前回までのあらすじ
運転中のレンに奈々は電話を掛け、ナナは落ち込んでいるだろうなと感じつつ、その前に歌姫(レイラ)を城へ連れ戻さないととやはりトラネスを守りたいのです。皐の顔見るまで死ねねえよと言うレンですが、雪道に入り、サーチが目ざとく追いかける中、ラジオから唐突にブラストの曲が流れて来てレンは動揺し、車が建物に突っ込みます…
レンの死の衝撃…
サーチの二人は目の前でレンの車が自宅建物に突っ込み、これは自分達のせいではないとし、雪のせいでレンを見失ったと嘘の報告をします。ノブは寮で突然爆音のギターの音が聴こえ、シンを問い詰めます。倉田はたまたまナナの地元にいた為、レンがレイラと接触するところを抑えろと言われ、そこで事故ったレンを見つけます
奈々はタクミと口論になり、タクミをここまで深く傷つけられるのはきっとレイラだけだと気づきます。するとタクミに成田から電話があった為、レンが地元で事故ったと奈々に告げ、急いで二人は出掛けます。タクミはヤスに電話し、うちのギタリストが戦死した、レンが死んだんだよと告げます
大阪にいるナナに何て伝えれば良いか苦慮する銀平に、ヤスはおれが言うと大阪に向かいます。奈々は錯乱し、タクミはミューに任せ、奈々はこんな理由で大好きな皆の地元に来たくなかったと泣きます。奈々は自分のせいだと責めますが、ノブはレンが自分でそうしたいと決めた事、お前は悪くないと励まします
レンの遺体との立ち合いをタクミと成田、そしてノブが行います。奈々はこんなんじゃママ失格だよとシンを抱きしめます。成田は部屋に入れず、タクミとノブが変わり果てたレンを確認、両腕が無事なのが奇跡みたいだと感じ、警察は咄嗟に庇ったんでしょうな、そういう態勢でしたと話します
ナナの時間が止まる…
ミューから事情を聞いたヤスはこれ以上引き延ばす事は出来ないと舞と一緒にナナの元へ向かいます。ナナがこの一年で色んな事があったと感慨に耽っていると、ついにヤスが現れ、どうしてもお前を救う言葉が思い浮かばねえ…レンが死んだと正直に告げます
レンの背中を追いかけて走り続けた日々だった…2002年3月4日 20歳の最後の夜、ナナの時間は止まります
別の時間軸では、海でお線香と煙草を立てレンのお参りをし、毎年3月4日は決まってノブの旅館で皆集い、レンの事を偲びます
時間が戻って、銀平はやはり車で向かおうと言いますが、ナナは仕事があると言うので、ヤスはレンを見送ってやれ、これが最後なんだと言うと、レンとの事が走馬灯のように流れ、ナナは涙し、ヤスは少しでも車で先に進み、名古屋から飛行機で飛ぼうと提案します
ミューは奈々が身重の為、一緒にお風呂に入って労わります。ミューのリストカットの跡を見つけ驚く奈々、ミューは冷静に自分を責める奈々を慰め、この先自分にどんな悲しい事があっても…ヤスが悲しむような事だけは絶対したくないって思ったと語ります
レイラの元にタクミが現れ、泣くレイラを抱きしめます
悲しみの果てに…
タクミは葬儀は地元で身内だけでやる予定だと取り仕切ります。ノブの優しさを感じる奈々は、ナナはお前が付いてないとダメなんだよ、ヤスだって誰より余裕がないと諭し、いよいよナナが報道陣が待ち構える中到着し、奈々はナナには何も聞かないでと頭を下げます
ナナは車から降りるとしゃがみ込み、ヤスに抱きかかえられ式場に入ります。途中レイラがあたしのせいなのと喚くので、シンが制し、もうちょっと相手の気持ちを考えなよ、レンがレイラを迎えに行こうとして事故にあったなんてナナが知ったらどう思うか考えてよと諭します
関係者は嘆き、レンからナナへのプレゼントを見つけたと渡しますが、ナナはそれを開けられません。火葬が始まり、タクミはヤスと警察に薬物について勘づかれないか心配しますが、ヤスは本人が死んだんだ、それ以上裁きようがねえからだよと話し、もう終わったんだよ、お前もしばらく休めと慰めます
また別の時間軸で皐が浜辺で笑う中、奈々があたしは今もそこに何も描けずにいるの、ナナがいないと始まらないのというモノローグでこの巻は終わります
まとめ
主要キャラ:レンの衝撃の死でNANAはガラッと様相を変え、一気に物悲しいお話になります。ナナにとってレンは本当に大きな存在で、地元で同じバンドを組んで、お互い惚れ合い恋人となり、レンが先に上京しトラネスで成功します
追いかけるように上京し奈々との出会いからトラネスのコンサートに行き、レンとの仲も復活、自身もブラストとしてスクープされ一気にスターダムを駆け上がります。途中奈々の妊娠がありましたが、このレンの死までの間はNANAの時間軸では本当に一瞬の出来事なのです
数々の漫画を読んできたと自負していますが、ここまで衝撃的なラスト(実質)で筆を止めている漫画も珍しく、NANAが2009年で休載してなお伝説と言われる所以はこの衝撃的展開があるからでしょう。恋に、笑いに、バンド活動の光と影を彩り豊かに描いて来たNANAがこの展開で止まっているのも、矢沢あい先生には色々想うところはあるでしょう
現代ものなので、時間が時代に追いつかれて先が書けなくなった嫌いもありますが、ダラダラ長く連載が続くより、こういった展開で止まっている方が却って伝説として語り継がれていくのでしょうね…物悲しいラストですが、効果的に使われて来たモノローグがこうやって生きて来るのも納得の展開です
一応未完結作品の為、恒例の「終わりに」は控えさせて頂きますが、実質最終巻となるでしょう。今までお付き合い頂きありがとうございました
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