「新宿スワン」33巻のアンダーグラウンドな夜の街の光と闇~作者・和久井健の真骨頂!ついに緻密に計算された辰巳殺害事件の全貌が明らかに~

前回までのあらすじ

カスミは意識朦朧とする中、タツヒコと店長が頭がイカれたのか?マットだのローションだの用意し始め混乱します。最早ビルからの脱出は困難、早乙女が「さよならタツヒコ」とにやけていると、なんとタツヒコ達はマットをクッションにしてローションで滑り落ちるという(笑)荒業でこのビルから脱出してしまうのです!

逃げた早乙女タツヒコカスミと追いかけます…

ついに明かされる辰巳殺害事件の全貌

早乙女が路地裏に逃げ出すと、そこには下里と子分がいて、早乙女は捕まります。「一線を超えたな」という下里、「魚沼兄弟に起爆装置を作らせたな」と言うのです!カスミ早乙女に恩を感じており、助けに行こうとするので、代わりにタツヒコが向かおうとします。しかし下里にはお見通しで、出て来いと言うのです

早乙女タツヒコはどこか別の部屋に攫われ、監禁されます。早乙女魚沼兄弟が資金洗浄でアキバの売れないアイドルを使って紋舞会の金を洗っていると言います。しかしもっとデカい何かを隠しているというのです

早乙女は自分の過去・真虎との出逢いについて語り始めます。16歳でホストをしていることがバレ、天野は「コイツでどうだ?」と持ち掛けます。天野早乙女に人殺しではない、罪を被れと言います。躊躇している天野はドスを渡します。早乙女には着替えを渡し、「オマエら、失敗したら殺すぞ」と脅します

ラブホテルの一室に辰巳は呼び出されます。早乙女は着替えに行きます。辰巳を部屋に通すと、女子高生(早乙女が扮しています)ともいます。辰巳を見たは、無理だと悟り、辰巳に逃げて下さいと懇願します。すると辰巳を刺してしまいます!

鬼気迫る様相のですが、逆上した辰巳に伸され、それでもは再度辰巳を刺します!しかし辰巳は立ち上がり、縮こまったに「なんでだよ?」と問い詰めます。「仕方なかったんだ…」と悔いる、すると後ろからドスでがメチャクチャに斬りつけます!まだ倒れない辰巳に、「死んでくれえぇぇ」と刺し続けます

まだ指が動いている辰巳に「なんでまだ生きてるんだよ!?」と更に刺し進める、最早正気の沙汰ではありません。辰巳の運転手をしていた真虎辰巳が戻って来るのが遅いことにイラつきます

すると血まみれのを背負ったがホテルから逃げ出てくるのを見つけます。不審に思った真虎が部屋に行くと震えた早乙女が部屋の前にいて、中には見るも無残な辰巳の死体があったのです!早乙女は「ボクが犯人なんです、ボクが捕まるんです」と怯えています

真虎早乙女に「殺したのは山城兄弟か?泣くな、オマエをハメたやつらは笑ってるぞ、笑え」と言い抱きしめ、「かならず面会に行く」と約束します。これが早乙女真虎との出逢い、壮絶な辰巳殺害事件の全貌だったのです!!

辰巳の遺留品に刻まれた最後の数字

偶然にも早乙女が爆破したビルには美竹組が経営する裏カジノが入っており、喫茶店では報復で紋舞会構成員を襲撃、歌舞伎町が日本最大暴力団の内部抗争の戦場と化します

タツヒコ早乙女が攫われて3日たっても連絡が来ないカスミバーストに相談に行きます。タツヒコのためなら命張るという森長を止め、馬頭はまずは情報収集をすると言います

馬頭桜井に会い、真虎は成田南病院にいると言われます。辰巳が死んで9年、あれからオレの時間は止まったまんまだと桜井の回想が始まります。遺体安置所に寝かされた辰巳を前に、桜井は自首した早乙女は返り血すら浴びていなく、凶器すら見つかっていないのに、上は早乙女逮捕の線で進めろと言うのだと困惑します

馬頭は遺留品としてライターを受け取り、桜井はどんなことがあってもこの事件の真犯人を見つけだすと言い張ります。馬頭も容疑者の一人だと桜井は言います

時を経て、桜井馬頭があの部屋に描いた数字の羅列の最期の数字(199641)はどこに書いたと聞きます。馬頭はこれから会いに行きますと答えます

成田南病院でライターを太陽に掲げている真虎に、馬頭が「傷はもういいのか?」と問います。馬頭は初めて辰巳と会った時、「オレは歌舞伎町が好きなんだ」という一言でアイツにすべてをもってかれちまったと言います

馬頭は爆破事件からの抗争の件を真虎に説明し、早乙女とは1週間近く連絡を取っておらず、早乙女の独断だったことが分かります。馬頭真虎を止める気はない、オレは逃げてオマエは戦ってる、それだけの差だと言います。「けどタツヒコはオマエを止めようとしている、敵だなんて思うなよな」と言い残しその場を去ります

新たな火種とレオの実兄・大河

街で暴走族が車を煽っていると、中から柚木組紋舞会舎弟頭補佐の綱川が現れます。「絡む相手間違っとりゃせんか?」と息巻きますが、多勢に無勢、横須賀暴流徒の連中にやられてしまいます。裏には神奈川宝来会希崎組2代目組長の希崎一國が絡んでおり、灰沢にいい土産が出来たと喜びます

紋舞会舎弟頭補佐の三浦暴流徒の連中を殺し、死んだ綱川の無念を忍びます

レオタツヒコの命には代えられないと兄ー紋舞会舎弟頭の天野大河に会います。優秀な紋舞会の後継者として凛とした大河は、レオにそんな輩と付き合うなと非情です。天野修善の背中だけ見ていろ、そしてすべてを学べと豪胆です

横浜に何しに行くんだ?」と問うレオに、大河が「宝来会雛乃一家総長荒井睦夫に会いにいく」と答えたところでこの巻は終わります

まとめ

ビル爆破事件を引き起こした早乙女ですが、下里の掌で転がされており、まだ全貌は分かりませんが魚沼兄弟を加えた資金洗浄+αの大きな波に飲まれようとしています

そんな中、ずっと真実が語られなかった辰巳殺害事件の全貌が明らかになります。以前語られた天野柚木組組長殺害の件を知ったと思われる辰巳の殺害を山城兄弟に持ちかけ、犯人を未成年の早乙女に見せかけ殺害するという絵を描いた訳ですが、実際は想像を絶する修羅場だったのです!

元から山城兄弟には辰巳を殺す理由はなく、慕っていたくらいですから、紋舞会にケツをもって貰う代償としては大き過ぎるものを抱えてしまったのです。この事件は大きな陰を落とし、山城兄弟にも、真虎にも、馬頭桜井早乙女にものしかかってきます

作者の和久井健先生の凄いところは、この真相まで持って来るまで本当に緻密に時間を掛けて伏線を回収しながら、様々な〇〇編というストーリーをふんだんに挟みながら書き進めたことです。ここまで緻密に計算された漫画は早々ないと思われるくらい、良く出来たストーリーだと思います

レオの実兄・大河まで現れ、組同士の全面抗争に発展しそうな雰囲気の中、タツヒコはどうなってしまうのでしょうか?真虎の復讐がどうなるのかも気になります。続巻も読みましょう!!

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