山岳に生きる半人半馬の種族「人馬」
その生活は戦火によっておびやかされていた
軍馬の代用として軍事利用するために捕らえられてしまった人馬の松風に、幼少期から人間のそばで武将の騎馬として育てられてきた腕の無い人馬の小雲雀が逃走計画を持ちかける
計画は見事成功しふたりは松風の家族が待つ山岳の隠れ家まで遁走するが、ついに追っ手に追いつかれてしまう
その追っ手はなんと、人のため自らの意思で戦に荷担している人馬・速魚(はやめ)であった
・・・さあ、第一部後半はどのように展開していくのか、どういうカッコいいシーンが飛び出すのか!
『人馬』2巻のカッコいいシーン・ベスト3!3位「松風が教えてくれたのは生きること!! 生きるために走ることだ! お前らが逆立ちしたって教えることのできないことだ!! 松風を侮辱するな!」
追手に取り囲まれてなすすべなく捕らえられてしまう松風と小雲雀たち
そこで小雲雀は人間たちに「腕なし」と馬鹿にされ、腕も生きるための知恵も無い自分に生きる知恵を教え込んでくれた松風も揶揄される
そこで言い放ったのがこの言葉である
自分のことはいくら馬鹿にされてもいい
しかし、生きる厳しさ、生きる喜びを教えてくれた松風を馬鹿にされることだけは許さないと、涙を流して怒りをむき出しにする姿は、誰かのことを一生懸命に想っているからこその姿なのだろう
2位「ねえ とうさん… 兄弟増えてもいい? みんなのとうさんになってもらってもいい?」
松風は人間に囚われた時、一粒種の権田をひとり山に逃がしていた
権田は三国という人馬の少年が率いる戦争孤児の群れにかくまわれ、松風の帰りを待っていたのだ
松風らがふたたび人間の手に囚われた時、三国達は奇襲をかけ松風らを助け出したのである
三国は松風らを群れに連れ帰り、松風は権田と再会を果たすが、群れの皆は戦争孤児であり、松風をとうさんとよび再会を喜び合う権田をうらやましそうに見ていた
その様子に気付いた権田が松風に問うたのが「みんなのとうさんになってほしい」ということだった
まだ幼い権田が自分の喜びばかりでなく他の子たちを想って言うこのセリフは胸にぐっとくるものがある
1位「今この瞬間死ぬ戦いよりも もっと大事な長い戦いがある」「生きろ 全力で走れ」
松風や小雲雀らが父、兄代わりになり、群れで平穏な日々を過ごしたのもつかの間、捕らえられていた人馬が出していた間諜によって群れの存在、松風の生存が知られてしまう
人馬を一絡げに捕まえんと押し寄せる人間の軍勢に、松風はひとり命をかけた戦いを挑むことを決意する
子どもたちはこぞって戦いに志願するが、その子らを諭して松風が言ったセリフである
爆弾を背負って敵陣に突っ込む松風、涙を流して背を向け走り出す子どもたち
こんな時代にころされてたまるか
俺たちは生きるんだ
小雲雀をはじめとして、つかの間の父であり兄であった男の言葉に、みながそう心に刻んだシーンである
時は流れ、戦乱の時は終わりを迎えた
険しい山岳の住処に一人たたずむのは歳を取った小雲雀だ
小雲雀は松風の妹と結ばれ、権田とともに子どもらを育て上げ、そっと息を引き取る
物語は、小雲雀を送った後、小雲雀の末の息子・谷風が山を下りるシーンで幕を引く
「見たいものがあるんだ 俺はね たくさんの世界を見に行くよ」
第二部は谷風が人里に下り、様々なものに触れて成長していく姿を描いている
次回に乞うご期待、である
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