前回までのあらすじ
ヒロトは生後2週間、腸の状態も落ち着いたため、眼科の診察を始めることになります。未熟児網膜症のリスクがあるからです。しかし小児眼科医が退職してしまい、専門家がいない状況となり、今橋は焦りますが、ここでも院長の頑張りから新しい先生が週2で来てくれる算段がつきます…
妊娠高血圧症
井原は急激な体重増加で妊娠高血圧症になる可能性もあると釘を刺されます。3人分食べるくらいの勢いのある妻を何とかなだめる夫は、同僚から妊娠糖尿病の話を聞き、また産後クライシスで離婚した話もあり、とても他人事ではありません
義母が気を利かせて焼肉弁当を買って来ますが、夫は心を鬼にして事情を説明、持ち帰って貰います。ヘルシーな食事を摂り、それでもお腹が空いたと騒ぐ妻についにキレ、デブと言ってしまい、険悪になりますが、夫は誠実に産まれて来る子供のために考えており、妻も納得します
しかし努力の甲斐も虚しく妊娠高血圧症で入院となります。血圧が高く、2500gで逆子ということもあり、帝王切開をすることになります。妊娠で体重が30kg増えた人でならない人もいれば、井原のように罹ってしまうケースもあるのです
アレルギー
街のガラポン抽選会で小松は5人分のカニの食べ放題を当てます!ゴローは甲殻類アレルギーがあるからと断ります。ゴローの診察は丁寧で好評ですが、無駄話が多く、アレルギーの話題で偏らずに何でも食べて良いと話しますが脱線も多いです
ゴローは竹中の反復帝王切開の執刀医に抜擢されます!四宮の厳しい指導の下、無事赤ちゃんは産まれますが、竹中の様態は急変し、アナフィラキシーショックを起こしたようです。皆慌てますが、四宮はゴローをそのまま執刀医として立たせ、何とか処置を終えます
サクラは原因はラテックス(医療用の手袋などに使われているゴム)ではないかと指摘します。四宮はゴローに自信をつけさせる意味でも敢えて執刀医を変わらなかったようです。結局ゴローはカニが食べられないのに食べ放題に連れていかれます(笑)
転科
下屋は友人の頼みでふじ産婦人科へ当直のバイトに行きます。25週で切迫早産の神谷はなぜ自分だけ入院しなければならないのかと泣いており、下屋が宥めます。赤ちゃん(女の子)にサクラと名付けようとしている神谷の話から、(主人公の)サクラの話になり、流れでペルソナ医に転院したいと言われます
夫が現れカエと呼ぶので、自身のことだと勘違いした下屋、たまたま神谷と同じ名前だったのです。下屋の対応で落ち着きますが、下屋は数値等を見て、何か原因(甲状腺等)があるのでは?と感じます。下屋は当直を終え、ペルソナ医に戻ります
神谷は様態が急変し、肺水腫のためペルソナ医に急患で運ばれて来ます。しかし救急車内で心肺停止、加瀬が心臓マッサージを代わり、サクラ達に帝王切開の準備をさせます。甲状腺クリーゼではないか?と疑います
新生児科との連携プレイで出産出来ますが、母子共に心停止、危険な状態で、諦めずに善処しますが、その甲斐なく両方亡くなってしまいます。原因はやはり甲状腺クリーゼで、甲状腺機能亢進症と診断されていなかったことが疑われ、一瞬その事に気づいていた下屋は自身を責めます
全妊婦にスクリーニングする事はコスト面等からも難しいですが、甲状腺のリスクを常に頭に入れるようにカンファレンスでは話され、神経過敏になった下屋は手当たり次第に血液検査を行い、少し休むよう言われてしまいます
休日を利用してベイビーのライブに初めて行った下屋は、その後加瀬に救命救急に転科したいと打ち明けます。サクラに先に話したのか問われ、まだだったので、サクラに話に行かせます。なかなか切り出せず、時間を空け、下屋は恵まれたペルソナ医での環境が良くないのだと改めてサクラに転科の話をします
総合的な視点から救命で得られる事も多いため、経験を積んで戻って来るよう励ましたサクラ、下屋は1年間救命に行く決心をします。髪まで切って来た下屋ですが、1年どころか1週間持つか?と言われてしまいます
脱臼患者の整復ですら四苦八苦する下屋、先が重いやられます。すると7歳男児がトラックに撥ねられ救急搬送されて来ます!加瀬は迅速かつ的確な対応をし、何も出来ない下屋を尻目に蘇生させる事に成功します
下屋は加瀬に1年で戻るのだからしごいて欲しいと呼び捨てで呼んでくれと話します。次に34歳32週の妊婦が搬送され、CTの結果左被殻出血と診断されます。下屋は帝王切開し、妊娠を終わらせるべきだと判断、夫にも事情を説明します
下屋は救命も出来る産科医になるために救命に来ました。救命としては腕足らずですが、産科に関する事ならお手の物です。結局無事出産し母子共に健康、原因はもやもや病だと診断されます。下屋はサクラや四宮を超えて見せると豪語し、サクラも楽しみに感じたところでこの巻は終わります
まとめ
妊娠高血圧症・アレルギー等一見何でもないように見えて、リスクは忍び寄って来ます。赤ちゃんの分も栄養が必要なため、妊娠すると当然太りますが、過度になると様々な問題がある事は覚えていなければなりません
今巻のメイン・転科では、下屋がある経験から救命への転科を希望し奮闘する姿が描写されます。専門家としてある事に特化する所謂職人気質も大事ですが、総合力が求められる世の中になって来ました。仕事も同様で、AもBもCも出来る人の方が何かと重宝されます
自身で気づいていながら受け流してしまった経験から、その恵まれた環境から離れ、救命で武者修行し、救命も出来る産科医になろうと決意した下屋は非常に芯が強い女医でしょう。総合的な観点からも、医者としての視野を広げる意味でも、非常に有意義な決断と言えるでしょう
どうしても人は得意な分野からは抜けたくないと思いがちです。安定・安心から自ら逃れる事は誰でもしたくありません。しかし下屋のように苦い経験から敢えて茨の道を進む決意をするというのも、決して遠回りではなく、その経験は必ず今後に活きてくるでしょう
まだまだ続くコウノドリの世界、13巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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