前回までのあらすじ
去り際顔を見せたヨハンは「先生が僕を生き返らせたんだよ」と言い残します。後日テンマはルンゲに真実を語りますが、不可解な事件のため、納得のいく結末を見ません。混乱したテンマが雨の中絶叫します…
活発なニナに潜む暗い影
ニナ・フォルトナーはハイデルベルク大学に通いながら、バイトやサークル(合気道)もこなすパワフルさです。明るいニナですが、心理カウンセラーと談笑し、連邦の検察庁の検事になるという夢を語る彼女には何か裏の顔がありそうです
いつものように授業を受けていると、一家惨殺の猟奇事件の話題になり、ニナは体調を崩します。ニナは10歳以前の記憶がないと言うのです。ニナの家のパソコンには最近頻繁にメールが届き、もうすぐ迎えに行くと書かれています
テンマは独自にヨハン(ミハエル)の事を調べています。中年夫婦殺人事件の事を聴き込みすると、どの夫婦にも子どもを養っていた期間があったことに気づきます。ミュンヘンで聴き込みをしていると、ある男からヨハン(フランツ)の事を知っていると言われます
テンマの名前も知っており、ヨハンはたった一年の間に英語とフランス語をマスターしてしまったと言います。戦争の話に異様に興味を持ち、死の淵に立った人間がどんな反応を示すか、それがヨハンの興味だったと言うのです。男は盲目で、ヨハンの顔を知りません
妹(アンナ)については、20歳になったらハイデルベルクへ迎えに行くと話していたそうです
ニナは友達に謎のメールの相手を突き止めたので、会うセッティングをしてあげるといわれますが、現れた男ではなく、遠目に見えた男(ヨハン)を見てニナは失神します
テンマは新聞社を訪ね、中年夫婦連続殺人事件の次のターゲットがここハイデルベルクで、養女の娘が20歳になったら殺人犯が連れ去り、養父母は殺されると話します。対応したマウラーは鼻で笑いますが、あまりにテンマが真剣なので、9年前に失踪した兄(ヨハン)を探している家庭があるのでは?と過去の資料を漁ります
20歳の誕生日に迎えに行く…
結局ニナにメールを送っていたのは先日現れた男ではなく、遠目に見えた男が原因で失神したと感じるニナは、カウンセラーにその男が絶対悪であると答えます
テンマはぶっ続けで調べ事をして、空腹もあり倒れ、マウラーに食事に連れて行かれます。そのまま調べ事を二人で続けると、フォルトナー家で過去11歳の少年が失踪、今日がその双子の誕生日で、迎えに行くと言っていた日なのです!
ニナはメールで7時にハイデルベルク城で会おうと呼び出され、真実を知るために向かいます。マウラーの車でテンマはフォルトナー家に向かいます。車内で以前夫婦殺人事件の現場に行ったことのあるマウラーは、悪魔の仕業だという表現をするくらい陰惨な現場だったようです
フォルトナー家に着き、事情を話すも、最初門前払いを食らいます。詳しく話をすると、扉が開き、夫婦は気が変わりますが、ニナが不在ということで、慌ててテンマがハイデルベルク城に向かいます。フォルトナー家にはマウラーが残りますが、電話線が切られています
ハイデルベルク城でニナとテンマは落ちあいますが、監視していた男がテンマを襲って来ます!合気道をしているニナが男を倒し、逆にテンマのネクタイで縛りあげ話を聞くと、ニナの両親に危険が及ぶかもしれないと感じ二人は急行します。その後男は誰かに始末されます。
フォルトナー家に到着すると、ニナの両親・マウラーは惨殺されており、状況から悟ったニナは「あの時あたしがお兄ちゃん殺したのに!」と叫びます。そこに警察が現れ、現場を見て、テンマ達を保護します
銃の扱いを覚えるテンマ
