前回までのあらすじ
マホは加瀬に足りないところは私を使ってくれたら良いと話します。翌日からペルソナ医DMTAチームは各避難所をまわってくれと依頼されます。避難所ではソウタが被災した家に戻っており、そこで大きな余震が起き、がれきの下敷きになってしまいます
両脚が挟まれ動けず、ソウヤは祖父の薬を持っており、加瀬が自分でジィちゃんに渡してやれと元気づけます…
災害医療<後編>
ソウヤはクラッシュ症候群(圧挫症候群)になる可能性もあります。水分量の把握の意味でも気にするなと言われますが、ソウヤは羞恥心から救急隊員がいる前で排尿することを躊躇い、結局失禁します。水分補給のため点滴を行います
何とか救出・じいちゃんの薬も無事渡せ、ソウヤはN大学病院にドクターヘリで運ばれます。クラッシュ症候群になり透析を行う事になったとしても、状況次第で脚を切断する可能性は0ではありません
四宮の父からリエゾンにDMATの派遣の依頼が来ます。緑丘中央病院が人手不足のため、四宮にも白羽の矢が立ちます。マホは自衛隊にテント設営を依頼しますが、それぞれの立場から即決は出来かねる中、自衛隊員は独自判断で小児科医の仮設診療所を作ります
回想で加瀬とマホの過去の葛藤と決意が垣間見え、その時の行動が現在の臨機な対応を可能としています。四宮は父親を助けに現場へ向かいます。父からの紹介で久しぶりに再会となる人も多く、その成長ぶりに皆驚きます
井口と父と状況を確認、四宮は配慮から実家に帰らされます。しかし母はすぐに現場に戻れとおにぎりを作ると言い、待っている間親友のミツルが部屋に現れます。ミツルの妻は妊娠中で初産、しかも母は末期の卵巣がんなのです!
四宮はおにぎりを大量に持って行き、あの元気だったミツルの母のやつれた表情に驚きます。四宮はミツルの妻に水分を十分に取るように指示しますが、片足が腫れているようです
四宮は妊婦健診に出向きます。そこでミツルの妻が車内で様態が急変、救急搬送されます。原因は肺血栓塞栓症で、片足がその症状に該当していたのです。車中泊から座りっぱなしでエコノミー症候群になっていたということで、血栓を溶かす薬を使って治療する事になります
井口の過労は酷く、他のスタッフの負担も大きくなっていきます。四宮はマホと会い、長期に渡る避難所生活から来る子供達のストレスについて配慮が必要だと言います。四宮はそういった子達の避難所は保育所にすれば良いと言い、マホはその案に乗っかります
DMATの他に、DPAT(災害派遣精神医療チーム)もおり、被災者は勿論、支援者へのサポートも必要だとメンタルヘルスへの対応も急務です。四宮は父の頑張りは認めつつ、トップが休んでくれないと下の者も休めないと断言します
四宮の働きかけで状況はだいぶ改善されますが、今回四宮が来れたのはあくまで非常時の災害だったためで、期間がある程度過ぎればまた元の崩壊寸前の産婦人科に戻るのです
ハルキの母の様態は急変しますが、過去の回想を挟み、四宮はおばさんに孫の顔を見せてやると元気づけます。一旦四宮はペルソナ医に戻り、ハルキの母のために再度現場へ赴く算段を付けます
四宮はサクラと飲み、今回の経験で父の偉大さも知り、ペルソナ医を離れる事を決心します。別れ際サクラに四宮はサクラが以前から話していた理想・全ての赤ちゃんとその母親を救ってやると胸を張ります
腰痛
妊婦の7割は腰痛を経験すると言われています。湿布は使用し過ぎると動脈管を閉じてしまう危険もあるため、骨盤ベルトを勧めます。これは妊婦帯とはまた違ったものなのです
小松はぎっくり腰になり、しばらく静養する事になります。腰痛は産科医や助産師の職業病で、そんな話をしていた矢先にサクラもぎっくり腰になります。院長はこの緊急事態に下屋を呼び戻す事に決めます
塚原の腰痛の症状から骨折の疑いもあり、下屋は整形外科の診察を受けさせます。結果腰椎に2か所の圧迫骨折が見つかり、さらに骨粗鬆症だと診断されます。授乳は卒業し、母体の完治を優先させます
下屋は四宮の助言もありこの事に早目に気づけました。しかしジャムパンを取ろうとかがんだ際ヘルプに来た下屋までもぎっくり腰になってしまったというオチでこの巻は終わります
まとめ
災害が起こるとどうしてもその直後に発生した傷病や犠牲者に目が行きがちですが、長期的な目で見ていくと被災者のメンタルヘルスケアや、医療従事者等支える側の負担軽減も必要な事が分かります。加瀬が語っていた通り、震災後の関連死というものも決して侮れない問題なのです
今回の災害医療ではあくまで妊娠・出産に紐づけてはいますが、医療現場のリアルな問題を提起しており、いつ何が起こるか分からない日本という国において、国民一人一人が少しの認知と配慮で状況が劇的に緩和されるという事を頭に入れておくべきでしょう
また、医者の後継者問題についても触れており、今回は四宮が父の病院に戻る描写があります。特に個人医では必ず付きまとう問題ですが、どの家族でもこの後継者問題は取りざたされるでしょう。親の医大さを理解しつつ、緩やかに次世代に移行出来る心構えが必要なのかもしれません
まだまだ続くコウノドリの世界、23巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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