ためになる!「コウノドリ」9巻の産科医療現場の光と影~修羅場を潜り成長したゴローの決意…出産予定日を巡るひと騒動~

前回までのあらすじ

傷心のゴローが帰り際街を歩いていると、妊婦が心肺停止で倒れている場面に出くわし、たまたま居合わせた看護学生が対応している中、それでは駄目だと適切な処置を施し、心臓マッサージをしながらAEDを持って来るよう指示します…

研修医(後編)

ゴローの適切な処置とAEDのお蔭で妊婦(立花)は蘇生します!救急車でゴロー共々ペルソナ医へ、即救急科に運ばれ、何とか赤ちゃんの心音はあり無事です。夫は居合わせたゴローに礼を言いますが、ゴローはAEDが近くにあったからだと冷静です

心臓発作が原因で亡くなる人は年間7万人超ですが、全国30万台以上設置されているAEDの使用率は4%で、下屋は行動力だけが必要なのだと説きます。その後立花はQT延長症候群(家族性突然死症候群)の疑いがあり、更に赤ちゃんの心拍が低下、帝王切開となります

畳み掛けるように分娩室の鈴川が心拍低下、そちらの対応もしなければならない中、立花が心停止、スクランブル体制となります。結局立花は蘇生せず、奥の手・死戦期帝王切開となります。ゴローには第一助手という重要な役割が来て、ここでサクラも駆けつけます

母体も胎児も救うこの最終手段は、様々な要因が重ならないと出来ない奥の手で、成功率も決して高くはありません。救急と産科の連携が必要なこの難局、懸命の蘇生術で何とか立花は心拍が戻ります。2回目の心停止時が病院だった事も幸いし、命が繋がり、きっかけを作ったゴローに皆労いの言葉を述べます

5日後立花は目を覚まし、植込み型除細動器を手術で入れることになりますが、経過も母子共に良好です。サクラゴローを食事に誘うと、ゴローは医者になって良かった、産科もあくまで選択肢の一つなのだと視野が広がったと言います

逆に産科を頑なに拒んでいたものの、産科医になった四宮のようなケースもあるとサクラは告げます。その後ゴロー行きつけの店に移り、ゴローはジャズピアニストを目指していたことがあるのだとピアノを弾きます(ベイビーが来た事があるということで、当然サクラはマスターの沖野と顔見知りです

その後赤西産婦人科から搬送があり、切迫早産か部分早剥の疑いで入院となります。ゴローは一緒に父が来なかった事に疑念を抱きますが、食堂のおばちゃんに赤西の事を聞かされ、更に四宮から開業医なのだから席を外せなかったのだろうと言われます

結局患者(北山)は早剥で、経腟分娩で無事出産します。サクラは今回の件で、赤西の判断は決して大袈裟ではなく、自分達の立場や力量等を考慮した適切なものだったと評価します。赤西自身からもペルソナ医に電話があり、ゴローが見届けてくれて良かったと告げ、ゴローも父がゴローをここに送った意図を察します

ゴローは今度は地域医療へ研修となりますが、今回の経験から2か月後産婦人科に戻って来るとサクラに告げます

インフルエンザ

サクラは高熱を出し、検査をし、インフルエンザは陰性でしたが、風邪を引いてしまい、何かと都合の良い当直室で休めと皆に言われます。下屋は患者にインフルエンザの予防接種は妊婦でも可能で、28週以降に接種すると赤ちゃんにもワクチンの効果があると言います

そこによりによってインフルエンザの妊婦がやってきます!居合わせたサクラが対応、妊婦は予防接種は受けていたものの罹り、場合によっては重症化もあり得るので吸入の薬で対応します

やっと休めたサクラですが、続けざまに急激な腹痛を伴った妊婦が搬送されて来て、対応した結果、便秘による症状だと分かります。大きな妊娠子宮で腸が圧迫され痛かったのです。ここでは休む暇のないサクラは帰宅します

出産予定日

川上はかなりお腹が大きく、もう3300g以上の赤ちゃんがいます。夫は単身赴任中なので、予定日近辺に休暇は取ってあるものの、立ち会えるか聞くと、あくまで予定日なので何とも言えないとサクラは答えます。陣痛がいつ起こるのかは誰にも分からないのです

逆に2400gでお腹が小さいと感じる別の夫婦に、サクラ赤ちゃんの大きさより週数の方が大事だと説きます。その後妻が胎動が弱いと心配し、夫が慌てて再診しますが、週数が進み胎動が少なく感じる事もあると説明します

結局川上は予定日を過ぎても産まれず、更にお腹は大きくなり心配しますが、いずれ陣痛だと必ず分かるくらい痛むので問題ないと言われます。サクラは折角夫も休みなのでデートに行って来ては?と提案します

41週の後半で誘発分娩の予定を組み(42週を過ぎると過産期になってしまうため)、様子を見る事になり、心配を和らげるためにサクラは分娩室を案内します。夫は更に休暇を貰えないか上司に相談、嫌味を言われつつも了承されます

その後入院するためタクシーを配車し、向かうと例の夫婦も偶然陣痛のため同病院へ行きたかったところだったので、一緒に向かいます。川上は一向に産まれる気配がなく、誘発分娩の薬を打ち風船も入れ様子を見ますが、まだ産まれません

結局翌日陣痛は起こり、赤ちゃんが大きいため慎重に対応、20時間後全開となり、少し出口を切り無事出産します。4100gという大きな赤ちゃんが産まれ、先程の夫婦の夫と共に喜びを噛み締めるところでこの巻は終わります

まとめ

今巻ではAEDについての描写がありますが、予備知識のない人にとって、AEDを使うという決心はなかなかつかない事でしょう。医療の心得がある人でもないと、例えば偶然居合わせた他人に戸惑い無くAEDを使える人等いないのではないでしょうか?

しかし、心臓発作が原因で亡くなる人は年間7万人超ですが、全国30万台以上設置されているAEDの使用率は4%という数字が物語る通り、もしこの認知とちょっとした勇気が広がれば、助かる命もあるのだということが分かります

コウノドリはあくまで妊娠・出産にまつわる内容中心とはなりますが、医療全般の話題に事欠かず、非常に身近な話題も必ず出てくるため、とても勉強になります。本が苦手な人でも漫画でお手軽に勉強出来るため、非常にためになる漫画なのです

人は他の人と何事も比べ、同じでないと不安になります。妊娠にも目安はありますが、正解等なく、どんな状態やタイミングで産まれてくるかは千差万別です。当事者ならきっと不安に感じることも多々あるとは思いますが、産科医を信頼して、ある程度なるようになれと腹を括る必要もあるのかもしれません

まだまだ続くコウノドリの物語、10巻ではどんなお話が待っているでしょうか?

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