ためになる!「コウノドリ」11巻の産科医療現場の光と影~長期入院で懇意の中になった七村と西山の明と暗…筋金入りのフルコース出産とは!?深刻な産科医療現場の人材不足~

前回までのあらすじ

相部屋では吉野が突然出血をし、帝王切開となり、無事出産、その出血の量にも納得のいく説明をされ、七村吉野の無口もずっと不安だったからなのだと理解します。七村の夫は割り切ってファミリーサポートも利用することにして、気持ちも楽になります…

長期入院(後編)

西山は個室に移動、検査の結果子宮内胎児死亡となってしまいます。原因ははっきり分からず、亡くなった赤ちゃんを早目に分娩しなければリスクがあるため、明日手術を受けることになり、西山夫婦は涙にくれます

西山は自身を責めますが、サクラは原因が分からず、申し訳ないと謝ります。分娩室の壁を隔てて命が生まれたり、西山のように死産だったりと劇的なドラマがあります。22週以降の死産の25%は原因不明なのです

キレイな状態で産まれたアカリに沐浴をさせ、手形と足形を取り、短い思い出を手元に残します。七村西山が気丈に振舞い、実は死産だった事を隠していたことに気づき、涙します。祈りの部屋で西山の夫は得意のケーキを作って来て、最後の別れをし、火葬場に行く前に自身のケーキ屋に寄ります

サクラ沖田の店に行き、今回の出来事を話し、傷心の中ピアノを弾きます

七村は約2か月入院し、36週と0日となり、赤ちゃんも2500gを超え、一旦退院するよう勧められますが、七村はこのまま出産まで伸ばせないかと打ち明けます。しかし病院の病床数や保険の問題から、正常な状態に戻った七村このまま入院することは難しいと正直に告げ、七村は納得します

退院する間際に七村は陣痛が来て、そのまま分娩室に移動します。七村は無事出産し、後日西山から手紙とプリンが届きます。アリサはベイビーが作った曲「For tomorrow」と共に添えられたメールを読み、サクラは明日への希望を感じます

フルコース

白鳥は妊婦として色々突っ込みどころがありますが、歯の治療を済ませておくよう四宮に言われます。さらに歯は痛み、歯周病が赤ちゃんに与えるリスクについて四宮は説明し、何とか治療します。その後サクラの診察で、今度は盲腸かもしれないと言われます

外科医と繋がり、そのリスクも考え、手術することになり、無事切除出来ます。一旦退院し、今度は陣痛が来て再診、しかしなかなか産まれず、陣痛促進剤投与の上、人口破膜をすることになります。しかしまだ産まれず、どうやら回旋異常を起こしているようなのです

結局帝王切開で無事出産します。帝王切開で出産した子はガマンの出来ない子になるとお婆ちゃんが言っていたと言うので、四宮今回の白鳥の出産は筋金入りのフルコースだったのでガマン出来ない子に育つ訳がないと断言します

未熟児網膜症

ゴローは後期研修初日に急遽道案内で救急車に乗せられます。消化管穿孔で腸が破裂して産まれた25週の赤ちゃんを迎えに行くのです。小児外科医のいるペルソナ医に搬送要請が来て、当初NICUに空きがあるものの外科医が足りず手術出来ない状況でしたが、院長のお蔭で代打の医師も来て、無事搬送出来るようになります

ヒロトは小腸に1㎝程の穴があり、人工肛門を作り対応します。ここでゴローも産科に戻って来ます。しかし小児眼科の先生が辞めてしまう事になり、サクラは焦ります。小児眼科医は人手不足が深刻で、難しい判断が必要な上、眼科医に金が入ってこないシステムもそれに拍車を掛けてしまっているのです

ヒロトは生後2週間、腸の状態も落ち着いたため、眼科の診察を始めることになります。未熟児網膜症のリスクがあるからです。しかし小児眼科医が退職してしまい、専門家がいない状況となり、今橋は焦りますが、ここでも院長の頑張りから新しい先生が週2で来てくれる算段がついたところでこの巻は終わります

まとめ

長期入院(後編)では、西山の死産と七村の出産という対照的な光と影を見せ、その残酷さを見せつけられます。同じ妊婦として相部屋で仲良くなった者同士、こうもはっきり差がつくものかと絶望も感じますが、病院側も原因が分からないという状況に関係者全員心を痛めています

アカリは死んでしまいましたが、最後の別れとして思い出を残し、西山夫婦は前を向く事になります。産科医療はこのような悲しい出来事も隣り合わせな中、乗り越え、日々の業務に励む必要があるのです

未熟児網膜症では特に医療のチームワークが必要な中、医師不足で受け入れが出来ないという状況が起こってしまいます。特に小児眼科医の不足は深刻で、そのシビアな仕事内容や待遇の面から希望者が少ないようです

今回院長の頑張りで代役が見つかりますが、やはり肉体的にも、精神的にも過度の負担が掛かる産科医療という現場では、離職者がいてもおかしくないのが現状でしょう。いくら待遇が良くても心身共に疲弊してしまっては続きません。現場の労働環境改善や、医療の進歩に期待したいところです

まだまだ続くコウノドリの世界、12巻ではどんなお話が待っているでしょうか?

おまけ

コウノドリのドラマは第2シリーズもあります。このドラマシリーズは漫画の刊行順に物語が進まないので、漫画を読み終えてからドラマを観るとより理解が深まります

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