ためになる!「コウノドリ」14巻の産科医療現場の光と影~子宮頚がん<後編>・市川夫婦の葛藤と、サクラの過去の因縁への決着へ…時間外診療の先の読めない忙しさ~

前回までのあらすじ

何事も早い方が良いという事で、マイはどうしても赤ちゃんを産みたいため、リスクは考慮の上手術を承諾します。倉崎は自身の事情も明かし、マイに早目に上司にも相談すべきだと助言します。マイは不安になりますが、夫も同意しつつ信じようと手を握り合います…

子宮頚がん<後編>

仕事が早く上がれた市川夫婦は行きつけの店に行きます。マスターは気を使ってわざと二人きりにしてくれ、保険に入っていなかったのでお金は掛かってしまいますが、がんを治すと二人は決意します。マスターはお守りを買ってきてくれます

円錐切除の手術後休んでいると破水したと思い、倉崎が駆け付けると、これは浸出液のようです。5日後一旦退院しますが、エコー写真で円錐切除でがんが取り切れなかったことが分かります。マイの場合広汎子宮全摘術が必要だとサクラは言います

マイは夫との子供が出来て嬉しかったものの、今回のがんの件で相当参っています。カンファレンスでは本人が妊娠継続を希望しているということで、サクラは28週で帝王切開・子宮全摘と主張、32週が妥当だとする四宮と意見が割れます。倉崎も30週を超えた方が赤ちゃんには安心と意見します

マイは夫に赤ちゃんが産めなかったら離婚しようと切り出します。子供が産めないのなら一緒にいても仕方ないとまで言うのです…夫は上司に事情を説明し、一定の理解を得ます。市川夫婦は32週まで様子見したいと打診しますが、サクラが夫の前に現れ、例の養護施設へ連れて行きます

そこで自身の身の上話(母が子宮頚がんで亡くなった事)をします。サクラはこの苦い経験から、慎重になり、28週で一度MRI検査を行い、臨機に対応出来るようにしたいと言い、夫ももう一度マイと話し合ってみると同意します

欧米では20歳~69歳までの子宮頚がんの検診率は80%近いところ、日本ではやっと40%(20代だと20パーセント)なのが実情です。日本でもワクチン接種の勧奨が一時進みましたが、副作用の問題もあり、停滞してしまったのです。毎年1万人が子宮頚がんに罹り、3000人が亡くなっていますが、そのうち2000人はがんにならずに済んだはずなのです

夫はマイに28週で帝王切開と手術をしようと切り出します。マイがお腹の赤ちゃんを守ることに必死なのは分かりますが、夫は何より母体の方が心配で、少しでも可能性が上がるのなら、母子共に健康で一緒に生きていける道を進みたいのです。マイも同意します

ただいざ手術を受けると決断しても、様々な制約、今後留意しなければいけないことが多く、二人は参ってしまいます。両親に心配させたくなかった夫婦でしたが、両親もマイの命に関わる事なので、心配して病院を訪れます。手術が始まり、元気な女の子(ナナ)が産まれます

マイは搾乳を頑張り、まだ死ねないと涙します。その後術後の結果が出て、幸いがんは転移しておらず、夫も半年育休を取り、NICUに入ったナナの面倒を見ています。サクラは養護施設を訪れ、ケイコ幸子とのやり取りを思い出します。ケイコ幸子が生きてサクラを育てたかったのだと言います

サクラは産科医になった理由は母とケイコの赤ちゃんを助けたかったからだと言い、今でもそのつもりで産科医をやっているとケイコを泣かせ、二人はピアノの連弾をします

身長差

小松はマタニティスイミングに常駐している助産師のピンチヒッターを頼まれ、そこで身長145cmの浜口と再会します。終了後別の妊婦からお尻に何かできものがあると明かされ、痔ではないかと話します

浜口は低身長なので帝王切開になることを恐れており、児頭骨盤不均衡(CPC)の事を聞きますが、レントゲン等撮ったとしても、様々な要因が重なり、陣痛開始前に診断を下すのは難しいと言われます。夫はバレーボール選手(194cm)ということも不安を煽っていましたが、小柄な小松は自身が3700gで産まれて来たと明かします

少し不安も過っていた浜口ですが、能天気な夫の存在もおり、順調に過ごし、マタニティスイミング中に陣痛が起き、ペルソナ医に運ばれますが、なかなか産まれず、帝王切開に切り替えます。倉崎は子供が熱を出し、その事が手術に支障をきたすと考える四宮の配慮で仕事を切り上げ帰ります

無事浜口は出産し、現在はCPCという言い方は産科医はしなくなってきており、今回は分娩停止による帝王切開という形となります。大柄の夫は赤ちゃんを抱き喜びます

時間外受診

ゴローは当直医に講談医大の福田先生を紹介され、あまり迷惑を掛けまいと気を使い、小松の助言で隙間時間にシャワーを浴びようとしますが、間が悪く呼び出されます。お腹が張ったのは性行為をしたせいと分かり、その患者は照れますが、更に別の患者が時間外に受診、結局大事にはならず、ゴローはてんてこ舞いです

やっとシャワーを浴びれると思っていたゴローですが、今度は下痢嘔吐の患者が現れます!ゴローはノロウイルスを疑います。結局様子見し、エコーを見せ安心して帰しますが、ゴローはほとんど休めず仕舞いでした

翌夜今度は四宮が当直で、また忙しくなり、分娩室の3つが埋まります。慌ただしく時間差で何とか対応しますが、ここでも飛び込みの患者(34週・県外)が来ててんやわんやです。友人の結婚式のため来県も破水したということで、四宮は機嫌が悪いです

結局早産で帝王切開の流れとなり、やはり県外からの出産は色々と大変です。更に別の患者に帝王切開等手が足りないため、先程ジャムパンを寄越した下屋を助っ人として呼び出します。珍しく下屋を褒めた四宮が、当直明けでジャムパンを食べながら休んだところでこの巻は終わります

まとめ

夫婦にとって赤ちゃんが産まれるという事は非常に大きな、大切な出来事です。今回マイが子宮頚がんと分かり、赤ちゃんも母体も危機に陥る訳ですが、夫は例え赤ちゃんが無理でも夫婦として生きて行きたいと、その絆の強さを感じさせる描写がありました

結婚すれば当然子供は産まれるという安易な発想をしてしまいがちですが、様々な要因から子宝に恵まれないケースはあり、また、今回の子宮頚がん等命のリスクのある病気が見つかる場合もあるのです。周囲の人間も含めて、結婚・妊娠というものは非常にデリケートな問題だと考えさせられます

サクラは自身の経験から非常に慎重となっていましたが、無事マイは出産し、術後も良好、自身のしこりにも何か決着がついたようです。サクラ過去の出来事を乗り越えることで、人は前に進めるという姿を読者に見せてくれます

妊娠は本当にいつ・どこで・何が起こるか分からないものです。時間外診療のてんてこ舞いの描写から、重なる時は重なるのだと感じさせます。ゴロー・四宮の奮闘も、間が悪かったとしか言いようはありませんが、それくらい妊娠は予測不可能な事なのでしょう

まだまだ続くコウノドリの世界、15巻ではどんなお話が待っているでしょうか?

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