前回までのあらすじ
哲雄と戸島が失踪し、零花はGPSで戸島の位置を把握、ホームレス事件の絡みから哲雄を追っていると渡辺に告げます。結局駐車場で上手く車を乗り換えられ時間稼ぎをされており、この行動が何の為か分かりません
夜タンカーから窪と志野が降りて来て哲雄の計画通りで小沢と電話越しで必ず仕留めましょうと意気上がります…

志野の過去
7年前、例の事件の後窪を救ったのは親友だと言う志野でした。更に28年前にも同様の事を口にする小堀は当時から「トラブルメーカーの友達」と教師に見られ、叔父がヤクザのようです。母は訳アリで身体を売り、小堀は友達だけが心の拠りどころの中、絶対に表の仕事で借金を返すと決意します
高校卒業を控えた2月、母は客に暴力を振られ入院、叔父は年利40%だと薄情です。不本意ながら組に入ることになり、志野と名を変えます。21歳の頃組の末端で借金の取り立てをし、強者と弱者両方の気持ちが分かる志野は相手の欲しい言葉を見抜く力を活かしクスリの商売にも手を出します
ところが間野会は金貸しと売春でやってる、クスリから手を引けと言われてしまいますが、志野はダチとの人脈を活かし30歳で部下を従えます。ここで母を貶めたのは叔父だと判明、全てを破壊出来る友達が欲しいと嘆きます
漫画の主人公に憧れた小堀は幼い頃父の厳しい躾で育ち、「主人公の取るべき行動」を真似て親友達は「悪を討伐」してくれ喧嘩の弱い俺に勝利をもらたしてくれます。高1の時正しい父は借金を残して死に、大人になった志野は現実は正しい人間が勝つとは限らない、「悪」のまま生きればいいと悟ります
間野と叔父から全てを奪おうと決意し俺の物語には「主人公」が足りないと感じ、2年後3000人を超えた友人の連絡先、そこに紛争中のイラクに日本人の傭兵がいると知らされ、’’アルワーディ’’と呼ばれアラビア語で「谷」とか「窪み」って意味だと言われ彼に連絡を取ります
窪との運命の出会い
電話で殺し屋として雇いたいと言われ窪は電話を切りますが、3週間後志野は現地に会いに来ます(窪の6歳年上)。窪の事は調べており、本名佐武辰巳、自分の母と義理の父を殺した男です。外食先で窪は異変にいち早く気づき暴力沙汰を回避し、傭兵に一番大事なのは殺気を読む力だとします
日本には殺しが少なすぎるので居場所がないという窪に志野は一生かけて日本の方をお前の居場所に変えてやるのでそういう友達になってくれと請います。これで窪は話に乗り、間野会に隣接する2つの組の組長・幹部は相次ぐ不審死を遂げ、削り合いの攻防の末もろとも弱体化し、間野会は漁夫の利を得ます
窪の暗躍は一目置かれ志野は36歳で間野会最年少幹部になり、いつものバーで安元に窪の仕業だと見抜かれ絶対ブチ込んでやると水を掛けられますが、いつか殺してやると我慢します。42歳の頃薬師寺という「警察」の仲間を手に入れ更に勢力・資金力を広げていきます
今巻冒頭のくだりに戻り、最早手に負えない力を持つ窪の凶行を見て今も怖いと思いながらまるで一生の片想いのように2人の関係性は続きます。7年前イラクに高飛びした窪はサワードの息子が撮った動画をネットに流す事を絶対に許さず、新たな日常が始まります
今に至る回想
一からやり直そうと志野は次はこの国だと決めますが、仲間の高梨と菊地はホームシックになり捕まってもいいから日本に戻して下さいと請います。2人に家族が出来れば思い直すと判断した志野は女学校がテロに遭ったニュースを見て救い出した生徒から妻になる女性を探すという奇策を思いつきます
アフィーフはSNSで知り合った女性といつか一緒になりたいと考えています。志野は自身が「主人公」のように決断し過ちを犯します。志野は作戦を立て人質護送車を襲う算段をします。ところが二手に分かれていた菊地達は人質の乗ったトラックに逃げられ菊地は負傷、失敗し志野の判断ミスです
病院で菊地は自殺し、高梨が荒れる中志野はケアを怠っていた事を悟り、目標がなければ付いて来る意味がないと日本帰国を目標とし、窪は会いたい奴はいると言い志野はそれ以上突っ込めずこれも大きな失敗だったと後になって分かります
日本に戻る為志野と高梨は整形しますが窪は拒否します。イラクに来て6年半、ほとぼりも冷め日本行きの石油タンカーに乗れる算段が付き来月出発すると話すここまでが回想として描かれます
7月1日午後7時過ぎ、見失った零花達に哲雄から電話があり、戸島の身柄はこっちにあると脅し、指定した場所で君達が「ずっと見たかったモノ」が見られると誘導、あきる市のとあるアパートに侵入すると冷凍庫があり、中を開けると零花達は震撼します!
ここで前巻のラストに繋がり、窪と志野が言い争い2人は喧嘩別れし、窪が単独となり哲雄は仕留めるチャンスは不意を突ける一発目にかかっている、絶対に外せないと銃を向けるところでこの巻は終わります
まとめ
今巻の大半は志野と窪の過去の回想です。特に謎の多かった志野の人たらしぶりが現在の人格形成の一旦も垣間見え興味深いです。自身に力はなくても親友と呼べる関係性を築き仲間を増やし力を得ていく志野には末恐ろしさすら感じます
そこでついに強さの本命:窪と出会う訳ですが、窪は志野でも手に負えない程規格外の男、如何に良好な関係性でいられるか苦心します。例の事件から7年の沈黙はイラクにいた事も判明、そこでも窪は己を貫き、志野に付いてきた2人は心揺れ、ある事件から菊地は自殺します
ただでさえ半グレとして先の見えない毎日を送っている中、ホームシックになるのも当然で、志野のケアが甘かったのです。目標を日本への帰国と定めた志野ですが、この辺から既に窪との仲は悪化していたのかもしれません
今巻は面白い構成で、回想が上手い具合に挟まり極上の緊迫感が生まれます。戸島の行方を追う零花達が導かれた先には冷凍庫があり嫌な予感しかしません。また、今巻ラストが前巻ラストに繋がり、哲雄の思惑通りなものの、肝心の一発目で仕留める事が出来るのか…相手が窪だけに不可能ミッションです
物語も佳境に入って来たマイホームヒーロー、23巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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