ためになる!「コウノドリ」27巻の産科医療現場の光と影~医療安全管理<前編>…些細な事でもクレームとなるご時世、医療現場の現実と課題とは?~

前回までのあらすじ

広谷は体重の増加に敏感ですが、サクラは赤ちゃんのためにももっと体重を増やすように助言し、加えて自身の身体を労わる事も忘れないように話します。小松ジョージがジョギングデートを楽しみます…

医療安全管理<前編>①

産科医のやりがいと裏表で、医療訴訟の問題があります。2000年代の事件で非常に難しいケースから死亡事故が起こり、一時産科医への風当たりが強くなりました。こういった側面から非常にリスキーな職種でもあるのです

ゴローは疲れもありうっかりミスがあり、倉崎に指摘されます。小松は院内で医療安全管理者・磯野エイキチを見かけビビります。磯野ゴローの流産した丸山への対応について聞き取りをし、若干の行き違いがあった事が分かります

丸山夫婦は今回の対応に納得がいかず、クレームを受け、話し合いの場を設けます。磯野はどちら側の肩を持つ気もないと、あくまで客観的な立場から和解に向け話を進めます。丸山は女医を希望していたのにゴローが対応、しかも塩対応であっさり流産と告げられショックを受けたと言うのです

ゴローも心から謝罪し、一旦場は収まり、磯野は今後も引き続きこの対応を行うと元気づけます。加瀬磯野を見かけ、3年前まで救急の腕のいい看護師だったのだと下屋に明かします。相棒として心強く感じていた加瀬でしたが、院長の命で磯野は様々な重圧の掛かる医療安全管理者に抜擢され、快諾します

医療安全管理<前編>②

サクラは当直の引継ぎでゴロー小野田がてんかん合併妊娠なのだと告げます。ちょっとした行き違いで朝食の飲み物が誤配され、磯野は原因を突き止め解決します。小野田は同室となった岡田に自身がてんかん持ちだと語ります。てんかんは100人に1人という多さで、発作の頻度や症状も千差万別です

前置胎盤の岡田は子宮を残したいと希望しましたが、現実的には難しく、納得の上手術を受ける事になります。同室で仲良くなった小野田と別れる事になり、残念がります。小野田夫婦は花屋で、ハーバリウムを皆に配って好評でした

岡田は無事出産出来たものの大量出血があり、輸血をし何とか手術を終えます。小野田岡田に車で花を届けに行くと言い、心配されますが(岡田は妊婦である事が心配だったのですが…)、てんかん持ちが車の運転はリスクが高いと思われて心外だったようです

一時退院し、若干風邪気味だった小野田は市場に行くのを止め、夫が花屋の仕事を終え寝室に行くと、小野田は心肺停止となり救急搬送、加瀬達の懸命の蘇生も虚しく、亡くなってしまいます。原因がはっきり分からず、CTを撮り詳しく病理解剖を行わせて欲しいとサクラは話しますが、夫はまだ現実を受け入れられません

医療安全管理<前編>③

小野田の遺体は警察で検視官による検視と監察医による検案のため護送されます。今回の件で院長は関係者を集めて症例検討会を開きます。様々な要因を一つずつ確認していきますが、はっきりした死因は特定出来ず、きちんとした検証が必要かもしれないと話されます

小野田の葬儀に仲良くなっていた小松が参列に行くと言い、サクラも誘いますが、サクラは気を使って行かないと言います。遺族は悲しみに暮れ、葬儀後夫の叔母が看護師として働いていたため知識があり、今回の件に疑念を抱き、数値等から病院に落ち度があったのでは?と考えます

夫は再度サクラ磯野と面会し、丁寧に応対されますが、夫は納得がいかず、はっきりした原因が分かるまで通い続けると凄むところでこの巻は終わります

まとめ

どんな些細な事でもクレームが付く厳しいご時世となって来ました。色々な場面でこういったトラブルは起きる訳ですが、特に命を扱う産科医等医療関係の仕事は、ただでさえ多くの配慮が必要な上、関係者とのトラブルにも苦慮しなければなりません

医療安全管理者はそういったトラブルの解決のために奮闘する、裏方ながらなくてはならない重要な仕事です。同僚からも煙たがられる職種でもあり、損な役回りとなりますが、磯野のように責任感が強い人間が担ってくれないと、病院はトラブルだらけになってしまいます

医療事故等も当然起きてしまう訳で、関係者と折り合いを付けるためにも病院運営というものは非常にリスキーな側面を持っている事が分かります。後半で出て来た死亡案件は、病院側に落ち度がないものの、遺族の悲しみは計り知れず、やり場のない怒りの矛先がサクラ達に向かおうとしています

この激動の、ほんの些細な事でも大騒ぎとなるクレーム天国の日本において、穏やかに暮らすためにはリスクを避けるしかありません。しかし、誰かが責任のあるポジションを担ってくれないと、世の中は回らなくなります。今回問題提起している医療安全管理は、そういったご時世を映し出す鏡のようです

緊迫した状況が続く中、28巻の<後編>ではどんなお話が待っているでしょうか?

おまけ

漫画の話間には鈴ノ木ユウ先生のお子さんが描く絵が毎回載っています。連載が進むと共に画力も上がっていき、その成長を楽しむことも出来ますので、見比べてみましょう

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