ためになる!「コウノドリ」18巻の産科医療現場の光と影~不育症・1か月健診・稽留流産・聴覚障害etc…多種多様なケースから紐解く産科医・助産師の在り方とは!?~

前回までのあらすじ

ミズキも本土で無事出産出来、ゴローも研修は終了、送別会を開かれ、三崎ゴローのお蔭で助産師になった事と、この島で産科医をして欲しいと告げますが、まだ経験不足だと言われます。三崎は「まだ帰って来れない」ということは、いつかまた帰って来るってコトだと解釈します…

不育症

篠原は以前2度も流産を経験し、サクラから年齢と共に流産率は上がっており、100人中4人に当てはまってしまったと言われますが、篠原は自身が不育症なのかと問います。サクラは定義が定まっている訳ではないので何とも言えないが、原因があるのかないのか調べても良いと話します

そういった経緯もあり、3回目の妊娠にも篠原は慎重に様子を見ていくしかないのです。続く診察で後藤が現れ、自身の不育症の原因が抗リン脂質抗体症候群という疾患だと言います。これは血栓を作りやすく、赤ちゃんへの血流を阻害し、流死産の原因になるのです

後藤は妊娠10週で、不育症のクリニックで治療をしており、アスピリンの内服とヘパリンの在宅自己注射を続け、特にヘパリンの注射は12時間ごとに自分で打つので太ももが青あざだらけだと言いますが、それでも流産した時の方がずっと辛かったと話します

篠原夫婦はデリケートな問題に直面し、お互い針の筵のような状態です。再診しエコーを撮った結果、赤ちゃんに心拍がなく、流産となり、不育症専門のクリニックを紹介されますが、心くじけそうになります。夫は流産自体が辛いのではなく、その事で苦しんでいる妻に何もしてやれないことが辛いと言います

篠原は不育症の検査に行き、多くの女性が受診している事に驚きます。サクラは一通り検査をするとなると6万円くらい掛かる上、原因をこれと断定出来る事は少ないと言います。検査結果ではどれも正常範囲で原因は特定出来ず、サクラは治療して出産出来る確率は80%以上、ところが治療しなかった場合でも80%以上と話します

これは篠原は次の赤ちゃんを妊娠して出産に臨める事が分かったという結果だとサクラは言います。篠原夫婦は諦めず、4回目の妊娠でエコーで赤ちゃんの心拍が確認出来、嬉し涙を流します

1か月健診

助産師のサオリは義姉が乳線炎だと見抜き、マッサージでしこりも少し取ってあげます。寺島は産後2週間、膀胱炎で抗生物質を処方されます。完全母乳にこだわっており、サオリは助産師指導でミルクを足した方が良いと話します

それでも寺島は母乳にこだわり神経質になり、更にサオリ工藤からクレームが入ります。サクラは体重以外に問題なければ助産師に任せて貰えないかと言い、工藤も引き下がります。サクラ寺島の内診をし、母乳の良さも認めますが、それにこだわらず、母親が育児を楽しむ事が一番の栄養だと言います

産科医や小児科医と違って助産師は妊娠中から産後まで母親と話す時間は長く、信頼関係が大事になって来ます。関わって来る人間それぞれの想いと母親の方針もあり、そこを上手く折り合いを付けなければならないのです

稽留流産(けいりゅうりゅうざん)

早川夫婦はベイビーのライブに行き、ちひろは妊娠した事を早く伝えたくてうずうずしています。ところがエコーで流産の可能性が高いと言われ、ショックを受けます。夫に妊娠の事を伝えたかったのですが、出来なくなり、浴槽を洗いながら涙します

ちひろは赤ちゃんの心拍が確認出来ず、子宮内に留まっている稽留流産という状態だと言われ、手術をするか様子を見るか決めなくてはなりません。いずれ子宮が収縮し出血してくるという事で、取り合えず様子を見る事になりますが、夫の両親の心無い言葉に少なからず傷つきます

夫が身体を求めて来ますが、ちひろはそれどころではなく、理由を告げず拒絶します。手術について説明を受け、帰宅後夕食時に痛みを覚え、トイレに駆け込みます。夫に流産した事を告げ、夫は何も知らなかったんだなと謝ります

手術はキャンセルとなり、サクラはまたいつか笑顔で迎えられるように待っていると言います。ちひろはベイビーの「For Tomorrow」という曲を引き合いに出し、今回の事で自身が強くなったと話します

聴覚障害

赤ちゃんはお腹の中では胎盤からへその緒を通して呼吸をしている中、出産で自力呼吸に切り替わる事になります。上手くいけば、その産声が「元気に産まれたよ」という赤ちゃんからのメッセージになりますが、早見は聴覚障害のため、それを聴くことが出来ません

夫と共に診察で今後の受診時に手話通訳等の配慮が必要と話し、プライベートの事なので自分で筆談して伝えたいと決まります。サクラはろう者の妊婦は初めてでなかなか慣れません。小松は経験者の武田に相談し、多々配慮は必要だがいつも通りの対応で構わないのでは?と言われます

サクラはホワイトボードを用意し、筆談で綿密にコミュニケーションが取れるように配慮します。早見ベイビーのピアノを聴くと赤ちゃんが凄く動いてくれて嬉しいと伝えます。36週で外出が心配だと相談しますが、夫が一緒ならライブに行っても良いとサクラは伝えます

ろう者ながら音楽が好きな早見のためにも産声を聴かせてあげたいとなり、倉崎は聴覚障害者用の育児グッズがあると言います。早見の障害は先天的なもので、遺伝も心配されます。今橋は産まれたらABR検査(新生児聴覚スクリーニング)をし、慎重に見ていくことを確認します

早見夫婦はベイビーのライブでその胎動に触れ、妻以上にベイビーのファンかもしれないと喜びます。早見は陣痛が来て、いつも以上に配慮が必要となります。夫の助けも入りますが、のんびりもしておられず、吸引分娩となり、無事出産、補聴器越しに産声を聴き、早見が涙したところでこの巻は終わります

まとめ

コウノドリでは確率の話が頻繁に出て来ます。妊娠・出産とは非常に不確定な要素が多く、判断が付きかねる状況が多々あるため、データを元にした客観的な情報が判断材料として重要となって来ます。どうしても感情論になりがちな中、特に産科医は淡々と数字で説明するほかないのかもしれません

結婚すれば当たり前のように子供は産まれてくるものだと考えがちですが、今巻の内容の通り流産とは隣り合わせで、本当に妊娠とは奇跡的なものなのだと感じさせられます。特に母親の心境の変化については、家族や産科医・助産師等の細やかな配慮も必要なのです

聴覚障害者の出産というケースも勿論ある訳で、根底は変わりませんが配慮には工夫が必要となり、両親も、赤ちゃんも多種多様なケースがあることが分かります。大事なのは受け入れる事で、決めつけずにその人その人の出産があるという事を覚えておく必要があるようです

まだまだ続くコウノドリの世界、19巻ではどんなお話が待っているでしょうか?

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