『進撃の巨人』22巻レビュー|海の先にあるものは・・・

「進撃の巨人」22巻のレビューです

進撃の巨人 attack on titan22巻【電子書籍】[ 諫山創 ]


エレンの父が遺した手記から海の外に何があるのかが分かりました

これまでのあらすじ

エルヴィンとアルミン、死にかけた2人のどちらを生かすかもめた結果、リヴァイはアルミンを選びます

エレンの家の地下にはエレンの父グリシャが遺した手記がありました

そこには巨人化できるエルディア人がマーレ人に虐げられて暮らす様子や、グリシャが反体制活動をした顛末が描かれています

22巻の展開

グリシャたちエルディア復権派は息子ジークの密告により、みな楽園送りになります

エレンはその時の記憶を取り戻し、巨人化能力を継承した自分の寿命を知るのでした

グリシャが継承した巨人

エレンの父グリシャはエルディア復権派に情報を流していたフクロウというスパイから受け継ぎました

彼は自身の寿命がないことを知っており後継者にグリシャを選びます

長らく謎だったエレンの巨人の名前、それは「進撃の巨人」だと彼は明かしました

いつの時代も自由を求めて進み、そして自由のために戦った巨人だそうです

しかし、それだとその巨人の能力が分かりません

始祖の巨人は巨人とエルディア人の記憶のコントロール

獣の巨人は長い腕を使った投擲

鎧の巨人は全身を覆う硬質化

女型の巨人は様々な能力を使う器用さ

超大型巨人はその巨大な体躯のパワーと筋肉を燃焼による高温の蒸気

このようにそれぞれの巨人には特性があるのに進撃の巨人には今のところそれが見当たりません

気になるのはフクロウがミカサやアルミンの名前を知っていたことです

これが進撃の巨人の能力に関係あるのか、はたまたエレンの間違った記憶なのかはこれから明らかになるでしょう

奇跡の裏側を知る楽しさと切なさ

エレンは以前、鎧の巨人から救出された際、母親の仇の巨人にパンチしたら巨人を操った時がありましたが今回はその謎が明かされます

てっきり少年漫画らしく主人公の中の隠された能力が感情によって目覚めたのかと思いましたが違いました

あの時、奇跡が起こったと思ったことが、実はその裏にきちんと理由があったことだと分かることは楽しいことです

この漫画はそういう演出の繰り返しでよくこのようなことを考えられたものかと感心せざるをえません

しかし、同時に知らなかったあの頃に戻ることも、同じ感動を得ることもできないことを知り、失う切なさも感じます

それはきっと子供から大人になる感覚と似ているのではないでしょうか

人生は戻らない

進撃し続けるしかない

そういう人生を想起させる演出を高度に描いたストーリーが多くの人を魅了する理由だと思います
最後に
他に見て欲しいところは


エレンを心配そうに見るミカサ


グリシャの妹の仇


グリシャに戦えと言うフクロウ


調査兵団に初めて会った時のグリシャ


エレンを心配するハンジ


ユミルの手紙


マルロの最期を聞くヒッチ


海にはしゃぐアルミンとミカサ


というところです

エレンたちが暮らす島、パラディ島からついに無垢の巨人が駆逐されました

しかし、敵は世界のほぼすべてでした

ついににたどりつけてはしゃぐアルミンとミカサですが、エレンはその先を見ています

アルミンの夢は海でしたが、エレンはきっと自由というあやふやで海より先にあるものを夢見ているのでしょう

この違いがいずれ2人の別れを生むのかもしれません

あとエレンはアルミンを諦めなかったのにミカサは諦めたことにも言及されていました

それによりエレンとアルミン、ミカサの別れは遠くないように思います

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