「鬼滅の刃」20巻の数々の激戦と成長譚~上弦の壱・黒死牟戦は鬼殺隊四人がかりでも至難のミッション!黒死牟から縁壱の影…天賦の才を持つ弟の存在が巌勝をいつまでも縛り付ける~

前回までのあらすじ

刀匠の技術に感服しながら、間合いの内側に入ろうとする黒死牟、しかし悲鳴嶼は巨躯でも俊敏な動きで対応します。「弐ノ型 珠華ノ弄月」に「肆ノ型 流紋・速征」で互角の戦いを演じる二人、 悲鳴嶼鬼舞辻の時まで温存しておきたかったが…ととっておきの技を放とうとします…

総力戦

ボロボロの時透玄弥は胴体を繋げられないか打診し、更に上弦の髪を喰って最期まで戦うと気丈です。黒死牟は痣者は例外なく二十五の歳を迎える前に死ぬと言いますが、悲鳴嶼は二十七を超え、例外はあったのだろうと告げ、動揺する黒死牟と凄まじい死闘を演じます

そこに実弥も加勢し、この連携には流石の黒死牟も手こずり、実弥は柱稽古していて良かったなァ悲鳴嶼さんよォと喜びます。玄弥黒死牟の髪を喰い、胴体も繋がり鬼化が進んで鬼舞辻の声まで聞こえます。悲鳴嶼を強敵だと感じた黒死牟は先に実弥を始末しようとしますが、痣の出現した実弥の実力も侮れません

悲鳴嶼黒死牟の耳を斬り、実弥は「塵旋風・削ぎ」から「漆ノ型 頚風・天狗風」と同時に悲鳴嶼も「壱ノ型 蛇紋岩・双極」を放ち、黒死牟の着物が破れます!頸を斬るまで畳み掛けろと気張ると黒死牟は最早目視できぬ程の斬撃を放ち刀が伸び刃も別れ出ます

実弥悲鳴嶼のお蔭で辛うじて指を二本失うまでで済みますが、次は避けれるかは定かではありません。状況を見守る輝利哉は上弦の壱はこのまま四名に任せ、義勇炭治郎はそのまま鬼舞辻の元へ向かわせます。黒死牟の「漆ノ型 厄鏡・月映え」はその間合いと言い速さと言い凄まじいものがあり、立て続けに「捌ノ型 月龍輪尾」で最早避けることで精いっぱいです

更に「玖ノ型 降り月・連面」で実弥は傷つき、「拾ノ型 穿面斬・籮月」を実弥は辛うじて時透の助けで避けれます。己の無力さを呪う玄弥ですが、炭治郎一番弱い人が一番可能性を持っていると言われたことを思い出し刀を飲み込みます

巌勝縁壱

悲鳴嶼が「伍ノ…」というところで黒死牟は「拾陸ノ型 月虹・片割れ月」を放ち、技が尽きない上、攻撃も全て読まれていることに気づきます。悲鳴嶼は分析し、脈動が知覚でき、はっきりと像を結べます。悲鳴嶼時透実弥の意図を汲んで三者同時に攻めますが、それこそ黒死牟の思う壺です

黒死牟は「拾肆ノ型 兇変・天満繊月」を放ちますが、悲鳴嶼の数珠が手に当たり、更に「塵旋風・削ぎ」との連携で鉄球が黒死牟を捕え右腕を潰します!加えて時透が腹に刀を突き刺しますが、頸動脈は斬れていません。この隙に玄弥は銃を撃ち込み、刀で防いだと思われた黒死牟に生き物のように曲がり体に弾がめり込みます

玄弥の南蛮銃は変形しており、黒死牟から根が張って動けなくなります…鬼血術なのです。一気に鬼殺隊有利な展開となり、黒死牟は四百年前に’’弟’’継国縁壱と対峙したことを思い出します。痣者なのに生き永らえ、老骨ながら全盛期と変わらぬ技を振るう縁壱に嫉妬しますが、際の際で先に縁壱の寿命が来てしまいます

