると感じます
毎年音大生は山のように卒業していくのにプロオケの数は限られており、どんなに実力があっても入れるとは限りません…R☆Sオケは構成員も多く、力を持てあましている子がたくさんいることが分かります
千秋はミルヒーにダメ出しされたベートーベンをリベンジすることで日本でのやり残しをなくしたいのです。Sオケで始まった千秋の指揮の集大成として、この曲にリトライした千秋はオケのレベルの高さを感じ、絶対このオケの改名をしてやると心に誓います
打ち上げではこれでオケを離れる者もいるという話から、千秋も自身の代わりの指揮者が有望株の松田だと明かします。千秋はオレの仕事は終わったと欧州へ行くまで三善の家へ戻ろうとしますが、懐中時計からのだめのピアノが聴けなくなることを思い出しどうにかして連絡先を手に入れようと奔走します
実家の電話番号が分からず、佐久間の’’才能だけじゃなく人との大事な出会いがあるものさ’’という言葉から、九州へ向かいます。オレ様を2度も振ったらもう絶対許さねぇ!と千秋は新幹線に乗り込みます
奇想天外なのだめ家族
のだめは実家のピアノがちゃんと調律されていることを悟ると、久しぶりに演奏し、聴いた者皆驚き喜びます。千秋は博多駅からタクシーでのだめ宅へ向かいます。電源を切っていた携帯に江藤からオクレールの勧めでフランスの音楽院に願書を出しておいた、試験は2月だとメールがあります
ほぼ佐賀県寄りの大川市に向かう中のだめから電話があり、のだめも留学することにしましたと告げられ(たまたまのだめがタクシーの横を通り過ぎ)、のだめは夢膨らむ将来について語り、千秋はのだめを後ろから抱きしめます。感動の再会でしたが、海苔業をしている父にその様子を見られてしまいます
結局千秋ものだめ宅に行き、留学について家族を説得し、千秋も彼氏と勘違いされその奇想天外な家族の面々にこうしてのだめができたのかーと納得します
千秋は一泊し、ピアノを弾き自身はオーストリアに行くと話します。のだめは欧州で一緒に住むとしか考えておらず、フランスとウィーンの距離感も分かっていません。試験も近いので久しぶりにピアノを弾いてみるとボロボロで、帰って猛練習だと連れ出されます
のだめの父が送ってくれ、「娘を頼む」というよりはあの子は…本当に大丈夫やろうか?と心配します。幼い頃からその才能を嘱望されつつ、のだめの様子はみるみるおかしくなり、ピアノ教室でひと悶着ありしばらくピアノを弾かなかった時期があったのです
千秋はのだめなら大丈夫だと諭し、成功するかどうかなんてわからないが、あいつのピアノがすごく好きなんですよと告げます。父は感激し、結局自宅に一緒に戻り大宴会を開き、家族の奇行に振り回されます。千秋のウィーン行きは雅之が家に戻ることになりご破算し、結果パリに住まうことに決まったところでこの巻は終わります
まとめ
基本的にコンクールというものは楽譜に忠実でミスのない演奏を求められる中、のだめはその個性を活かし華やかかつ情感のこもった彼女なりの演奏をし絶賛されます。特に3曲目は途中作曲し(笑)独自解釈も含む自由奔放さで、流石にのだめを1位にすることは難しかったですが、オクレールのように評価してくれる者もいます
千秋は日本でやり残しがないように気張り、R☆Sオケの公演は大成功、メンバーの入れ替わりも挟みつつ、後を託します。ここでも毎年音大生は山のように卒業していくのにプロオケの数は限られているというトピックスにも触れ、音楽で食べていくことの困難さが浮き彫りになります
千秋はのだめの実家にまで行きのだめを説得し、のだめも意を決して欧州行きに向け動き出します。意中の人と一緒に欧州留学なんてまた凄い話ですが、まずは試験に受からなければなりません…しかし千秋とは別のところに住むはずが、千秋のウィーン行きがご破算となり、第2候補はパリと正にのだめの思う壺なのです(笑)
日本を飛び出してクラシックの本場・欧州へと進もうとする千秋とのだめの将来が楽しみですね!10巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
おまけ
のだめカンタービレはアニメ化もされています。丁度今巻までのところが日本編ということで全23話構成となっています。本編の続きも後述する巴里編・フィナーレがあり、ドラマと共に人気を博しました
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