前回までのあらすじ
長かった戦いが終わる…と岩を投げ殺そうとする哲雄にやられたフリをしていた志野の銃弾が襲い哲雄は胸を撃たれ転げ落ち頭を打ちます。零花に自転車を教えて成長して自身を越えていく姿を思い返す回想を挟み、当の零花は恭一を連れ銃声と地形から的確にその場所に向かい、哲雄は目を閉じて倒れています…

どっちも負けたんだな…
零花は父がいなくなる事に実感がなく、恭一に宥められ一緒にいてくれてありがとうと告げます。瀕死のヲハは明砂に謝り、俺のエゴで罪だと語り最後に俺の願いを聞いてくれてもいいだろ?ー生きろと念じます。窪はふらつきながら落下した哲雄を見つけます
哲雄は気付き志野の銃弾をかわすとこちらも瀕死ながら生きています。ゆっくり追って来て無駄撃ちしないという事は残弾が少ないという事です。哲雄の出血も止まらず時間に限りがあります。哲雄は木にもたれかかりあんたの勝ちだとしますが先程の志野のやり口のようにも見え油断出来ません
震えた左腕でも当たる距離まで近付くと哲雄は「間に合った」とスマホのライトをタイマーで照射、志野が怯んだ隙に銃口を遮りますが右肘を入れられ倒れ志野の勝ちです。自分の限界ギリギリまで頑張ったけど犯罪にまで手を染めても家族を守れなかったと哲雄は悔います
明は犯罪者の子供として苦労する人生を送る事になるだろうがきっと君は大丈夫…と掌を広げると例の窪に付けられた傷を志野が見つけ、どっちも負けたんだな…出会うべきじゃない2人だったと一致します。色んな犯罪で色んな奴から金を稼いだ志野は哲雄というハズレを引き自身の罪だと終わらせようとします
そこに明砂がナタで向かって来て、油断した志野を金的する哲雄、それでも志野は明砂を撃ちますが外し、ナタを腹に受けます
捕まるなら零花がいい
明砂も腹を撃たれておりナタを手放してしまい、そのまま志野に撃たれますが哲雄が掴みかかり右腕だけで済みます。哲雄はナタを掴みますが柄を撃たれ折れ、勝負あったかに見えても志野は撃って来ません。2人生きている為残弾1と見た哲雄、明砂は迷わずナタに向かい右足を撃たれ哲雄にナタを投げます
両腕を痛めている哲雄は最後の力を振り絞り渾身の一刀を志野の頭に入れます!倒れた志野に本当の…終わりだと構えるとここで零花達が現れ、あと一歩というところで娘に私に撃たせないでと言われ哲雄はナタを捨てます。清々しい哲雄は手順通りに…自首するとしますが、明砂は志野をここで殺すとナタを振りかぶります
恭一に蹴られ零花は明砂を現行犯及びホームレス事件の容疑で連行すると言います。零花は逮捕が遅れて力及ばずすみませんと哲雄に謝り、弱い自分を見せたくなかった哲雄にそんな理由でやっていい犯罪じゃないと過去を思い出し、ありがとう…お父さんと涙します
10数分前瀕死の小沢は納屋の戸島を起こします。ホテルで歌仙は明に父は悪い人なの?と聞かれ家族を守る為に悪い人と戦ったんだよと告げ、母をいい母だと思ってくれるなら同じくらいいい父だって思っていてねと優しく宥めます。過去を振り返りとにかく疲れた哲雄は零花に来てくれてありがとうと告げます
あなたは大切な家族や人が危険な目に遭っていたら…どうしますか?
お互い思うところはあるものの、捕まるなら零花がいいと思った哲雄、零花が生きててくれて嬉しいとし、零花は大好きだと言います。もしも…として1巻冒頭のくだりとなり、零花は怪我していなく、彼氏を歌仙と共に紹介され哲雄は涙ぐみます
彼氏は板前を目指しており、零花は警察官になり、やがて結婚、明も産まれ哲雄は54年間一度も刑法を犯さず生きて来たと誇り、零花にも子が産まれ孫を抱き僕に訪れるかもしれなかった日常…手放してしまった未来…を想いながら零花に逮捕されます
病院ではシロー警部がフィリピンに飛んだと話されており、ヲハも明砂も東京警察病院に入院しており手錠で状況を把握します。3年後哲雄の初公判が行われ、取材では一般人の意見は真っ二つに別れ、同情もあれば非難もあります。店のTVを見ながら支度をする恭一は罪には報いがあり、哲雄は全て覚悟した上での行動だと理解します
小沢は収監されており、歌仙は証拠不十分のまま不起訴となります。歌仙は哲雄とゼロから築き上げたものは無くならず、これからも繋がり続けるとTVを付け、「あなたは大切な家族や人が危険な目に遭っていたら…どうしますか?」という問いに様々な反応があります
零花は警察を辞め今度は六法の勉強に励んでおり、犯罪者と向き合ってみたいと考えています。哲雄は罪を認め、検察側は完全責任能力はあると主張しています。16年後若い男がデスクワークに励み、程ほどに目立たず過ごしているといつも手伝っていた女性から想いを告げられます
苗場は父の事件の事を話しますが、女性は知らないと言います。女性は父の罪は苗場の罪じゃないと諭し、嘘のない本当の気持ちが知りたいと迫り、僕達家族を守る為に力の限り戦った父を誰が敵になろうとも好きなんだと本心を涙ながらに告げるところでマイホームヒーローは終わります
まとめ
壮絶な結末を迎えるマイホームヒーロー、志野は最後まで足掻き、満身創痍の哲雄も心折れかけますが、明砂の助けもあり逆に折れたナタで頭を割り勝負ありました。トドメというところで零花が駆け付け、哲雄は自身が一番望んでいた形で現行犯逮捕されます
元はと言えば零花が延人からDVを受けていた事から始まった物語、描かれた通り哲雄には違った平穏な人生もあったのかもしれません。大切な家族の危機に父親として行動に移した哲雄は果たして悪人なのでしょうか?殺人等決して許される事ではありませんが、大切な家族を守る為となると見方も変わってくるでしょう
半グレとの抗争やカルト教団、窪という狂気じみた存在等様々な側面を見せたマイホームヒーローでしたが、タイトル通り哲雄が鉄の絆で家族を守り抜いたのは事実で、明は人生が大きくうねり日陰の日々を過ごしてきましたが、理解者も現れます
家族を守る為にここまで出来るか…この難しい問いを、読者に鮮烈に投げ掛けたマイホームヒーロー、哲雄は一貫しており、紛れもなく救われた者もおりヒーローだったのかもしれません…司法の裁きは別として、この不条理な世の中を映す鏡のような内容で幕を閉じたのでした
終わりに
如何だったでしょうか?推理マニアのどこにでもいる普通のおじさん:哲雄が家族の為に罪を重ねながら血の滲む日々を過ごし、それでも前へ進む原動力となったのは紛れもなく家族の絆からなるものでした。善悪はともかく、その強い意志には心動かされるものがありましたね!今までお付き合い頂きありがとうございました
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