このことは黒死牟の中で屈辱で、縁壱という最も優れた鬼狩りが死んだ今、誰にも負けることは許されないと咆哮し、体中から刃が出現し、凄まじい手数の斬撃を放ち皆ボロボロです。それでも向かって行く悲鳴嶼達を死なせないと刀身を刺したままの時透が念じると、刃が赤くなり、黒死牟は内臓が灼かれるような激痛を感じます

玄弥は血鬼術で更に黒死牟を固定し、技を出せなくさせ、そこを悲鳴嶼の鉄球・斧・そして実弥の刀で同時に頸を攻め、鉄同士がぶつかり合って赤くなり、ついに黒死牟の頸を落とします!

がらくたの笛

黒死牟は人間の成長に目を瞠りながら、例え頸が斬られてももう二度と敗北はしないと出血を止める中、実弥の「捌ノ型 初烈風斬り」に加え悲鳴嶼の「伍ノ型 瓦輪刑部」と畳み掛けますが、時透玄弥は死に、黒死牟の体は崩れていないのでついには頸も再生してしまいます

まるで不死身のような黒死牟でしたが、実弥の刀身に移った自身の醜い姿から縁壱の姿を見て、時透に刺された箇所から崩れ始め、ついには血鬼術も使えず、体が再生せず消えていく中、死にたくなかったのではない、ただ縁壱のようになりたかったのだと気づきます

回想では双子で不気味な痣もあった縁壱は十になったら寺へ追いやられることに決まります。寡黙だった縁壱は剣術に興味を示し、何と父の輩下に四発叩き込み失神させてしまいます。天賦の才があることが分かり、立場が逆転することを恐れたものの、縁壱は母が急死し、寺へ経つ…とがらくたの笛を大事そうにし出て行きます

いつも母にしがみついていた縁壱でしたが、それは左半身が不自由になり病で弱っていた母を支えていたのです。その後縁壱の行方は知れず、巌勝は妻を娶り子供にも恵まれますが、鬼に襲われ、鬼狩りの縁壱に命を救われます

縁壱に憧れた巌勝は鬼狩りとなり剣技を教わりますが、日の呼吸が使えることはなく、派生の月の呼吸に留まり、そこで痣者が寿命でバタバタ死に始めると、鬼舞辻から鬼になれば無限に刻を生きられる、剣技も極められると誘惑され、鬼になってしまうのです

何百年生きていて鮮やかに記憶しているのは一番忘れたい縁壱の顔、何もかも捨てて鬼になったのに、縁壱の領域には辿り着けず、何の為に生まれて来たのだ、教えてくれ縁壱…と黒死牟の亡骸からがらくたの笛が姿を現したところでこの巻は終わります

まとめ

今巻は珍しく炭治郎の出番はなく、終始鬼殺隊と上弦の壱・黒死牟の死闘が描かれます。鬼滅の刃は一様に味方サイド(鬼殺隊側)の今に至る経緯や思惑ばかりではなく、鬼側の視点も丹念に描かれている点が秀逸です

桁違いの強さを誇る黒死牟を倒すのは最早至難の技でしたが、悲鳴嶼・時透・実弥・玄弥の四人がかりの絶対に諦めない姿勢が状況を一変させます。人間の成長に目を瞠りながら、黒死牟は自身の人間時代の双子の弟・縁壱のことが脳裏を掠め、そのことから瓦解されます

自身より遥かに上を行く天賦の才を見せた縁壱の亡霊に魅入られ、自身を見失った巌勝は鬼となりますが、結局日の呼吸は扱えず、老いた縁壱に目の前で先に逝かれるという屈辱を浴び、そのことに囚われていた哀れな者だったのです

兄より弟の方が優れているという点はいつまでも兄に重くのしかかってくるものなのでしょう。血を分けた者同士、相容れないものとして通じ合えないのは、人間の悲しい性というほかなく、そのことに魅入られてしまう人も多いのです

’’復讐’’の他に’’兄弟・兄妹’’も主テーマにあると思われる鬼滅の刃は本当に色々と考えさせる要素がありますね!佳境へと向かう21巻ではどんなお話が待っているでしょうか?

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