前回のあらすじ
新庄の打球はセカンドを超えヒットとなり、3塁コーチャーに周っていた御子柴は気も逸りホームイン指示を出してしまいます。赤星が際どいタイミングでホームに突っ込みます…
川藤、相手ベンチに殴り込み!!
結局赤星のクロスプレイはアウトになります。判断を見誤った御子柴は満塁で平塚だったのにと後悔します。最後の回、川藤は御子柴に後悔するより諦めるなと諭します。濱中の空回り気味ながらガッツのあるプレイがナインの士気を高めます
しかし1・2塁のピンチになり、しかも代打は笹崎の最終兵器・森の登場です。森は守備は駄目ですが、なんと空振りを生涯2度しかしたことがなく、安打製造機と言われています。打率8割という強打者相手に安仁屋は更に燃え、なんとホップした球は150kmを記録、三振に仕留めます
続くバッターは川上、笹崎の理念としてピッチャーはバットを振らせない(怪我の恐れがあるため)ので、当然ベンチは待球指示なのですが、流石にこの状況では、観客席は納得がいきません。怒声が飛び交う中、最後は川上も必死にバットを振りますが、空振り三振となります
川藤はベンチを出て川上に声を掛けると、そのまま笹崎ベンチに入り、千葉に今の笹崎の絶対服従の関係性を指摘し、問題提起します!川藤の熱い言葉、千葉も真意は分かっているとマネージャーが諭します
代打の切り札・平塚
9回裏、最後の攻撃、なんとしても誰かが塁に出て、代打・平塚に周したいところ。岡田が三振に倒れる中、平塚は湯舟に催眠術を掛けています。フォークを狙っていけと指示を出された桧山もファールフライに打ち取られ、万事休す…2アウトです
催眠術を掛けられた湯舟はバットスピードが誰よりも早くなったと豪語し、川藤はその言葉を信じマウンドに向かわせます。しかしスイングは遅く、すぐに追い込まれます。焦った湯舟はボールが来る前に振ってしまい、スイングした姿勢でなんとボールをバットに当ててしまいます!
サードにフラっと上がったボールは一瞬戸惑った別所が捕球出来ずフェアーとなり、湯舟は出塁します。切り札・平塚の登場です。平塚は過去27三振ですが、ホームランも2本打っています。「あとひとり!」のコールが鳴りやまない中、川藤はこれが平塚コールだと勇気づけます
スイングもタイミングが合わず、最早これまで…というところで、タイムを取り川藤が一策講じます。得意の顔面打球の場面を自ら作るのです。ジャストミートした打球は川上のグラブを弾き、フェンスまで届く長打コース、1塁ランナーは生還し、コーチャーの御子柴が止める中、平塚はホームに突進していきます
クロスプレイとなり、川上はグラブからボールを落としますが、根性で捕球し、アウトとなり、延長戦に突入します
延長戦の結末は…!?
本塁に進んでしまったことは悔やまれますが、平塚の一打がチームを救ったのは事実です。笹崎側も、却ってこの状況に燃え、全員野球だと再度円陣を組みます
10回の表、笹崎はランナーを出し主砲・別所に周ります。別所は相変わらず強打でレフトポールギリギリの大ファールを放ち、ニコガク側は戦慄します。しかし今日安仁屋は別所に全て直球勝負、なんと今度は三振に抑えます
笹崎も泥臭さ・ガッツ溢れるプレイが光ってきます。かつての超攻撃型野球が帰ってきたのです。千葉はかつての危険球を受けながらマウンドに志願し、結局強打者に打たれてしまった過去を思い出します
濱中がラッキーな形で出塁し、赤星が送りバントで確実にランナーを進めます。ここで完全に川上を打ち崩している4番・安仁屋登場です。しかしベンチは川上を信頼し、勝負させようとするところでこの巻は終わります
まとめ
勝利至上主義・絶対服従の笹崎・千葉と、選手の個性を尊重する川藤の指導はとても対照的です。千葉は自身が選手時代に甲子園で苦い経験があるため、非情な選択もしますが、川藤にはその非情さが許せないのです
野球には暗黙の常套策のような場面が多々見られます。川藤は選手がその時その時全力プレイ出来ないようでは、きらめけないようでは可哀そうだという持論です。どちらの言い分も分かりますし、負けたらその先がない甲子園への本当に厳しい道のために、犠牲もやむを得ないという部分もあるでしょう
どちらが正しいかは分かりかねますが、川藤のような選手を信頼してくれる監督がベンチにいるだけで、ニコガクは大きなアドバンテージがあると言えるでしょう。選手も期待に応え、ついに延長戦に突入します
却ってこの逆境が笹崎側にも火を付け、お互い死力を尽くした全力野球へと繋がっていきます。お互いのプレイを認め合って切磋琢磨する姿、本当に高校野球は美しいと思わせる描写です。ランナーを2塁に置いて、今日唯一川上を攻略している安仁屋、果たして結末は…次巻のコミックスで答え合わせしましょう!!
おまけ
森田まさのり先生の近作にべしゃり暮らしがあります。ルーキーズの巻頭コメントにもあったように、いつかお笑いの世界を漫画で描いてみたいという言葉を実現する辺りが素晴らしいですね。実写ドラマ化もされた名作です
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