「バガボンド」13巻の数々の激戦と成長譚~鎖鎌の達人宍戸梅軒戦決着!殺し合いの螺旋とは!?辻風黄平の過去も明らかに…~

前回までのあらすじ

地を這うように繰り出された分銅に左の人差し指をやられ、武蔵は4年前は刀だったはずだ、師は誰だと問うと、梅軒は「師…師か…強いていうなら」と龍胆を指さします…

鎖鎌の脅威!武蔵の剛力

鎖が武蔵の刀に巻き付き、何とか外すことが出来ますが、剣先でなかったら奪われているところでした。異形の武器、厄介だぜ鎖鎌ってのは!と武蔵は感じます。風で梅軒の隠れていた顔の傷が現れ、龍胆の回想が入ります

死に場所を探していると現れた黄平は、本物の宍戸梅軒達に因縁を付けられ、全員殺してしまいます。龍胆は鎖鎌で攻撃してきますが、黄平の顔の傷が開き、自ら傷を縫う姿を見て気を失います。その後再度黄平を鎖鎌で攻撃しますが、犯されると思った龍胆は錯乱します。黄平龍胆の手当をします

梅軒は今度は刀の深い位置に鎖を巻き付けます。武蔵は刀を奪われまいと必死です。すると梅軒は鎖の力を抜き、今度は鎌で攻撃してきます!なんとか攻撃を受けますが、背後に周られ、鎖で首を絞められてしまいます

武蔵は不覚…と自分が心に闘いの用意もなく臨んでしまったことを後悔します。梅軒が止めを刺そうとすると、武蔵の剛力がなんと鎖を引き剝がしてしまうのです!再度二人は距離を取り、梅軒は驚きます。龍胆が加勢しようとしますが、武蔵の圧倒的な殺気に尻込みします。武蔵の精いっぱいの気遣いでした

その隙を梅軒は狙っていますが、武蔵は何とかかわします。鎖鎌を磨いた宍戸梅軒の中から辻風黄平という名の死神が再び現れます。自分とどこか似た空気を持つ相手を触媒に武蔵も、梅軒も闘争本能が研ぎ澄まされてきます

沢庵の言葉を思い出した武蔵は分銅に囚われることなく、先を制し次の先を取ると二刀になります。無二斎は十手術を極めた男、今はその面影にどす黒い負の感情はありません

殺し合いの螺旋

右手を上段に構え、武蔵の姿は大きく、隙がありません。梅軒は兄典馬を殺した武蔵を殺すことが生きる理由と思っていましたが、違う、武蔵が戦いを呼ぶ人間だからだと説きます。戦いなしには生きていけぬ人間だから、こうして引かれ合うのだと…!

父の面影・憎しみを超え、武蔵梅軒の鎖を左手の刀で受け止め、もう幻は見ないと右手の刀で一閃します!鎌と左手の4本の指を失った梅軒、肩からも深手を負ってしまいます

龍胆の回想で、徐々に鎖鎌のコツを掴んでいく黄平、そして、梅軒を討つために雇われた数人の者を黄平は「俺が宍戸梅軒」と一蹴してしまいます。そんな鬼のような黄平が狩った動物に対して優しい目を向けていると、龍胆黄平と同じ格好で現れ、あけびを食べてよこします。そんな場面を龍胆は思い出します

梅軒が崩れ落ち、龍胆武蔵に鎌を投げると、顔を隠した又八が刀を投げ防ぎます。しかし、武蔵は「誰だ貴様は!」と一喝します!乱入して来るとはどういうことだと言うのです。又八は自分の正体を明かそうとしますが、龍胆が短刀を投げ、又八の肩に刺さります。又八は鎌を投げ返しますが、なんと梅軒がかばって身に受けます。又八は逃げ出します

梅軒はなぜあの時龍胆を殺さず、今また救う?と自問自答します。梅軒の血を温いと感じる龍胆は、自ら顔を斬り血を流します。梅軒龍胆も憎しみの裡に生まれ、争いの下に育ったのだなと述懐します

剣すら握れなくなった梅軒は、「殺し合いの螺旋から俺は降りる」と武蔵に血止めをと、命乞いをします。武蔵は手当をし、自分を斬った敵に命乞いが出来るか?と自ら問います。生き延びるために、生きて誰かを守るために…武蔵おつう城太郎のことを想います。勝負には勝ちましたが、武蔵はだからなんだと虚しくなります

梅軒は「死神」という誰よりも人を殺す術に秀でているという誇りをその道の更に秀でたものによって潰されて消えたと感じます。そのものの名は佐々木小次郎なのです!!

特別編~辻風黄平

母親に川に突き落とされた黄平でしたが、兄の典馬達に救われます。辻風組という典馬を頭領とする十代のならず者集団はあらゆる悪事を生業としていました。典馬は同じ境遇の黄平を可愛がりましたが、黄平がなつくことはありませんでした。剣の天分のあるところも垣間見せると共に、その美貌に黄平を特別な目で見る者もいたようです

ある夜黄平留造を殺します。訳を聞かれ、「俺を組み敷こうとしたから殺した、文句あるか?」と言います。典馬は死体に蹴りを入れます。12歳になった黄平はもうすっかり悪党になっており、ある民家を襲い、女を犯そうとします。すると、典馬に女は殺され、黄平は股間を潰されます

命は救ってくれた兄弟ではありましたが、動機は愛情ではなく肉欲か所有欲か…黄平は命に価値はないと感じます。別の女を犯そうとしても機能不全になって上手くいかない黄平は、典馬を殺そうとします。黄平は小屋に幽閉されます。暗闇で憎悪を糧に五体を鍛え上げ、7年、関ケ原の合戦が終わり、侍が小屋を見つけ、中を開けると物凄い匂いと共に黄平に襲われます!

外に出た黄平は元辻風組の者を見つけ、典馬の行方を聞き出すも、武蔵に殺されたと言われます。男は殺されます。男は典馬黄平を早く殺した方がいいと進言していましたが、典馬黄平を殺せなかったのです。黄平が「たけぞう」と呟いたところで、この巻、そして、特別編の前・後編は終わります

まとめ

異型の武器、鎖鎌を操る宍戸梅軒辻風黄平)との因縁の戦いもなんとか武蔵の勝利に終わります。鎖の縦横無尽の動きに翻弄される武蔵でしたが、首を絞められるととんでもない剛力で枷を外してしまうのです!無二斎の十手術にヒントを得て、二刀になったことで優位に進め、梅軒を仕留めます

龍胆の回想等から、黄平の過去が明らかになります。独学で鎖鎌の達人にまで昇りつめた黄平も凄いですが、龍胆との絆は深く、武蔵に命乞いをするのです!守るものがある者として、殺し合いの螺旋から降りると言うのです。この言葉は後程も重要なキーワードとしてバガボンドには出てきますので、チェックしておきましょう

黄平の更なる過去も明らかになります。典馬との歪んだ兄弟関係、憎悪、そして復讐に向かう黄平、これで本編の七宝寺の場面に繋がる訳です

なお、黄平が叩きのめされた(その場面は出て来ませんが)相手として、佐々木小次郎という名前が挙がってきます。勿論又八ではなく、本物の小次郎なのですが、続巻からその小次郎編が始まりますので、ご期待下さい!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました