ためになる!「コウノドリ」4巻の産科医療現場の光と影~交通事故で妊娠中の妻と赤ちゃんの命という究極の2択…根が深い夫のDV問題と、風疹への理解と予防の是非~

前回までのあらすじ

ダジャレを言いながらしっかり丸山への処置を済ませた船越に、救急救命の加瀬は患者の愚痴を言っています。そこに交通外傷で妊婦の患者が急患として運ばれてくると連絡が入ります…

救急救命(後編)

今井は妊娠36週で、頭部外傷を負い、脳挫傷と診断、全身麻酔で開頭することになります。術後夫は先程まで喋っていた妻の現状をまだ受け入れられません。今後についてサクラ加瀬は議論し、サクラは分娩誘発を提案しますが、加瀬は母体の事を考えて慎重です

サクラは慎重に言葉を選び、夫に万が一の際妻の命と赤ちゃんの命のどちらかを選択する覚悟を告げます。夫は親族とのやり取りに辟易しながら、妻との過去の出来事を思い出し一人悩みます。途方に暮れた夫が病院に着くと、急変し、選択しなければならず、夫は赤ちゃんの命を選択します

迅速な帝王切開で赤ちゃんが無事産まれます。同時に妻は亡くなり、喜びも悲しみも同時に押し寄せます。頑張った妻を労う意味でも、加瀬は丁寧な縫合をし弔います。夫は何度も自問自答し、妻なしで赤ちゃんを育てられるか葛藤します

1か月が過ぎ、夫は少しづつ前を向き、生まれてきて良かったと思う子に育てたいと決心します。へその緒を二つ用意して貰い、妻の棺に入れられたことをサクラに感謝します

夫のDV

妊娠8週の患者(横山)が、相手が不特定おり、誰か分からないというので、逆算法から推理した結果、夫という事になり、横山は安堵します。下屋は水泳の大会のため生理の時期をずらして欲しいという患者に薬を処方します

長谷川夫婦はサクラから妊娠は順調だと告げられますが、妻(リョウ子)が首に痣があることが気になります。サクラは助産師指導(妊婦への生活サポート)に繋げ、リョウ子小松から痩せすぎ等の指摘を受けつつ、夫からDVを受けていないか問われます

リョウ子は明らかにDVを受けているにも拘らず、そのことを隠します。事実家に帰ったリョウ子は、夫の異常なまでの言い口に反論出来ず、DVを受けてしまいます

サクラはSWの向井にも伝えておこうと動きます。次の診察でリョウ子は左目を負傷しており、家でぶつけてしまったのだと嘘を付きます。助産師指導に小松向井も同行させ、DVを受けていないか再度問います

リョウ子は事実を認めながらも、夫の事を悪く言わず、むしろ気が利かない自分が悪いと言うのです。もう少し様子を見て考えることになります。妊娠中はDVが起こりやすい時期でもあり、DVを受けている側もパートナーに依存しやすい時期でもあるのです

様々な事例を知っているサクラ達は、産まれてくる赤ちゃんのためにも何とかしてあげたいと考えます。助産師指導で母子シェルターの話をされますが、帰宅後その事が夫に発覚し、更にDVを受けてしまいます

リョウ子は意を決して一緒に病院に行って治療しようと持ち掛けますが、夫の逆鱗に触れ、大怪我を負い、病院に担ぎ込まれます。リョウ子向井に母子シェルターについて詳しく聞き、様々な制約があることを踏まえた上で決心します

夫は病院を訪れますが、妻の行方が分からずサクラに問いただします。しかしサクラ母子シェルターの場所は病院側でも把握出来ず、こうなった原因も夫にあるのでは?と返します。夫は帰り、その事を知ったリョウ子は母子シェルターに行くことを改めて決意します。リョウ子は無事出産出来ました

風疹

ハルカは先天性風疹症候群で、様々な合併症を患っています。風疹にはワクチン接種が副作用等で敬遠された時期があり、日本では一定数の患者が生まれてしまうのです。昭和54年4月1日以前に生まれた男性に限っては接種の機会すらなく、そのツケが今の現状なのです

ハルカはジャズピアニストになりたいと言い、前向きですが、母はまだ風疹が流行っている状況を嘆いています

子供が産まれるという部下(伊達)に、社長は念入りに風疹のワクチンを打っておけと忠告します。別の妊婦が出産し、入院中にもかかわらずワクチン接種をするよう勧められます。先天性風疹症候群は注射一本で防げる障害なのです

伊達は両親に過去自身が風疹に罹った事があったか電話で問いますが、判然としません(まだ安定期に入っていないため遠まわしに聞くほかないのです)。すると社長に出くわし、実はハルカは社長の娘だったことが発覚します

ハルカは健気に両親が好きだし笑っていて欲しい、自分のような障害を抱えてしまう人を少しでも少なくしたいからと笑って言い、伊達と指切りをします。伊達は改心し、ワクチン接種を受ける事に決めます。社長は社員全員に会社負担で麻疹・風疹混合ワクチンの予防接種を受けさせることにします

伊達サクラから先天性風疹症候群の3大症状、先天性心疾患・難聴・白内障について説明を受けます。妊娠7週で妻が風疹に罹ると80%の確率で発症するというリスクの高さです。これは勿論親族以外の外部からの罹患というケースも考えられ、1万円の予防接種でこういったリスクは避けられるのに、浸透していないのです

ハルカは念願のベイビーのライブに行き、ベイビーの計らいで最前席へ、しかも終演後アンコールで一緒に演奏しないかと誘われます!「A列車で行こう」を颯爽と弾く二人に両親は涙します

後日病院でサクラと会ったハルカは、ベイビーサクラだと気づき、二人だけの秘密だと告げたところでこの巻は終わります

まとめ

救急救命(後編)では、妻と赤ちゃんの命という究極の二択を迫られます。今回の場合交通事故で母は重体で、将来的にも生存は絶望的で、せめて赤ちゃんの命だけでも助けるということで一致しますが、いざ当事者の立場となったら、そう易々と判断出来る人はいないでしょう

コウノドリでは一見おめでたい妊娠にも様々なケースがあり、幸せと共に、不幸なケースも包み隠さず載せています。妊娠・出産・子育てに正解等ない、だからこそ、敢えて淡々と事実のみを描いているのでしょう

夫のDV等決して許されるものではありませんが、妊娠が分かってからDVが始まるケースもあるようです。対策として、今は母子シェルターという措置もあるようですが、一番はこういったものに世話にならず、夫婦円満に出産・子育てが出来る事です。現実問題としては、こういったサービスが必要なケースもあるということです

風疹についても、赤ちゃんに障害が生まれる原因ともなるため、たった一本の予防接種で防げる事は大きいのに、知らない人が多すぎるという事なのだと思います。今回取り上げたケースから、読者の方の意識が変わってくれることをきっと作者は願っていることでしょう

非常にためになり、知識を増やせつつ漫画が楽しめるコウノドリ、5巻ではどんなお話が待っているでしょうか?

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