「バガボンド」17巻の数々の激戦と成長譚~小次郎VS伝七郎戦決着!無限の可能性を持つ聾唖者・小次郎が一刀斎と天下一を掲げて旅へ出ます~

前回までのあらすじ

小次郎高田の打突を下から振り上げ、右腕を引きちぎってしまいます。かろうじてぶら下がっている右腕からいつぞやの不動を思い出し、今度こそ腕を斬ります。そして伝七郎と対峙します…

小次郎VS伝七郎!

刀が駄目になっていたことにやっと気づいた小次郎は、なんと対峙する伝七郎から脇差を抜き取ります!すると一刀斎が降りて来て、小次郎の脚を刺してしまいます!

一刀斎は苦しがっていた大山の止めを刺し、恐怖に鈍い者は真っ先に死ぬと教えると、小次郎を治療し、再度闘いを仕向けます。小次郎は痛みを伴いながら、なお向かっていきます

伝七郎の回想が入ります。先代拳法が死去し、兄清十郎が当主を継ぎ、兄にあって自分にないものを見つける旅に出ようと…伝七郎小次郎と対峙し、度胸・勇気・覚悟がないことに気づきます

拳法に一度も褒めて貰えなかったことに涙する伝七郎は、なんと自ら足を刺し、小次郎と同じ条件になります。植田は元々伝七郎に利などない、己の奥底の非情を解き放つために刺したのだと述懐します

事実伝七郎の剣は凄みを増します!また、小次郎は脇差のため、間合いの利があります。普段棒切れでの鍛錬しかしていない小次郎は剣で人を斬る感覚を掴めないでいます

しかし、伝七郎の一振りを受け、払い胴で腹に一撃を加えます!一刀斎は勘が良いと感じます。伝七郎は肚を斬られましたが、骨によって命は護られました

剣に生きた価値はあった!

一の太刀に俺の人生の全てをのせる、それが吉岡流と語る伝七郎の気迫の一撃は、小次郎の腕を斬り、肩を斬り、一刀斎は気迫も馬鹿に出来んと解説します。武者震いする伝七郎は、お互い血を流しすぎたと感じます。寄せる波を歌のように口ずさむ小次郎は、右上段からの振りから足を踏ん張り、更に左下から上段に斬り上げます

伝七郎を斬り、意識を失くした小次郎を、「面白い」と抱きかかえる一刀斎。弟弟子として興味を示します。戦後植田は宿に傷だらけの伝七郎を連れ帰り、手当を受け、伝七郎は夢で小次郎と沢山喋ったと語ります。植田伝七郎の将来の大きさを夢見ます

自斎は傷だらけの小次郎を介抱しながら、過去の出来事を思い出します。3人を斬ったと分かり、小次郎が一晩で男の顔になったと感じる自斎は、小次郎のことを一刀斎に託します。そして、小次郎は全快し、一刀斎と旅に出ます。最早長剣には興味を示さない小次郎自斎は長剣を海に投げ捨てます

伝七郎の無事を話す植田に、剣とは何かと聞かれ、答えに窮している自斎は、更に伝七郎小次郎と剣を通して語り合ったと聞き、自分もずっと語り合って来たのだと感じ、岩山に登り、剣に生きた価値はあったと喜びます。その夜小次郎に印可目録を書きます

天下一を背にする二人…

天鬼に印可目録を託した自斎天鬼は旅の先々で小次郎の噂話を聞くことになるだろうと予想します。茶屋で敢えて見せびらかすように小次郎に大金を渡し、因縁を吹っ掛けられるように仕向ける一刀斎、案の定輩に絡まれます

小次郎は刀を奪い、剣を寸でのところで止め、相手を降参させてしまいます。一刀斎は耳が聴こえない分目が発達するということがあるのかと感じます。一刀斎小次郎が喋れないため、代わりに旗指物に「天下無双剣 巌流佐々木小次郎」と名を書いて、歩くことになります。すると前方に「兵法天下一 夢想権之助」と背に記した男が現れ、一刀斎が「ここにも天下一がいるが?」と声を掛けたところでこの巻は終わります

まとめ

吉岡拳法の次男として、兄清十郎の天賦の才能に嫉妬し、修行の旅に出た伝七郎でしたが、思いがけない出逢いがあります。耳の聴こえない小次郎と対峙し、自らを解放し、植田伝七郎は大樹になれると述懐します

事実伝七郎の剣は凄みを増し、あと一歩のところまで小次郎を追い詰めますが、小次郎の気転の効いた一撃に伝七郎は倒れます。本来の目的であった一刀斎を倒すということがいつの間にか小次郎の腕試しのような場となりましたが、一刀斎小次郎の剣に興味を示し、小次郎と旅に出ることを決めます

伝七郎も若かりし頃小次郎と出逢い、剣を磨いていたことが分かるエピソードでした。言葉を語らない小次郎と夢で多く語らったというくだりでは、剣を交えた者でしか分かり合えない何かがあったのだと感じさせます

小次郎を育てたことで剣に生きた価値があったと感じる自斎変人として扱われてきた時期もありましたが、報われた瞬間がありました

喋れない小次郎が相手に事欠かないようにと、一刀斎は旗指物に天下一を掲げます。すると早くも同じ天下一を掲げる者と対峙します!果たして今度の相手はこの夢想権之助になるのでしょうか?次巻もご期待下さい!!

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