ためになる!「コウノドリ」2巻の産科医療現場の光と影~未成年妊娠・無脳症・被膜児・喫煙妊婦(前編)etc…冷淡な四宮の抱える暗い過去とは!?~

前回までのあらすじ

ベイビーは年齢・経歴は全て不詳で2時間以上上質なジャズを演奏することもあれば、開演わずか10分で椅子を立ち激しくピアノを叩きステージから姿を消してしまうこともあります。ファンはベイビーが産科医で、病院からの呼び出しだということを知らないのです…

未成年妊娠

日本では年間20万件以上人工妊娠中絶が行われています(年間の出産件数の5分の1)。母体保護法という法律の下、母体の健康上の理由・経済的な理由・強姦等暴力行為による場合に行うことが定められています

ミホは高校生で妊娠が発覚し、サクラは中絶にはパートナーの男性と両親の同意が必要(パートナーが未成年の場合その両親も)と説明します。ミホは中期中絶のため、入院・終了後は赤ちゃんの死産届けも役所に届けなければなりません

ミホは両親の同意を得て再診し、サクラは中期中絶のリスクを説明します。中絶は一つの命を絶つという事、もしパートナーが分かっているのならもう一度一緒に考えて欲しいと伝えます。タカは悩んだ末父に打ち合け、ミホ宅に出向き謝罪します

事務的に手続きを進めようとすると、タカミホと結婚させて欲しいと告げます!タカ宅は飲食店で、父は現実的に考え、未成年で子どもを育てる力がない事を冷静に突きつけ、同意書にサインします

後日中絶のため病院を訪れたミホですが、やはり産みたいと本心を告げ、再度両親達と話し合います。片親のタカの父は自身の境遇から出産を勧め、ミホの父とぶつかりますが、ミホの母は受け入れ、出産に賛成します

ミホの父はサクラに相談し、サクラは中絶後遺症症候群(中絶の罪悪感から精神的に病んでしまうケース)と何度も中絶を繰り返すケースを挙げ、二人の子供というより、家族の子供であると指摘します。ミホの父も改心し、受け入れ、間もなく赤ちゃんが産まれる二人はベイビーのライブに行くと言い、ベイビーは落ち着いたセットリストを用意します

無脳症

ベイビーでライブ中にもかかわらず、サクラ川村の出産に立ち会うためライブを早目に切り上げます。2年前の妊娠の際赤ちゃんが無脳症(脳が生まれつきない)と分かり、様々なリスクから、サクラは人工妊娠中絶を勧めたという経緯がありました

夫婦は1週間の時間が欲しいと言い、サクラは自身の無力さを実感します。夫婦は意見が割れ、サクラに相談した夫は再度妻に妻の命の方が大事だから赤ちゃんは諦めようと告げます。夫婦は苦悩しながら中絶を選択、この事を絶対忘れないために死産した赤ちゃんにツバサと名付けます

下屋サクラも自身の苗字的にも死産証明書等描きたくないと感じています。ツバサを丁重に葬り、1年後再度妊娠した妻はツバサの影から恐怖を感じながら乗り越え、無事女の子を出産します。出産は奇跡であり、産科医は無力ですが、それでもサクラは自身がコウノトリだと前を向きます

被膜児

院長サクラベイビーであることを知っています。そこで唐突にロビーで妊娠30週の赤ちゃんが産まれてしまったと連絡が入ります。サクラは15年前研修医の時同じような経験をしていました。被膜児(破水せず卵膜をかぶって産まれる状態)で、助産師の小松の適切な処置で無事産まれます

この事からサクラ小松と仲が良くなり、しばらく間を開け、小松サクラの病院に移って来ます。以前撮った写真で、普段滅多に笑わない四宮の笑顔を見て下屋は驚きます

喫煙妊婦(前編)

妊娠が判明し禁煙する女性は多いですが、その5%は妊娠中も煙草を吸い続け、さらに24歳以下の妊婦の10%が煙草をやめられません。サクラ木村に喫煙のリスクを伝え、特に常位胎盤早期剥離(早剥)の場合、赤ちゃんの死亡率は30%~50%だと告げます

また、大量出血で4%~10%の確率で母体死亡のリスクも伴い、妊娠5か月の木村は流石に禁煙を考えます

すると四宮の流産への対応でまたクレームが入ったと話題になります。四宮は優秀な医者でもあり、院長はもうちょっと上手く立ち回って欲しいと告げますが、四宮は淡泊で、そこは評価が分かれるところです。サクラ小松四宮のある過去について知っているようなニュアンスで話します

カンファレンスで子宮摘出のリスクを伝えつつ、子宮を残したいという希望のあるケースについて議論し、四宮は冷淡に子宮を摘出した方が良いとサクラと意見がぶつかります。死亡率6%で、今後の妊娠にもリスクが伴う今回のケースに、四宮は慎重なのです

木村がまだ禁煙出来ていないため、四宮は苦言を呈します。言い方に棘があると感じる下屋は、5年前四宮がある経験をし、変わってしまったことを知りません。四宮がある患者に絵本の読み聞かせをしているシーンでこの巻は終わります

まとめ

今巻では4つのケースについて物語が展開します。未成年妊娠では、まだ未熟ながら子を宿してしまったカップルと両親の葛藤が描かれ、そのデリケートな問題について提起しています。サクラ二人の子供というより、家族の子供であるという言葉には重みがあります

無脳症で中絶を経験した川村夫婦は、その苦しみを乗り越え、再度妊娠し、無事女の子を出産します。命を授かったのに無脳症が発覚し、中絶せざるを得なかった夫婦には暗い記憶が残り、今回は良いケースでしたが、夫婦の今後に及ぼす影響を示唆しています

被膜児というイレギュラーな産まれ方もあるという紹介と共に、小松の登場と、四宮の訳アリの過去が暗に示されます

禁煙妊婦(前編)では、そのリスクの高さが際立ちます。男性の喫煙は勿論高リスクですが、女性の、しかも妊婦の喫煙は胎児に与える影響は凄まじく、非常にリスキーなのです。今巻では前編なので、木村の今後は次巻描かれますが、ここでも四宮の過去と、ある患者に絵本の読み聞かせをしている描写が見られます

木村の今後と四宮の過去とはどんなものなのでしょうか?次巻3巻ではどんなケースが待っているでしょうか?

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