前回のあらすじ
若菜の真意を知ったナインは若菜を連れて甲子園に行くぞと気合を入れます。関川は得意の脚を見せつけ、セーフティバントで出塁、更に続く御子柴の送りバントをなんと3盗にしてしまいます…
ニコガク奮起!
続くバッターは万能戦士の赤星、なんでも出来るため、守備陣は警戒します。案の定2球目にスクイズを仕掛けてきて、上手くピッチャーが外したものの、赤星はバットに当てファールにしてしまいます。3塁の関川は俊足でホームに迫って来て、笹崎ナインは戦慄します
キャッチャーは関川の脚と赤星の柔軟性を読み、敢えて決め球のフォークを投げさせます。赤星はスクイズのバットに当てることが出来ませんが、関川はホームに爆走、なんとアクロバティックにキャッチャーの上を跳び、ホームをタッチし得点してしまいます!
まともに当たったのは赤星のヒッティングのみとはいえ、この泥臭い野球に会場の応援席の目の色も変わって来ます。続くバッター、安仁屋には川上は敢えてフォーク連投で攻め、タイミングも合って来ている中、なんと右中間に打ち返しタイムリーに!
安仁屋はスリーベースを記録し、ついにニコガクが逆転します。記者達は笹崎の過去の栄光と挫折の歴史について話しています。絶頂にあった70年代、現監督の千葉の現役時代の栄光から、暗黒時代へ、そして千葉の監督就任から再度表舞台へ…江戸川区民の期待の星に再度なったのです
スラッガー別所、そしてエース川上の加入でいよいよ甲子園が見えて来た中、川上は入部当初は自己中心的なプレイヤーでした。いきなりレギュラーを約束され、天狗になっていた川上を、敢えて試練に巻き込むのです…
川上の辛い過去
新庄の好打が際どくファールと続く中、川上の過去のモノローグが続きます。笹崎は去年の甲子園でワザと川上をマウンドに立たせ続けました。完全に打たれ、有頂天だった彼を奈落の底に落としながら、なおもマウンドで醜態をさらさせ続けるのです
完全に集中力を失くし、茫然としている川上、ナインもベンチに交代を指示しますが、千葉は今年は先輩達が犠牲になってでも川上の鼻っ柱を折って、来年に優勝を狙えるようにこんな残酷な仕打ちをするのです…この話を聞かされた川藤は、選手一人一人の夢を踏みにじるなんて許せないと憤慨します
川上は結局意地を張りマウンドに居続けるしかなく、打たれまくり12失点を喫し、1回で交代となります。犠牲になった上級生が涙する中、一人天狗になっていた川上も現実を悟り、千葉は「ここから這い上がってこい」と声を掛けます
試合に戻って、過去のトラウマが脳裏を過ぎる中、卒業した先輩達の檄も飛び、また、以前と違いマウンドに集まってくれる心強いナインとの絆も感じる川上は奮起し、新庄をフライに打ち取ります
試合の流れが再度笹崎へ…
川藤は千葉の過去の選手への仕打ちに対して激怒し、学校の名誉等くだらない、今の選手がきらめいて夢を追いかけられないで何が甲子園だと激怒します。しかし笹崎はこのピンチがかえって団結を生み、ヒットから続く別所が大きく打ち上げたかに見えた打球がみるみる伸び、なんと2ランになってしまいます
完全に蘇った川上、バックの好守備にも助けられ、笹崎優勢になっていきます。徐々に捕らえれら始めて来た安仁屋を一旦下げ、ポジションチェンジのため濱中に伝令に行かせます。しかし川藤が危惧した通り、例の唾吐きの件をしっかり覚えている客席から罵声が飛び交い、濱中は完全なワルモノです
安仁屋→レフト、今岡→セカンド、御子柴→キャッチャー、赤星→ピッチャーというポジションチェンジで、急造シフトで乗り切りを図るニコガク、御子柴の打者心理を見抜いた配給で見事3番を打ち取り、続く別所は敬遠策にします
しかし甘く入った投球をいくら敬遠球とはいえ別所が一振りし、ホームランにしてしまいます!(阪神の敬遠球を打ち放った新庄選手の再現のようです)3-5となり、やはり別所と川上という2枚看板を要する笹崎の方が一枚上手なのか…と誰もが感じる中この巻は終わります
まとめ
優勝候補の笹崎に一瞬悪夢を呼び起こさせる程の泥臭さでニコガクが一時逆転します。赤星という万能戦士と、関川というスピードスターのコンボには、流石の笹崎も茫然自失となります。続く安仁屋も雪辱のスリーベースでついに逆転、ニコガクペースとなりかけます
ここで笹崎・特に川上中心のモノローグを挟みます。期待の新人として鳴り物入りで入部してきた川上を早速エースとして重用してきた千葉ですが、我流を貫き、完全に天狗になっている川上にお灸を据えようと考えていたようです
それがなんと甲子園の舞台とは…犠牲になった上級生にとってはたまったものではありません。将来的なことを見据えてのこととはいえ、この仕打ちは賛否両論別れるところでしょう。特に3年生にとっては最後の甲子園です。彼らのことを犠牲にして川上に挫折を経験させるとは、なかなか評価が別れる仕打ちでしょう
結果笹崎は常勝軍団になり、別所・川上の2枚看板で甲子園で優勝も狙えるくらいに力を付けた訳ですが、この高校野球・引いては高校スポーツ界の、各選手3年というリミットの中、全国の舞台へというジレンマは必ずついて周ることです
たまたま上手くピースがハマり全国へ…という場合もありますし、逆に下級生がいい選手が揃っているため、経験を植え付けるために敢えてレギュラーにする等、監督の考え一つで振り回される選手も多くいます
経験したことがある人は分かると思いますが、誰しもレギュラーになれる訳ではありません。また、誰しも甲子園のような晴れ舞台に立てる訳でもありません。どの選手も今が一番です。川藤の怒りはこういったところから来たものと思われます
ともあれ笹崎優勢になった試合の流れ、このままニコガクが黙っているでしょうか?次巻のコミックスでの反撃に期待しましょう!!
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