「バガボンド」14巻の数々の激戦と成長譚~剣に生きた鐘巻自斎、佐々木小次郎を育てる!なんと小次郎は聾唖者!村の救い神・不動の成敗を目論む長老…~

前回までのあらすじ

梅軒は「死神」という誰よりも人を殺す術に秀でているという誇りをその道の更に秀でたものによって潰されて消えたと感じます。そのものの名は佐々木小次郎なのです!!

鐘巻自斎、小次郎と出逢う!

関ケ原の合戦から遡ること17年…鐘巻自斎の元にかつての弟子から息子小次郎を預かってくれと手紙が来ます。自斎は迷惑がります。自斎は村外れの海辺に住み着いており、変人と思われています

自斎は昔のことを思い出します。弟子の伊藤が中条流を会得したと兄弟子を踏破したことを…。海辺で想いにふけりながら、手紙が吹き飛ばされ、死のうと考えます。すると、岸に女が打ち上げられます。そして、小船と共に赤子と刀が海に飲まれようとしています!

小次郎だと悟った自斎は海に飛び込み、赤子を救います。女を埋め、小次郎を抱き上げます。しかし、無垢な目に射貫かれ、怯え、小次郎を落として泣かせてしまいます。小次郎はハイハイして岸辺にある刀の元へ行きます。長物です。小次郎はこの刀が近くにあると泣き止みます。自斎はもう少し生きてみようと決心します

近所に住む子宝に恵まれた夫婦のところに乳を貰いに行きます。育てることに自信のない自斎は翌夜夫婦の家に小次郎を置いて来てしまいます。翌朝長物の刀を海に投げ捨てたものの、取りに海に飛び込み、夫婦の元に小次郎を返せと迫ります(笑)めちゃくちゃですね!夫婦はまたおいでと言います

耳の聞こえない小次郎

剣のみに生きてきた男が懸命に小次郎を育てます。小次郎はなかなか言葉を覚えないまま3年が過ぎました。長剣を持って海辺を歩いている小次郎を見かけた伊藤一刀斎自斎を訪ねます。一刀斎小次郎が耳が聞こえないことに気づき指摘しますが、自斎は気づいていませんでした

やっと小次郎が耳が聞こえないことに気づいた自斎は、己の鈍感さに嫌気がさし、長剣を振るいます。それを見た小次郎は喜び、見様見真似をします。長剣を気に入っている小次郎は少し目を離すと姿が見えません。呼んでも聞こえないのです!自斎は必死に小次郎を救い、小次郎を死なせはせんと誓います

小次郎に文字を教える自斎ですが、上手く伝わりません。漁師になりたいと頼みに行きますが、体よく断られてしまいます。浜辺で長剣を振るう小次郎を見かけ、沢庵が声を掛けます。直ぐに耳が聞こえないことに気づき、腕を斬り、剣の恐ろしさを教えます。沢庵小次郎の手当をし、「願わくば…あの子を守る剣でありますよう…」と祈ります

自斎小次郎を食わせていくために、剣術教室を開きますが、誰も相手にしません。小次郎の長剣を隠し、人の子として生きるのだと伝えても、小次郎は暴れ、自斎は男は剣に狂うのだと述懐します。しかし、小次郎は「けん」と書かれた紙を差し出し、言葉と物を一致させているようで、自斎は喜びつつ剣は隠したままにしておきます

小次郎は大木を剣と見立てて振り続けます。剣術を教えると言ってから年月が経ち、小次郎は少年になり、自ら海で魚を捕るようになっています

村の救い神・不動の成敗を目論む長老達…

村で会合が開かれています。村の救い神である不動様に毎年貢物を渡していましたが、今年は少ないと腕を斬られた者がいるのです!長老は10余年、もう十分感謝したと、不動を成敗することを考えます

小次郎は村の子どもたちに「へんじんの子」と馬鹿にされます。耳が聞こえない小次郎は最初遊ぼうと思っていると勘違いして近づきますが、逆にいじめられます。小次郎は仕返しをします

食べ物のない自斎は世話になっている夫婦に食料を分けて貰います。夫婦の家には年頃の女の子がいます。家に戻ると長老が待っています。長老が突然腕試しをさせて貰うと剣を抜きます。真っ直ぐ突いて来て、咄嗟に手の甲で受け、自斎は対応の悪さを悔いながら、昔を思い出し、剣を奪い、長老の髭を斬ってしまいます長老は事情を説明します

長老不動とあわよくば相打ちになってくれればと思案しています

村の子どもをあらかた退治した小次郎は、子どもをひれ伏せさせていると、ガキ大将の草薙天鬼小次郎に興味を持ち、木剣で相手します。小次郎は強く、天鬼はやられてしまいます。小次郎を認めた天鬼は、小次郎に強くなりたいと、弟子にしてくれと言うところでこの巻は終わります

まとめ

剣に生き、剣に狂った鐘巻自斎が行きついた先は海辺の村の外れでした。かつての弟子から子どもを頼むと託され、迷惑がりながら、小次郎を育てることになります。剣に生きてきた変人ですから、子育てなどしたこともないですし、小次郎は耳が聞こえないということも3年が過ぎてから一刀斎に指摘され気づいたくらいです。先が思いやられます

小次郎は耳が聞こえませんが、長剣を好み、泣き止んだりとちょっと変わっています。自斎は懸命に育て、すくすく成長していきます。自斎小次郎を食わせていくために剣術を教えますと看板を立てますが、村の連中は誰も相手にしません

そこで、村のかつての救い神である不動のことがだんだん疎ましくなっている村の連中の目に留まります。不動を成敗するために、自斎を利用しようとしているのです。あわよくば相打ちになってくれればとは、虫のいい話です

また、「へんじんの子」として疎まれてきた小次郎が村の子どもを退治して、更にガキ大将の草薙天鬼を倒し、一目置かれるようになってしまいます。言葉は通じなくとも、その強さを実感した天鬼は、どうしても強くなりたいと小次郎に語り掛けます。何か事情があるのでしょう

原作の吉川英治宮本武蔵」では、派手な健常者として登場する小次郎ですが、バガボンドではなんと聾唖者という設定で登場するのがなんとも斬新ですね!剣に生きる者として、耳が聞こえないというのは致命的にも思われますが、そこは井上雄彦先生、小次郎をどのようなキャラにしていくのか興味深いですね!続巻も読みましょう!!

おまけ

先述した通り、バガボンドには原作があり、吉川英治の「宮本武蔵」が元になっています。しかし、井上雄彦先生独自解釈の部分が大きく、更に面白い内容になっています。原作との違いを読み比べてみるのも楽しいですよ

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