前回までのあらすじ
小次郎は強く、天鬼はやられてしまいます。小次郎を認めた天鬼は、小次郎に強くなりたいと、弟子にしてくれと言います…
不動を斬ると決意した自斎
不動幽月斎、名は通っておらずとも腕の確かな者はいると自斎は言います。長老は倒してくれたら大金を渡すと言います。自斎は不動を成敗することを引き受けてしまいます
小次郎は村の女達に人気があるようで、団子を貰ったり髪をといて貰ったり可愛がられます。天鬼は父が不動に腕を斬られ、不動を倒したいためにに強くなりたいようです。兄に叱られ、涙を流す天鬼、また、自斎が物乞いをしている場面にも出くわします
小次郎と天鬼は様々な感情を抱きながら剣技を磨きます。剣に生き、剣に敗れた自斎は、今は小次郎が全てです。世話になっている夫婦のところで野菜を分けて貰い、食事をご馳走になり、帰り際、主人に不動の件を押し付けてしまって申し訳ないと言われます
14歳になると不動に娘を献上してきたということで、主人は今年14歳になるおりんのことを案じているのです。すると不動が現れます。おりんを連れていくつもりです。たまたま夫婦の家にはおりんはおらず、不動は自斎の殺気を感じたのか刀を抜きます。しかし自斎は不動の圧だけで腰を抜かしてしまいます
おりんの匂いを敏感に察知している不動でしたが、幸いおりんは隠れて見つかりませんでした。気を取り戻した自斎は、今日不動を斬りに行くと言います。自斎は差し違えるところまでやってみると決意します。自斎は刀を研ぎ、長剣は家に置いていき、成敗に向かいます
不動を倒す自斎
岩穴でおりんが泣いていると、小次郎が現れます。小次郎は腕に包み隠した蝶を見せおりんを驚かせます。小次郎はおりんに近づき、その匂いを感じます。天鬼と小次郎も今宵不動を斬りに行くと意気込みます。小次郎の家に寄ると、長剣が置いてあります。ずっと小次郎は長い木剣を振っていたため、長剣も訳なく振れるのです
村の衆を集め、自斎は不動と差し違え、もし不動が生きていたら止めを刺して欲しいと請います。村の衆は戸惑う者もいましたが、協力すると誓います。自斎は痛めた腕のこともあり、躊躇しますが、最早後戻り出来ません
小次郎と天鬼は不動の家に火を付け、不動を誘い出します。小次郎の長剣を見た不動は刀を持って来ます。天鬼は背後から襲いますが、掛け声を掛けたため気づかれ、倒され、顔に刀傷を付けられてしまいます
自斎は不動の家に向かいますが、怖気づいたのかなかなか足が進みません。すると不動の家が火事になっており、小次郎の声が聞こえます!
子どもを斬りたくないと言う不動は恐怖を刻んでやればもうしないだろうと言います。すると小次郎が長剣を一閃します!なんと不動の右手首が綺麗に斬り落とされるのです!小次郎は初めて人を斬り、その重さを感じます。不動は片手で素振りをし、コツを掴みます。小次郎の長剣に惚れ、刀を奪い、「物干し竿と名付けよう」と言います
小次郎の危機に自斎が突っ込みます!更に天鬼の危機に兄も背後から突っ込みますが、不動に斬られてしまいます。自斎は小次郎を突き飛ばし、不動の攻撃を右腕で受けます。そのまま頭突きをし、怯んだところで右肩に一刀入れます。不動が一太刀入れますが、自斎はそれをかわし、不動の首を斬ります!
小次郎は歓喜し、倒れた不動に太刀を入れますが、自斎に張り倒されます。陰で隠れていた村の衆が不動を疫病神とボコボコにします。自斎は片手で長剣を的確に入れられる不動を見て、実はもっと名の通った名があったのでは?と感じます。村はお祭り騒ぎになります
自斎は不動に斬られた右腕はもう使えないだろうと感じます。違う家を勧められた自斎ですが、今度は自分が救い神かと恐怖を感じ、自分の家に小次郎と戻ります。自斎は小次郎が不動の腕を斬ったのかと不思議がります。震えが止まらない小次郎と仲良く寝ます
鐘巻道場
あれから一年、自斎の道場で剣技に励む者が沢山います。自斎は小次郎には剣を教えません。大人も打ち負かす天鬼ですが、自斎はまだ小手先の剣、剣は肚で斬ると説きます。天鬼は自斎のように強くなりたいと願います
天鬼は小次郎と手合わせしますが、小次郎は目が良く、未だ小次郎から一本も取れません。世話になっている夫婦の畑仕事を手伝い、自斎は家に帰ると小次郎が土下座して待っています。自斎は倒れた不動に斬りかかった小次郎の姿に狂気を感じ、長剣を隠し、剣は教えぬと言います
自斎に木剣で斬りかかる小次郎ですが、自斎は強く、小次郎は倒れます(教えぬと言っていますが、稽古にはなっているのです…)。夜音を立てて食事をする小次郎を窘めながら、自斎はなんとか言葉を教えられないものかと思案します。小次郎が不動の残影を相手に稽古に励むところでこの巻は終わります
まとめ
村の疫病神となっていた不動を斬る約束をした自斎、差し違えるところまでやってみると決意したものの、長く実戦から離れていたこともあり、不安を感じさせました。小次郎は長剣を手にし、普段から長い木剣を扱っていたためか、剣を振るうことが出来、なんと不動の右手首を斬ってしまいます!
耳が聞こえないというハンディがある上に、初めて人を斬ったということで、その重さを実感する小次郎ですが、人より他の感覚が発達しているという要素はあるのかもしれません。自斎は右腕に大怪我を負いますが、昔の勘を取り戻し、不動を斬ってしまいます
村はお祭り騒ぎになり、今度は自斎が村の救い神と祭り上げられますが、自斎は不動の次はわしかと嫌がり、普段の生活に戻ります。かつて不動も村の危機を救ったことで祭り上げられ、疫病神に変わってしまった訳で、自斎はそうなることを恐れたのです。人間というものは、救い神だの疫病神だの、その時その時で様々な扱いをし、時に自分勝手なものだと感じさせます
時が過ぎ、鐘巻道場も賑わい、自斎は剣を教えることで村での居場所を見つけます。ただ、狂気を感じた小次郎には剣は教えぬと固く誓います。しかし、自斎は少し抜けているところがあり、小次郎に結局は剣を教えているということに気づかないのです!小次郎は剣技を磨きます。不動の幻影を見ながら、小次郎は何を思うのでしょうか?続巻も気になりますね!!
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