車に揺られながら、様々な事からこの刑事達が不可解だと感じたテンマは、隙を突いてニナごと川に飛び込みます!何とか助かり、小屋で休んでいるニナに食事を与えるテンマ、ニナは少しずつ過去の事を思い出します
幼い頃様々な家庭に世話になりながら、ヨハンによる惨殺が行われ、リーベルト夫婦の時、ニナはヨハンの頭を撃ったのですが、結果的にテンマがヨハンの命を救ってしまったのです…ニナと別れてハイデルベルク署に向かったテンマですが、例の刑事達はやはり本物の刑事のようで、テンマは混乱します
テンマは新聞社に5時にアポイントメントを取って小屋に戻るとニナは姿を消しており、ニナが旅立ったことを知ります
ルンゲはエヴァの元に面会に行き、ハイデルベルク城で死んでいた男の元にあったネクタイがテンマの物であると推理します。長期休暇を終えて病院に復帰したテンマにエヴァが面会に行き、やり直さないか持ち掛けますが、テンマは断り、エヴァは荒れ、ネクタイの事も全て警察に話してしまうと喚きます
エヴァから話を聞いたルンゲはテンマを殺人容疑で逮捕しようとしますが、テンマは入れ違いで院長に辞表を提出し、混乱の中何とか病院を脱出します
5か月後、フェルデンへ向かうテンマ、ルンゲはテンマを指導したという傭兵部隊のヒューゴー・ベルンハルトに尋問しています。5か月前、彼のセミナーに参加したテンマは、銃の扱いを覚えるためにまずは縄跳びから始めます
ヒューゴーの家には女の子がおり、実の親をヒューゴーが撃ち殺し、今は一緒に暮らしていますが、一度も笑った顔を見たことがないと言います。テンマは銃で仕留める時は2度引き金を引くことを教えられます
いつも食事を用意してもらうので、たまにはとテンマは肉じゃがを調理します。箸も用意し、女の子は上手に使えますが、ヒューゴーは下手です。少しずつテンマと女の子の距離が縮まります。卒業したテンマの成績を聞くルンゲ、ヒューゴーは技術面は満点、集中力が抜群だと言います
ただ、実際人を撃てるかと言えば、最初の奴が撃てるかどうかで決まると答えます。テンマは去り際大金と肉じゃがを残して行きますが、相変わらず箸の扱いが下手なヒューゴーを女の子は笑います。結局ルンゲはヒューゴーを解放し、満面の笑みの女の子とヒューゴーが帰るところでこの巻は終わります
まとめ
ニナという活発な女性が出て来ますが、彼女はアンナで、ヨハンから20歳になったら迎えに行くとメールで告げられ、最初意味が分からずにいたのですが、様々な伏線が回収され、更にテンマと出逢うことでそれが確信に近づきます
連続夫婦殺人事件の次のターゲットはフォルトナー夫婦で、テンマと共闘していたマウラーごと惨殺され、ニナは自身が撃ち殺したはずのヨハンが生き返ってしまったことに戦慄します(よりによって生き返らせたのはテンマです)
テンマの良かれと思って行った行為がこのようなヨハンの惨殺事件を引き起こしていると悟り、テンマは責任を感じ、一度復職した後、辞表を提出し、放蕩の旅へと出ます。道中銃の指導を受けるため5ケ月程ヒューゴーの元に身を置きます
テンマには人の心を動かす才能があるのでしょう、寡黙だった女の子も心を開き、笑顔を見せるようになります。テンマのネクタイの件から殺人容疑で逮捕を目論むルンゲですが、まだテンマの現在の足取りまでは掴めていません
1巻でもたびたび言われて来たヨハンというモンスター、惨殺事件の主犯として暗躍しているようですが、実の双子の妹、アンナ(ニナ)にも近づこうとして来ます。ギリギリ遭遇することはありませんでしたが、それを追うテンマと共に、これから重要人物として登場して来そうです。3巻ではどんな展開が待っているのでしょうか?
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