前回までのあらすじ
夜音を立てて食事をする小次郎を窘めながら、自斎はなんとか言葉を教えられないものかと思案します。小次郎が不動の残影を相手に稽古に励みます…
剣は教えぬと言っていてしっかり教えている自斎…
剣は教えぬといいつつ、小次郎に稽古を付ける自斎は、小次郎に才があることに気づきます。いつしか自斎は鍛錬を積み、小次郎に稽古を付けている自覚はなくとも、剣を教えてしまっています
戦が始まることに胸が高鳴る天鬼と小次郎、再度勝負しますが、やはり小次郎の勝ちです
土砂降りの中勝負をしている自斎と小次郎、自斎はこんな時は勝負は避けたいと考えています。後ろから静かに近づきますが、小次郎は鳥が飛び立つのを見て自斎に気づきます。しかし自斎は口に含み水をしていて、それを目に浴びせ小次郎を倒してしまいます。最早自斎はいっぱいいっぱいです
一刀斎の言葉でやっと気づく自斎(2回目)
小次郎は月夜の中、一人腕を磨きます。立派な姿になった小次郎を見て、伊藤一刀斎は「鐘巻先生、感服しました」と感じ入ります。天鬼は野武士が無防備に話掛けてきたため、威嚇し、尻づもみさせてしまいます。すると一刀斎が現れ、天鬼は自身の殺気で刀を抜きそうになります
一刀斎は振り返り、「鐘巻先生の弟子かね?」と喜びます
自斎と小次郎は勝負をしています。目がいい小次郎は含み水もかわしますが、同時に指を攻撃され、一旦離れます。自斎は攻撃と同時に掘っていた穴に小次郎は脚を取られ、自斎は跨り再度剣は教えぬと言います。最早限界ギリギリの自斎、そこへ一刀斎が「立派に教えとるじゃないですか」と言います
立派に育った小次郎を「猫のようにお育てに…だがこいつは虎だ、儂らと同じ虎ですよ先生」と一刀斎は言います。小次郎をなぶった一刀斎は「師を相手に手加減するとは何事か無礼者!」と一喝します!自斎はやっと気づきます。小次郎はキレて一刀斎に向かっていきますが、一刀斎に倒されてしまいます
追手に立ち会いたくば斬り合えと命じ…
一刀斎が夜の海辺にいると、追手が来ます。しかし先に小次郎が見つかります。小次郎の内なる気持ちを代弁した一刀斎は、一同の前に現れ、追手に点数を付け(自分は壱萬点)、「天下は広い、遊びはまだ終わらぬ!」と言い張ります
追手5人は群れる仲間ではない、一刀斎を倒すという共通の目的があって行動を共にしていると言います。若かりし時の伝七郎が吉岡拳法が次男…と切り出すと、親の名を出すとはと笑います。親の名を出せば何割増しかに強く見えるだろうと言う一刀斎に、そういうつもりで名を出したのではないと弁明する伝七郎でしたが、一刀斎の間合いに入っており、扇子で一打されます!
植田という子守が付いているようでは点数はやれぬと一刀斎、既に5人は一刀斎の空気に呑まれています。一刀斎は立ち会いたくば斬り合えと言います。今まで仲間として共に行動してきた者達が同士討ちを始めます
一人斬り結び、そこに小次郎が現れます。小次郎は刀を手にし、瞬時に大山の腸を掻き切ってしまいます。苦しみに悶えている相手のことが分からないのです。高田三之丞は腹が立ち、相手をしますが、小次郎は高田の打突を下から振り上げ、右腕を引きちぎってしまいます。かろうじてぶら下がっている右腕からいつぞやの不動を思い出し、今度こそ腕を斬ります。そして伝七郎と対峙したところでこの巻は終わります
まとめ
剣は教えぬとは言いつつしっかり小次郎に稽古を付けている自斎、相変わらず周りのことが良く見えていないようで、そのことに気づかせるのがまた一刀斎なのです!一刀斎は小次郎の中に眠る虎を呼び起こそうとします。小次郎は自斎・一刀斎側の人間だと…
一刀斎の追手という5人組は、群れているのではなく、一刀斎を倒すという目的の元たまたま行動を共にしていると言います。敢えて相手をしてこなかった一刀斎、小次郎の出現と共に、考えを改め、斬り合えと命じます。一刀斎の妖力にも似た圧倒的な殺気に、いつしか5人は斬り結び始めてしまいます。完全に場の空気を自分のものとした一刀斎の圧力は凄まじいものがありますね!
この挑発に乗り斬り合いが始まりますが、ついに小次郎が剣を抜いてしまいます。不動との戦いから剣はタブーとして使えなかった中、小次郎の心にはずっと剣があり、耳が聞こえない中、今は剣を使って良いと悟った小次郎は、その華麗な美技で魅せます!幼い頃からずっと腕を磨いていたのです、最早常人を超える腕を持っていてもおかしくありません
このように小次郎を仕向ける一刀斎の意図とは何なのでしょう?また、若かりし頃の伝七郎と植田も出てきますが、小次郎との対決もあるのでしょうか??続巻も読みましょう!!
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